ぐるぐるくるくるその奥へ――48[守]本楼合同汁講・オリーブ篇

2022/01/23(日)15:34
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 その瞬間、山本ユキは鳥肌が立った。

 

 1月16日に、2年振りに開かれた豪徳寺・本楼での兄弟教室(今さら今こそ教室)との合同汁講。オリーブなじむ教室の山本ユキ師範代は、本楼に集った3人、パソコン画面に映る2人、計5人の学衆と「本 de キャッチフレーズ」というワークにいそしんでいた。3冊の本を用いて「教室のキャッチフレーズ」を作る、というワークだった。

 

このワークを通じて、教室のらしさを共有し、卒門へのエンジンとなるようなキャッチフレーズを創りたい

 これが山本の思いだった。
 ではどう創るか。オリーブなじむ教室の8人の学衆は、稽古は真摯だが、交わし合いは奥手だ。ワークは上手くいくか。山本が不安でなかった、といえば嘘になる。
 だからといって師範代がリードしていいものか。山本は「教室の主役は、学衆のみんなだよ」と伝え続けていたつもりだった。ならば信じるのみ。

 

 ワークで用意された3冊は、師範の角山推薦の『宮澤賢治オノマトペ集』(ちくま文庫)と、山本自身が選んだ『こまやかな文明・日本』(NTT出版)と『俵万智歌集 プーさんの鼻』(文藝春秋)。「声」が聞こえてくるような本が揃った。
 学衆TAは、賢治のオノマトペ「ぐるぐるくるくる」を取り出すと「これだ!」と力説。忙しい仕事の合間を縫って駆けつけたSHと本楼に2時間かけてたどり着いた学衆TUは、画面越しに熱心に本を説明する。入れ替わり立ち替わりのあたたかみある「声」に応えるべく、オンライン組の学衆SMが「なんとか私も貢献しなければ!」と頭フル回転で対角線を引けば、学衆HNは「おさな心」と繋げんと冒険に挑んだ。

 

 キャッチフレーズは生まれた。

 

 ぐるぐると頭をめぐらし
 オリーブたちは
 文明の奥へと手を伸ばす

 

 話し合いの最中、誰ひとり、師範代に気兼ねしていなかった。誰に言われるでもなく、自由にのびのびと編集の奥へと手を伸ばした。あちこちで対話の花が咲き、笑みがこぼれた。

私の求めていたものはこれだ!
 瞬間、山本は全身に鳥肌が立った。電気ストーブが置かれた室内は暑かったが、山本の鳥肌はおさまらなかった。

 ここには、師範代が望んだ熱さがあった。欲していた交わし合いがあった。間違いなく本楼の主役はオリーブたちだった

 

 オリーブは、色味も味わいもいろいろあってそれでいい。どうなじむか。どう色を重ねるか。校長が教室名に託した「問い」は、本楼汁講でひとつの答えを見つけようとしていた。

 

 終了間際、もうひとりの学衆TUが駆けつけた。学衆6人と師範代1人。本楼とパソコン画面と結びながら、7つのオリーブたちが、ぐるぐると声を交わしながら、卒門に向けてひとつになじんでいた。

 

▲本楼に集結したオリーブなじむ教室の面々。画面の向こうの仲間に、熱心に説明する。

▲鈴木康代学匠、白川雅敏番匠によるキャッチフレーズの講評。その型の取り出しの鮮やかさに、学衆から嘆声が漏れた。

 

 

作成/チーム<い・キ・き>(姉御な山本ユキ × ガキ大将の角山祥道)


  • 角山祥道(ジャイアン)

    編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。

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