「お題が届いたらサッと目を通して、コピペして会社に持っていく。通勤の車の中で考えて、会社に着いたら調べて、仕事前に投げる」。
平蔵もっぱら教室の第2回汁講で、学衆Iが稽古のダンドリを語った。学衆Mも「スマホに入れて、電車での移動、仕事の一服、いつも考えている」と続けた。開講してから3か月強、学衆たちは、どんなときもお題と共にあった。「いつも編集状態」に陥っている彼らの姿に、師範代の妹尾高嗣は満足の笑顔を浮かべた。わからなさと闘いながら、日常世界に型を探し続ける「いつも編集状態」からこそ、新しいものが生まれてくるからだ。
全番回答期限が迫る2月上旬、一向に回答ペースがあがらない。ソワソワし始めた妹尾を横目に、ようやく038番が投げ込まれた。そこには編集術への信頼の言葉が添えられた。
地と図、地と図と唱えながら情報を動かす意識をするようにな
って、プクプクっと小さな変化が起こりはじめているようで、
これからが楽しみですー。
お題を、何回も何回も読んで、また読んで。
こういった事かと、ボヤッと光が見えて、書いて、消して、加
えて、引いて。ほんと編集だっ。
卒門を決めた学衆にとっても、全番回答期限日は一大事だ。ゴールに向かって、ひた走る後続の仲間を放っておくことはできない。
「最後まで走り抜けて」と『負けないで』(ZARD)が歌われた。すぐさま、学衆Ⅰが「あと一歩だけ、前に進もう」と『Progress』(スガシカオ)を贈る。学衆Mも「夢よ叶え」と『カイト』(嵐)で勢いづける。
ゴールテープが切られるまで、応援歌が鳴りやまない。夕刻に「ひとりじゃない」と『Jupiter』(平原綾香)が響き渡り、2周目だ。学衆Ⅰは「何かが待っている」と『終わりなき旅』(Mr.Children)を持ち込む。妹尾は「負けない、投げ出さない」(『それが大事』大事MANブラザーズ)と檄を飛ばす。最後に学衆Mが「冒険は続く」と『GONG』(WANIMA)を歌いあげた。
「ものすごい緊張感と共に踏み出した一歩を温かく迎えていただき、気づけば全番回答まで導かれていて、感謝感激です」。日付をまたいで届いた最後発学衆の声に拍手が鳴り響いた。平蔵もっぱら教室の学衆たちは、38の番稽古と指南を通して、編集術が人と事を動かすものであることを知り尽くしていたのだ。
数日後、編集状態を続ける覚悟のメッセージがそっと置かれた。
このままだと、少し変化の現れた筋肉が、またもとに戻ってしまう。
お題と指南を求めて、次の門をたたこうと考えています。
まず動いてみることで、何かが見えてくる。48[守]の日々が教えてくれる。次の扉はもう開いている。
▲2022年2月2日(水)の汁講は、積読本ワークと卒門後についての語りで華やいだ。
阿曽祐子
編集的先達:小熊英二。ふわふわと漂うようなつかみどころのなさと骨太の行動力と冒険心。相矛盾する異星人ぽさは5つの小中に通った少女時代に培われた。今も比叡山と空を眺めながら街を歩き回っているらしい。 「阿曽祐子の編集力チェック」受付中 https://qe.isis.ne.jp/index/aso
「近江」からネオバロックへ―近江ARS TOKYO(4月29日・草月ホール)出演者決定
4月29日開催の「近江ARS TOKYO」まであと11日。打合せのたびに進行表が大きく変わってきた。この後、何度塗り替えられるだろうか。何度だっていい。直前まで変更が入るのは、もてなし・ふるまい・しつらいを担う近江AR […]
今こそ「近江」に走るとき―近江ARS TOKYO(4月29日東京・草月ホール)開催
校長、松岡正剛の目が「近江」を向いている。年始のヤマザキマリラジオでは、「近江で日本仏教のヤバさを持ちだす」と一年の抱負を語った。1月中旬のWEEKLY OCHIAIでは、落合陽一氏からの「40歳の松岡正剛へのアドバイ […]
Big Flat Nowの今こそインタースコア力――52[守]特別講義
お正月にやってくる歳神のように、外側からやってきて人々に幸をもたらし、外側に帰っていくのが日本の神と言われる。50[守]の田中優子氏、51[守]の大澤真幸氏に続き、3回目となるイシス編集学校[守]コースの特別講義を担う […]
日本文化の記憶の継承者たれ■武邑光裕を知る・読む・考える(2)
メディア美学者・武邑光裕氏による52[守]特別講義が迫る(2024年1月21日)。『情報の歴史21』イベントに「10周年記念武邑塾2023×DOMMUNE」、いつだって泰然と言葉を紡ぐのが武邑氏だ。そんな武邑ワールドを […]
2023年の流行語年間大賞は、38年ぶりに二度目の日本一に輝いた阪神タイガースのスローガン、「アレ」だ。「明確な目標(Aim)に向かって、先達に敬いの気持ち(Respect)を持って、個々がさらにパワーアップ(Empo […]