ありきたりは編集に似合わない【50守伝習座】

2022/11/03(木)18:27
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「知識」を破戒せよ、「知」の冒険へ誘え

 

10月初旬の本楼では、オンラインによる50[守]師範代に向けた第1回伝習座が開催された。守を再受講し編集稽古に更なる可能性を見出すべく、これまでにない力強さで用法語りに革命を起こすべく立ち上がったのは加藤めぐみ師範であった。

開講前に提出された師範代レポートに用法2への言及が少ないと嘆く。だが、花伝所で学び、師範代となり再び守を受講したからこそ用法2のお題には「とびきりスリリング」できる可能性があると語りだす。身近にある既知の情報を集め妥当性に寄ってしまう回答に指南するだけでなく、編集可能性を追求する稽古に向かってもらいたい。回答と指南の丁々発止を求め、今までにないほど熱く用法2に肩入れしていることを明かす。

 

  情報が情報を呼ぶ。
  情報は情報を誘導する。
  このことは本書がたいそう重視していることだ。「情報は孤立
  していない」、あるいは「情報はひとりでいられない」ともい
  えるだろう。また、「情報は行き先をもっている」というふう
  に考えてもよいかもしれない。
  ――『知の編集工学』p.36(朝日新聞出版、文庫版)

 

たとえば、「コーヒーカップ」という情報があったとしよう。

 

  「コーヒーカップ」×「喫茶店」
  「コーヒーカップ」×「読書」
  「コーヒーカップ」×「ケーキ」

 

情報が引き寄せられ、結びつく相手によって違うシチュエーションが生まれる。「対」になることで意味が発生するのだ。
さらに「対」となる「コーヒーカップ」×「ケーキ」に「+1」の情報が誘導されると、

 

  「コーヒーカップ」×「ケーキ」 +「プレゼント」

 

連れてこられた「+1」で、恋人同士のデートが想起されてくる。このように新たな情報が起こるとき、情報に行き先が生まれる。決して既存の何かを探してくるという稽古ではない。用法2ではその関係を「みつける」ことが重要である。
情報を関連づける思考単位の型を編集学校では「編集思考素」と呼ぶ。「編集の型」として用いることで、編集が自由になり、新しい意味を発見していくようにかわることがわかる。

編集で「世界」を理解する方法の束となる用法2を更新すべく、加藤師範の用法語りは師範代、教室とお題をむすびつけ、かさねる。正解がない世界へと導くため、師範自ら用法に変革を起こすリスクをとっている。ありきたりでは終わらせない、とびきりスリリングな体験を学衆が教室でしてもらいたい。師範代も勇気を持ってリスクを取って欲しいと願い、用法2への「肩入れ」はこれからも続くだろう。

熱い思いを受け止め勢いよく走り出している50[守]の新師範代。編集稽古は縫い直すことで別様の可能性を感じ取り、かわるチャンスでもある。


  • 堀田幸義

    編集的先達:半村良。SFを愛するデジタルマーケター。石鹸づくり、マラソン、大人の塗り絵に定期的にハマるオタク気質もある。食事前に親父ギャグを連発し家族には白い目で見られ、師範代時代には学衆に感門之盟のファッションもコーディネイトされるというツッコマレキャラ。サトケン師範とは名コンビ。