空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

焚き火、星空、ランタンの灯。
山小屋仕立ての「ヒュッテ・ブリコ」に、突破を果たした六人の学衆が集った。ちちろ夕然教室(福井千裕師範代)と縞状アンサンブル教室(田中香師範代)を有するチーム・ブリコの合同汁講である。バーチャルヒュッテ、山小屋のしつらえは、福井師範代のオハコ。パチパチと薪の爆ぜる音が響く。思い思いの飲み物を片手に、Zoom画面に映し出された焚き火の炎を見つめながら、来し方行く末を語り合う。
「文章が書けるようになった」「言葉の選び方が変わった」「歴史や読書に興味を持つようになった」「これまでとは選ぶ本が変わった」「時間編集ができるようになった」「3千字の物語が、自分に書けるなんて驚き」「文章が磨かれたと感じる」など口々に破で起きた変化を言葉にする。
最初は無理だと思ったけれど、突破できてよかった。ある学衆は進破を躊躇っていた時、守の仲間から言われた「無理って言ってたらいつまで経っても無理だよ」のひとことが、前に進む後押しになったと振り返る。
「指南を読むのが楽しみでした」「指南をもらって初めて『自分はこんなことを考えていたんだ』と気づくことがありました」師範代にとっては贈り物のような言葉も飛び出した。
仕事が、プライベートが、年齢が、と先に進むことを躊躇う理由はたくさんある。しかし迷うということは、やりたい気持ちがあるということ。自分の数奇を大切に好奇心をエンジンに、進め編集のその先へ!
さまざまな想いをのせて、ヒュッテ・ブリコの夜は更けゆく。
戸田由香
編集的先達:バルザック。ビジネス編集ワークからイシスに入門するも、物語講座ではSMを題材に描き、官能派で自称・ヘンタイストの本領を発揮。中学時はバンカラに憧れ、下駄で通学したという精神のアンドロギュノス。
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コメント
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2025-09-09
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ヒトが繋げた植物のその先を、人知れずこっそり繋げ足している小さな命。その正体は、自らの排泄物を背負って育つユリクビナガハムシの幼虫です。