「境い目」を超える勇気【50[守]伝習座】

2022/12/15(木)08:50
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「今は、私たちはちょっと見ているだけ?なのかしら?」
「じゃ、学衆の皆さま、つぶやきましょうよ。」
 12月3日(土)に行なわれた50[守]の第2回目伝習座で、オブザーブしていた学衆の1人が呼びかけた。

 

 伝習座とは、指導陣(学匠・番匠・師範・師範代)が一同に集い、方法を共有、交歓、切磋琢磨する場である。教室に立ち続ける師範代に、学匠・番匠・師範からはもちろん、校長の松岡正剛からも直々に編集工学の神髄の手渡しが行なわれる。今回で168回目となる。

 

 今回の伝習座は、用法解説からスタートし、教室NOW語り、指南・教室NEXTのワーク、校長の著作『見立て日本』の共読と続く。師範代たちは、次々と繰り出される師範陣からの語りと問いに喰らいつく。場の熱の上昇に呼応するように、10名のオブザーブ学衆の交し合いが加速する。

師範、師範代の方々にとって、教室という「場」も編集の対象だっ
たのですね。これまではお題を介して自分と向き合う日々でしたが、
今日を境に場づくりにもっと向き合ってみようと思いました。

 

この指止まれと集まり、用法を手にしながら夢中になって探求して
いく空間は、まさに濃密な大人の遊び場!!

インキュベーター(孵卵器)のように、編集することへの熱を誰かと
高め合って、しかも卵からかえるのは生き物ではないかもしれない
ような、そんな可能性を感じてワクワクしています。

 

「見立てるとき、言葉にするとき、コストとリスクを取る」という
のにグッときました。

 

何かを始める一番初めの人は「勇気を持って嘲笑されなければなら
ない」けど、踊り続ければ人が1人、2人と増えて、どんどん人が
集まってくる。最初はリスクを伴うが、踊るなら本気で、ですね。

 

自分の知らないことについて、恐れずにコメントする「勇気」と
「違和感を恐れない」ことができたら良いなと思いました。とても
難しいけれど、この一線は何かすごい一線のようなワクワク感があ
ります。

 

 メモリアルな50[守]には、田中優子氏が伴走する。この場にも駆けつけ、「一同に会して場を共有することで、教育の場が議論の場になり、編集を生きるための場になっている」とメッセージを寄せた。1月に予定している特別レクチャーでは、学衆たちが更なる「さしかかり」を手にするヒントを贈りたいと明言した。

 

 いつしか時間もロールも忘れ、人も方法も混然一体となっていく。集った誰もがそれぞれの「境い目」を超えることを誓い、長くて短い一座が締めくくられた。

 

 翌日、オブザーブ学衆たちから、編集道を歩く当事者として、場の熱を引き受ける声が届いた。

自分や自分の人生すらもルールを変えていく、ギリギリの勝負を仕

掛けていくという姿勢に目からは鱗が何枚も落ち、身が引き締まり

ました。

 

鈴木学匠の「編集の型を日常と関係づけながら、社会の中に新たな
モデルを生み出していく」とのお話は、これから向かっていきたい
大きな目標になりました。

 

このまま一歩一歩編集のお稽古を続けていくと、ひろい宇宙できれ

いな星たち(=師範代・師範)が交信しあっている信号も聞き取れ

るのではないのかしら。
そんなことを期待しながら、守の後半戦も頑張っていきたいと思い

ます。

 

 伝習座という体験を経て、何倍にも育った方法と勇気を携え、50[守]の編集世界旅行は、次の「境い目」へと向かう。

 

 

 

 


  • 阿曽祐子

    編集的先達:小熊英二。ふわふわと漂うようなつかみどころのなさと骨太の行動力と冒険心。相矛盾する異星人ぽさは5つの小中に通った少女時代に培われた。今も比叡山と空を眺めながら街を歩き回っているらしい。

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