空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

雷の直撃を受けた場合、死亡率は約70~80%。雷撃後に処置がないと9割が落命するという。千夜千冊という「知の雷」に撃たれた者も例外ではない。見事に直撃された者たちは此岸から彼岸へ逝くがごとく、「方法の国」へ渡岸することになるのだ。
2000年の開始以来書き続けられてきた「松岡正剛の千夜千冊」が5月31日に1800夜を達成した。記念すべき1800夜はスザンナ・フランケル『ヴィジョナリーズ』。23人のファッションデザイナーたちに次々とインタビューした著作を取り上げた。千夜編集部による写真キャプション編集とともに存分に楽しまれたい。
千夜1800夜がアップされた瞬間に、編集工学研究所と松岡正剛事務所の面々が学林堂に集い、万雷の拍手とゴルチェが衣裳を担当した『フィフス・エレメント』のサントラで迎え、ささやかな宴を催した。
千夜編集長の寺平からの祝辞と抱負、雷という名をもつ洋菓子エクレア、そして贅沢にも更新されたばかりの千夜を松岡本人が解説。
今回の宴の目玉は130人を超える雷直撃者たちによる「千夜一撃帖」である。イシス編集学校の師範、師範代からAIDAの座衆、スタッフたちまでが、それぞれ1800夜から一夜とワンフレーズを選び、いかにわたしは直撃されたかを吐露したものだ。それらをデザイナーの穂積晴明が八編総覧ごとにフォーマットを変えて、二徹をして一冊の本に仕立て上げた。
松岡本人も一枚一枚をめくりながら、「お、康代がシュテフィター!」「蘇東坡はしぶいねえ」「デミアンは編集学校入る前からだよね」などとスタッフと会話をしながら、130人分の雷体験を楽しんだ。
次は1900夜、そして2000夜へ。一撃を受けるものたちがこれからも続々と増え続けていくことだろう。併走する千夜エディションの刊行、イシス編集学校の編集稽古の日々とともに千夜の雷ロードはどこまでも続く。
吉村堅樹
僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。
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コメント
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2025-09-09
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