後半は久野美奈子の真骨頂、編集ワークショップである。
情報の地と図を動かしていく編集の型をしっかりとおさえると、「編集エンジンは無理やり押されることで起動する」とばかりに笑顔の久野は参加者に、自らを見立ててやつすことを強要する。やつしが染み付いている名古屋人たちは、久野のお題に難なく呼応した。
・夏を地にすると冷や水入りのコップ。なぜなら、大変な汗かきなのです。
・畑では汗だくの草刈機です。草むしりばかりさせられています。
・家庭では大海に浮かぶ小舟です。妻と娘二人で男の私は日々揺らされています。
・私は娘の手である。母の足である。
・前世では熊でした。指示だけを出す熊と周りに言われています。
・会議中はここぞというときしか発言しないゴルゴ、食事中はウンチクの多い魯山人。
さらに、オンラインツアー中に触発された参加者は「やつし」の漢字、「窶し」を調べ、非日常のおしゃれという意味もあるという新たな情報が差し出されるというおまけつき。
会心のナビゲーター久野は「私はニッコリと微笑む刃物である」と自身を見立ててみせた。「でも怖くないですよ(笑)」と久野。間髪入れず「オホホホ」小島のおほほ神事ばりの高笑いが響いた。
「尾張名古屋は久野・小島でもつ」とイシス編集学校では言われてきたが、今回の万全の運びを支えたのは裏方陣であった。脇を固めた佐藤玲子師範代のこまめなチャット編集、面影座のスタッフのカメラワーク、小島夫人こと貴ボーのサポート。いよいよ名古屋支所・曼名伽組の天下どりが見えてきたかもしれない。
名古屋の「やつし」編集は、属性に束縛された現代人や社会にも一石を投じる可能性を秘めている。次回の進化を期待させるエディットツアーの一夜となった。
ゴー!ゴー!なごや 未来の首都 名古屋
待ってりゃあよ 見てりゃあよ 天下を取るがねー