【参丞EEL便#003】広島の未来をつなぐ10の問いとは?

2022/04/25(月)08:47
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広島といえば、カープに、お好み焼きに、厳島。babymetalの中元すず香? いやいや、未来への「問いマップ」やけん!

EEL野村社長の出身地であり、2013年には、元陸上競技選手・為末大さんを2日間合宿のゲスト講師にお招きし、企業塾ハイパーコーポレートユニバーシティ(現[AIDA])としては異例の!? ビジネスマン30名が身体を存分に動かし、脳と心と体のあいだを問いなおした(牡蠣も食べつくした)場として、EELにゆかりある広島県。2021年10月から、広島の未来の「問い」を編集するプロジェクトが動いている。仕掛け人は、もちろん野村社長と、BOOKWARE隊長で映像ディレクターとして感門エンディング映像を即日編集し続けている小森康仁である。

 

「市民の方と一緒になって、これからの社会を考え・発信する場を持ちたい」。今回は広島市「イノベーション・ハブ・ひろしまCamps」の運営者の方からのご相談でスタートし、Campsと東広島市の「東広島イノベーションラボ ミライノ+」の2拠点合同での相互編集プロジェクトとなった。ツールは「本」、ルールは「問いを相互に触発すること」においた。約4カ月にわたって市民参加型で「問いを創造・発信する」対話がおこなわれた。

実は、前回ご紹介した「Co-Edit Shelf」で開発中の「共読プログラム」を一部、実践した。4名のチームになって、本を”問いと対話のための思考ツール”にして用いる。1名1冊ずつの本を、読前・読中・読後で著者のブラウザーを借りて読みすすめ、キーワードとホットワードをたくさん抱えて、一人ひとりの新たな問いを言葉にする。対話ごとのテーマと選書例は、下画像をご覧なられたい。参加者それぞれのものの見方が「地と図」ごと明らかになることで、メンバー同士の関係も深まっていった。

 

これまで出た問いは「未来をつなぐ10の問い」のマップに仮置きされた(冒頭アイキャッチ画像)。小ささと弱さ、アジールのあり方、カープマインドに代表される広島マインド、とは一体何か? 問いから問いの連鎖が生まれた。

この春、2022年度の本格始動に向けてキックオフがあった。この「問いマップ」と導入予定の「Co-Edit Shelf」とともに、世代を超えて「問いを編集するハブ」が広島に、そして全国に広がっていく?

 

 

 

[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]

//つづく//

 

  • 橋本英人

    函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。

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コメント

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山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025