そっちの笹はお~もいぞ・こっちの稽古はう~まいぞ

2021/07/13(火)12:39
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 43[守]29.5%、45[守]31.6%、47[守]46.2%。土用のうなぎのぼりのような数字は、春開講[守]講座恒例の別院企画【七夕のささやかな願い】への参加率だ。
 季節の行事への欠乏感が募る世情の現れでもあるだろう。番匠によれば、お題の数を絞ったことも要因だという。しかしそれだけではない。伸長の理由は学衆の言葉にも表れている。

 

   他の教室でも日々素敵な言葉が飛び交っているのかと思うと
   もう、覗いてみたくて堪りません。 

                    (縞々BPT教室)

 

   真剣にやればやるほど楽しくなってくる不思議な感覚
                    (混合ポリローグ教室)

 

   顔の見えないみなさんのことが、チラチラと、見えてくる面白さ
                    (セッケン時空屋教室)


   番ボーでの作品を一挙に拝見した時に、こんなにもたくさんの
   学衆さんたちが同じお題に取り組んでいることをリアルに
   感じることができました(圧巻でした)。
   なんだかとても嬉しく、心強い仲間!
                    (ピアソラよろしく教室)

 


 7月11日(日)、47[守]は『番選ボードレール』のエントリー締め切りを迎えた。繰り返した番稽古と別院での交感で「相互編集」の魅力を実感した学衆は、卒門へ、その先へとひた走るだろう。

 
 ☆47[守]七夕のささやかな願い に寄せられた短冊より☆

  
    金魚の浴衣・銀河の花火

     百日紅の浴衣・月下美人の花火
      纏う浴衣・散る花火


     ささやく笹の葉・こたえる短冊

      一枝の笹の葉・万葉の短冊

 

        舟上の浴衣・水面の花火

         地上に浴衣・空には花火

          そわそわと浴衣・まじまじと花火

           僕の目に映るは浴衣・君の瞳に映えるは花火

  • 石井梨香

    編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025