「落花狼藉オトコ」九州を急襲【75感門 九州】

2021/03/17(水)15:00
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春の嵐のように、その男は突然やってきた。

感門初日の深夜25時。1本のメールに品川未貴(46[守]四次元カフェ教室師範代)は驚いた。
差出人は46[守]落花狼籍教室師範代の齋藤成憲。なんと明日(正確には今日)、福岡にやってくるという。

品川と齋藤は「46[守]チーム夾綺らんでぶ~」の仲間で、以前から交流はあった。初日の冒頭、通信トラブルで幻となった支所中継だが、一瞬映った九州会場は品川が経営するアートカフェ(福岡市アジア美術館内イエナコーヒー2号店)だった。齋藤はそこで感門2日目を迎えたいという。だが、齋藤は知らなかった。九州会場は初日だけのしつらえだったということを。

品川はあわてた。夕刻からはカフェ警固店での仕事があり、自分1人では応接できない。中野由紀昌(九天玄氣組組長)に深夜の電話で相談するが、中野も瓢箪座からの中継があり、そうそう動けない。

そこからは電光石火で、九天の心あたりの組員に連絡がまわる。東京からのお客人を無下にしては九天の名折れである、誰か動けないかと。結果、品川と三苫麻里(45[守]中洲マリリン教室師範代)がアジア美術館アートカフェにて、齋藤を迎えることとなった。

2日目の昼刻。卒門式を無事終えた朗らかさをまとって齋藤はあらわれた。カフェのテーブルでパソコンを開きさっそく感門に見入る。

46[守]メンバーにとっての、この日のハイライトは出世魚教室名の発表だ。誰が46[破]の師範代となり、教室名がいかなる出世をとげるのか気になるのが当然だろう。そして、品川の新教室名もここで発表されるのである。
出世魚教室名発表コーナーとなり、品川の名前がコールされる。
いよいよ発表の瞬間だ。
かたずを飲む品川。
齋藤は背後の植木鉢の影にまわり、そっと見守った。

「新教室名は互次元カフェ教室です」

思わず破顔する品川。
「私の提案は完全スルーですよ~」と嬉しそうに叫んでいる。チャットには祝福の言葉が次々と書き込まれる。そのなかに、こんな書き込みが入った。

『互次元!もっと交わっていってくださいね!背後に、なんと、らっかろー齋藤師範代が映り込みました!』

書き込んだのは「チーム夾綺らんでぶ~」担当の若林牧子師範だ。ほんの一瞬だけ映り込んだ齋藤の姿を見逃さなかったのだ。ものすごい注意のカーソルの発動である。
チームメイトの出世魚を見守る師範代に、さらにそれを捉える師範の眼力。チームの絆が顕現した瞬間だった。

  ★

2日目の夜、齋藤を囲むZOOM歓迎会が開かれた。
参加したのは、中野、三苫、松永真由美(46[守] いいちこ水滸伝教室師範代)、田中さつき(42[守]ヤバケイ万全教室師範代)の九天玄氣組メンバーだ。品川と斎藤は、営業を終えたイエナコーヒー警固店から参加した。松永と斎藤はともに速修コース担当ということで、自然その話題で盛り上がる。

速修は、通常38題17週間のところを13週間で駆け抜け、初めの一ヶ月は毎日出題というハイスピードコースだ。学衆の数も、いいちこは11名、落花狼藉は14名と通常より多かった。この指南生活がどれほど苛烈なものか、師範代経験者ならば容易に想像がつくだろう。
松永は昼休みの最初10分で昼食をすませ、残り50分で指南を1本書くよう努めた。齋藤は通勤時間を睡眠にあて、布団で寝たのは平均3~4時間だった。

しかしそれを語る2人の笑顔は力みが抜け落ち、なんとも晴れやかだ。
苦しいことが苦しくなくなるわけではないという。だが、苦しいことも楽しいことも、そのままに受けとめる大きな器を2人は手に入れたようだった。

さて、そもそもなぜ齋藤は突然の九州訪問を思い立ったのだろう。当然、その質問がぶつけられる。
ことの発端は合同汁講のあとだった。チーム内で品川がこんな言葉を口にした。

「もし齋藤さんに何かあったときは、私が代わりにやります」

齋藤はこの品川の心意気に感じて、いつか返礼をしたいと思っていた。
そして感門リハーサルの際に、品川が46[破]の師範代を引き受けたと知り「直に会って激励しなくては!」と決心するに至ったのである。

期をともにした師範代同士の友情を聞いて、皆が胸をうたれた。

感激が場を満たすなか、誰かがふと「齋藤さん、その胸の文字は何ですか?」と尋ねた。
齋藤が胸を張ってスウェットを見せると、そこには『毎度おさわがせします』の文字が。

あまりにもその通りすぎて、座は一転、大爆笑となった。
いやはや、さすが落花狼藉師範代。
その名に恥じぬ侠気と行動力、あっぱれあっぱれ!というほかにない。

九州に嵐を巻き起こし、落花狼藉オトコは東へと帰っていった。
この春、齋藤は久しぶりの師範として、品川は再登板の師範代としてそれぞれの[破]に臨む。
2人が46[破]にどんな花吹雪を巻き起こしてくれるのか、楽しみに見守ろうではないか。

 

文:三苫麻里

 

 

  • 石井梨香

    編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。

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