図像編集への挑戦-49[破]第1回伝習座 ビジュアルクロニクル講義

2022/10/12(水)08:19
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今回の伝習座では、師範代に新たなお題が与えられていた。
自分史を1枚に図示するビジュアルクロニクルの作成である。グラフィックデザインを生業とする野嶋真帆番匠が杉浦康平さんの『味覚地図』『時間のヒエラルヒー』も使いながら、お題のねらいを説明する。
「一般的な歴史の読み方をテキストからグラフィックに移すことで、別の読み方を発見できることを実感して欲しい」。

野嶋番匠による師範代のビジュアルクロニクルへの指南は、穏やかな口調ながら鋭い全体講評から始まった。
「それぞれに工夫がされているが、オーダーや流れが読み取りにくく、クロニクルになりきれていない」。
一枚の絵としてまとめるだけでなく、クロニクル=年代記として読める図象にする意識の必要性を説く。
「一本の糸でなく、複数の糸を縒り合わせることで歴象のつながりを見せてはどうか」
「もう少しで杉浦康平レベル。けれども、流れが分かりにくい」
「面白い歴象なので、テキストを強調しないともったいない」
「メタファーを使うのであれば、その必然性を際立たせた方がよい」
野嶋番匠の身体化された方法が言葉として再編され、具体的なアドバイスとして手渡されていく。これらのアドバイスを受け、師範代のビジュアルクロニクルは汁講や勧学会でお披露目を目指し、さらに磨きがかけられる。

このお題は48[破]から番外お題「全然アートなわたし」として出題されており、今期も学衆はビジュアルクロニクルに挑戦できる。多様な自分史図像の共読が楽しみな49[破]になりそうだ。

写真:後藤由加里

 

▼49[破]残席僅少

https://es.isis.ne.jp/course/ha

  • きたはらひでお

    編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
    数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。

コメント

1~3件/3件

若林牧子

2025-07-02

 連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
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