今にも雨が降り出しそうな午後、豪徳寺駅前には、金沢から参加の池野さん、『謎床』をきっかけに編集学校に入った原さんの二人が集まる。直前に体調を崩したり、仕事で参加できない学衆もいて、「せっかくの汁講、もう少し集まれるとよかったのに……」という残念を全員で抱えながら、編工研でのリアル稽古が始まる。
今日の物語編集術の稽古のために内海師範代が、用意したのは百人一首の阿倍仲麻呂の歌。
「天の原 ふりさけみれば 春日なる三笠の山に いでし月かも」
31音という短い言葉で構成される和歌も物語マザーを通してみることで、唐という彼方にミッションを持って旅立ち、唐において高い地位まで上り詰めながら、日本への帰還を果たせなかった壮大なワールドモデルが浮かび上がってくる。内海師範代は、すでに私たちは、様々な物語に囲まれていることを力を込めて伝える。初めて書く3,000文字の物語も恐れずに自然体で向かって欲しい。この言葉を弾みに過去の大賞作品の読み解きに向かう。
物語を書くことに対し最初は少し戸惑いもあった池野さん、原さんも、内海師範代の31音の物語の紹介で肩の力が抜け、少しづつほぐれていく。合氣プロセス教室にとって、物語編集術という「彼方での闘争」に笑顔で向かう勇気を得るひとときとなった。
2019年12月22日(日)
「合氣プロセス教室」汁講
◎合氣プロセス教室 内海太陽師範代
参加学衆:池野美樹、原文子(敬称略)
きたはらひでお
編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。
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