書くとは全部を出す覚悟 多読SP「大澤真幸を読む」読了式 10shot

2021/12/30(木)08:02 img
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 申込開始後、即満席となった多読ジムスペシャルコース「大澤真幸を読む」。『〈世界史〉の哲学』(講談社)を通して”大澤真幸”と交際し、稽古をやり遂げた読衆たちが本楼に集い、12月19日読了式が開催された。

 著者である大澤さんご本人に見守られながら稽古の修了を祝った式典の1日。当日の様子を10shotでお送りします。

 

司会 小倉加奈子析匠

 大澤真幸さんから読衆へ手渡された4つの読みすじをもって読了式の開幕を宣言する司会の析匠 小倉加奈子。

 課題である10000字の読創文を仕上げた安堵からか会場は和やかな雰囲気に包まれながら式典が進んでいく。

 

 初めての多読ジムスペシャルコースの稽古を率いたのは3つのスタジオに立つ3人の冊師たち。大音美弥子冊匠からは大澤さんの方法に肖ってどのスタジオも「①宙吊り感に耐える ②論争を恐れない ③感情を大切にする」という3つのことを大事にし、成し遂げていたとの賛美が贈られる。そして冊師からはスタジオの読衆へ読了証が手渡され、稽古の完走を讃えた。

 

スタジオ☆ヨーゼフ 浅羽登志也冊師(右)

この講座の特徴でもある幼な心の傷を問うところでは寄り添って泣く浅羽冊師。スタジオでは体温のこもった交わし合いがなされていました。by冊匠

 

スタジオ◎そらの孔 加藤めぐみ冊師

稽古スピードは抜群のスタジオ。回答が続々届く中で加藤冊師は一人一人のエディティングモデルを大切にしていました。それぞれの読衆をすっと刺しにいく速さと深さには驚かされた。by冊匠

 

スタジオ◇シン・カオス 吉野陽子冊師

次のステップに進むためにはカオティックなところを通らないといけない。耐える力を大切にしていたスタジオで一旦戻って考え直す方法が盛んに見受けられました。吉野冊師の手のひらの上でいっぱい遊べたスタジオ。by冊匠

 

 読衆への読了証授与を終えるといよいよ各賞の授賞式である。会場にわずかな緊張感が巡る中、ドラムロールが響く。

冊匠賞

スタジオ☆ヨーゼフ 林愛さん(写真上)

「大澤さんの著作とダンスする中で自分の考えを凝らしていき、冒険的な仮説に辿り着いた。読まれた者に対してリスペクトを込めながらも、最後のリスクは自分で取るというとても肝太い読創文でした」

 

多読ボード賞

スタジオ◇シン・カオス 猪貝克浩さん(写真上)

「多読ジムを開発してきたメンバーが最も多読術を感じた一名に授与します。猪貝さんは読書量も多く、これまでの稽古での文章も素晴らしいものだったが、もう一歩というところをついにここで打ち破って、いよいよ頭角を現してきました」

 

大澤真幸賞

スタジオ◎そらの孔 梅澤光由さん(右)

「私の本の中にある考えと松岡さんから得てきた考えを結びつけようとしている方向性がとても自然に感じていいなと思った。僕自身がやりたいと思っていたモチーフにうまくシンクロしてくださって、それが非常に嬉しかった。可能性を感じた」

 

 受賞者の読創文はエディスト上でも発表がされているのであわせてご覧いただきたい。

【冊匠賞】   「ことばを贈る 父でもあり母でもある子どもたち」林愛

【多読ボード賞】「東洋の眼差しの先にあるもの 繕う者と破る者」猪貝克浩

【大澤真幸賞】 「父なる救済 母なる触癒 未来の他者と連帯する方法知」梅澤光由

 

 

 最後は大澤真幸さんと松岡正剛校長の対談で多読ジムスペシャルコースを振り返る。二人の師を前にして、読衆の背が思わず伸びる。

大澤「読書の社会史の研究では朗読形式と黙読形式の二段階があるが、これはどちらでもない。本のポテンシャルを引き出す時に集団的な読み方で楽しくかつ深く読めるという新しい方法を作っているという感じがする」

松岡「《たくさんの私》状態で本に突き刺される、犯される、受胎する。受胎というのは一人のアイデンティティではなく、別様の私、隠れた私だったりする。その状態で鍵と鍵穴を組み合わせて読む。これが『〈世界史〉の哲学』に向かったのが良かった。あとは読みながら書いていくことを促していく冊師たちの努力もある。普通これはない」

 

 この何ヶ月か向き合ってきた大澤真幸を場ごと全部”読む”ために読衆も指導陣も耳をそば立てて対談に集中する。話の中ではお互いの「読む」と「書く」の方法にも分け入りながら、読衆の稽古ぶりにも触れていく。途中、校長松岡が読衆に稽古についてインタビューする場面も。

 

 稽古プロセスまで見ていた大澤さんも「読創文は文章としても面白かった。書くことはその人の全部が出てしまう。逆にその覚悟がないと書けない。皆さんもとてもいい経験をしている」と言葉を寄せ、自分の著書が読まれている場を目の当たりにできたことに喜びを滲ませながら、多読ジムスペシャルコースを読了した。

 


  • 後藤由加里

    編集的先達:小池真理子。
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。

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