〈突破者が書く!第3弾〉【79感門】ことことと俳句がつなぐイシスの和(一倉広美)

2022/09/22(木)07:57
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 IT企業に務める中、閉塞した毎日に一倉はとにかく笑いたかった。「俳句」への出会いは笑うために訪れた落語にて。その場の勢いで句会に入会したのが2014年。以降、俳句にのめり込んでいる。

 

 「俳句は続けたほうがいいね」

 

 感門之盟のクロニクル番外お題「全然アートなわたし」のインタビュー後に、松岡校長が一倉ら、オリーブ・ビリーブ教室の学衆(河野智寿、中川治靖)に声をかけた。

 

 「ITの仕事をしているとデジタルのルールで生きてしまい気づかないうち病んでしまうことがあるから」

 

 イシス編集学校では風韻講座が人気が高いように、俳句に関心がある人が多い。48[破]オリーブ・ビリーブ教室では師範代の山本や師範の華岡、学衆に及んでいた。8月23日、師範が「患者さんと俳句を作る約束をした」と言う呟きが勧学会に放たれてから、師範代、学衆まで次々俳句を投げ込む。まるでお題に回答するかのように、彩回答、彩々回答、そして、しりとり俳句になっていた。

 

 一つ一つの句に、一倉は地と図、注意のカーソル、「の」の字など守の型を用いて指南していった。その指南ぷりは、山本師範代が「師範代代」と命名し、期待を寄せた以上のものであった。

 

 さて、48[破]の門が締められるこの頃に、原田学匠も加わって句会が開かれる。48[破]オリーブ・ビリーブ教室と伝束スパーク教室の「チームことこと」は「ことこと句会」に出世魚していくことになるのだった。もちろん指南役は、第38期・花伝所への入伝も決めた一倉だ。

 

 秋扇隠されてその面影を

 

 記事:    一倉広美(48[破]オリーブ・ビリーブ教室) 
 編集:師範代 山本ユキ(48[破]オリーブ・ビリーブ教室)
    師範  華岡晃生

  • 華岡晃生

    編集的先達:張仲景。研修医時代、講座費用を捻出できず、ローンを組んで花伝所入門。師範代、離を経て、[破]師範に。金沢のエディットドクターKとして、西洋医学のみならず漢方にも造詣が深い。趣味は伝建地区巡り。

コメント

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山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025