ISIS 20周年師範代リレー [第37期 山田泰久 編集学校NPOネットワークの先導役]

2021/10/15(金)09:00
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

 

◇◇◇

20151226日にイシス編集学校の歴史を綴った書籍『インタースコア』が刊行となった。このいちページに名前が刻まれているのが、山田泰久師範代だ。

 

当初、山田師範代は日本財団CANPANプロジェクトの統括責任者であり、“NPOで情報発信といえば“CANPAN”、というほど、NPO界隈では名の知れた活動を広く行っていた。編集の型と出会うことになった山田師範代は、情報編集術がNPOの情報発信と親和性が高く、有効な方法だとすぐさま判断。2014923日に、記念すべき初めてのジョイント・プログラムが開催されることになった。「CANPAN×イシス編集学校ワークショップ」である。

 

以来、情報発信のエキスパートであるCANPANと、情報編集の学校イシス編集学校は、NPOにかかわる組織が情報発信をするための編集術をテーマに、様々な講座を開催してきた。その活動が評価され、インタースコアに記録されることとなったのだ。

 

特筆すべきは、山田師範代自身のプランニング力だ。思いついたユニークな企画の数々に、次々とネーミングして形にしていく力は華麗だ。「ファンドレイジングスーパースター列伝」と題して、11人の歴史的人物を取り上げ、隠れたファンドレイザーを紹介するシリーズは圧巻、トータルで500人まで収録する連載となった。

【ファンドレイジングスーパースター列伝】一覧

寄付の系譜~ファンドレイジングスーパースター列伝より~

 

プロジェクト連携が進むかたわら、自身も守へ入門、その後、花伝所にも進まれて、2016年には晴れて師範代として教室を持つことになった。教室名は「あげあげリバティ」。山田師範代が愛してやまない漫画『とんかつDJアゲ太郎』が由来である。ノッてあげあげ、編集術を駆使して飛躍し、編集的自由を手にしようという願いが込められているのだろうか。学林局から見える山田師範代の指南姿は、朗らかにご自身が一番楽しまれ、ご機嫌あげあげな印象の反面、まじめに丁寧に学衆たちに向き合うイメージが記憶に残る。今もなおEdit tourでの連携を継続するなど、編集学校の内外にあるNPOネットワークを先導している存在だ。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

リオ五輪のフィナーレとともに編集カラオケ八段錦の卒門ソングが賑やかに響き渡った22の教室。新しく見るお題に学衆さんも師範代も師範も一緒にワクワクしたのは、37守のご褒美。お題改変期の「わかる」は「かわる」、「かわる」は「わかる」を疾走!

 

>これからメッセージ>

踏み出した編集のスピードは留まらず。こんな時代からこそ、さらに加速する。

 

あげあげリバティ教室 山田泰久

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇手塚治虫の予言は当たりすぎていたのか?
1608夜 野口勲『タネが危ない』

…2016510

◎ダイナミックな地球生命観をもつためのキーブック

1615夜 丸山茂徳・磯崎行雄『生命と地球の歴史』

…2016年7月28日

⦿「われわれ」は「ここ」に「いる」。

1616夜 ジェスパー・ホフマイヤー『生命記号論』
…2016
808

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  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。