桜より一足早くイシスの祭りがやってくる。半年間の編集稽古っぷりを寿ぐ感門之盟のリハーサルが始まった。今期のテーマは「律走エディトリアリティ」だ。
2023年3月16日、校長松岡正剛を筆頭に感門を寿ぐ当期指導陣と、P1グランプリの登壇者、場を支え、ビデオやZoomで本楼と学衆をつなぐ黒膜衆が、本楼に集結した。平日夜の開催らしく、スーツ姿で駆けつける登壇者も多い。
司会は15[離]別当師範代・寺田充宏、離学衆稲垣景子の律相院師弟コンビ。寺田からビシバシと檄が飛ぶかと思いきや、稲垣をのびのび走らせ、後は全部引き受けようとする、父のような眼差しが印象的だ。
稲垣は登壇者、本楼参加者、Zoom参加者、黒膜衆、参加が叶わない学衆、編集学校の外の社会の間に入り、関係線を引くべく、ひとつひとつの応接を入念に確認していく。そんな稲垣に「律走エディトリアリティとは何か」を問うてみた。
筆者:稲垣さんのイメージする「律走エディトリアリティ」はどんな感じ?
稲垣:律走の意味が違ったんですっ!
───稲垣はテーマを聞いた直後から、単語の目録を集め、イメージの辞書を編んでいた。エディトリアリティはエディストで検索すると色々書いてあるからイメージを広げやすい。でも、律走はわからない。世界のあらゆるところにある自律的システム。寺田別当が院を「生命モデル」に見立てていたこともあり、たとえばオートポイエーシスのようなものを思い浮かべていた。
ところが、リハ前日に届いたタブロイド紙『エディターシップ第13帆』を読み、認識がガラッと変わったという。
エディトリアリティとは、世の中にはない造語ですが、なんらかの編集力や「技」によって、当面する表現体にアクチュアリティやリアリティが醸し出されたり加速されたりすることを言います。素材が組み合わさって編集的効果が動き出すんですね。この動き出しが律走です。
エディターシップ第13帆より
稲垣:全体じゃなくて「動き出し」のことなんだ、って。驚きました。モードチェンジの瞬間。それが律走なんです。
───リハの合間、松岡が稲垣に律走した。
松岡:司会という機能に徹しようとしないこと。機能に留まらない、自分の間があるはずだ。“代”をイメージしてエディティングキャラクターを突出させなさい。
稲垣の目が輝いた。松岡と稲垣の律走の瞬間だった。寺田が柔らかい眼差しで見守っていた。
───改めて稲垣を直撃した。
清水:“代”をイメージしてエディティングキャラクターを突出させる、とは?
稲垣:まず「私は稲垣景子だ! という状態でいきなさい」と言われたんです。“代”は、「広瀬すずでも、大地真央でも、誰でもいい。堂々とエディティングキャラクターを突出させるにあたって借りるモデル」という意味なんです。
清水:ただ、相手と自分のアイダに入ればいいわけじゃないんですね。
稲垣:「聞き手」との間(アイダ)の話をされた、というよりも、自分の間(マ)を意識して、モデルをもっとしっかり出していきなさいね、ということと受け取っています。
清水:擬ってことね。そうなると、誰のどんなモデルを借りるのか、気になります。
稲垣:ネタバレになるから、それはフセたいです。
稲垣が司会をつとめる感門之盟2日目は、自らを破った学衆を寿ぐ突破式、学衆から師範代へと律走する放伝式、ミュージアムのハイパーさを競うP1グランプリなど、律走的応接が求められる企画が目白押し。最後には校長校話も控えている。稲垣の動き出しの瞬間に参加者もぜひ「律走」されたし。
清水幸江
編集的先達:山田孝之。カラオケとおつまみと着物の三位一体はおまかせよ♪と公言。スナックのママのような得意手を誇るインテリアコーディネーターであり、仕舞い方編集者。ぽわ~っとした見た目ながら、ずばずばと切り込む鋭い物言いも魅力。
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