自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
黄色のジャケットを脱ぎ、バサリと椅子にかける。
カーキのTシャツの松岡正剛が白チョーク片手に黒板に向かう。
2020年5月30日(土)、44[破]伝習座、夜の本楼にて。
松岡がライトを浴びて火を吹いた。誰が、何が松岡を刺激したのか?
もっと攻めたい、でも攻め切れない、師範代の切実な言葉が起動装置となった。松岡は全ての資料に目を走らせ、それぞれの発言をメモしながら次の一手を沈思黙考する。「聞く、読む、書く」の同時進行で、いつの間にか30分超の講義レジュメを組み立てた。司会を務めた原田淳子学匠もその背中を静かに見守る。
この日、松岡の講義はプログラムに組み込まれていなかったが、
「破-Break」の真髄を師範代に手渡すべく立ち上がったのだ。
扉を開け放してもおさまらなかった熱風講義の一端を動画でお届けします。
動画:林朝恵、写真:後藤由加里
林朝恵
編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
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(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
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