取扱注意!松岡正剛×Yohji Yamamoto フォトセッション 10shot

2021/05/26(水)23:33 img
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 本楼に到着するとThe Whoが大音量で流れていた。薄暗い本の楼閣には見慣れた顔ぶれが、見慣れぬ装いで、彼方に睨みを効かせている。強烈なフラッシュとシャッター音。その気にさせたのはYohjiかSeigowか、4人の表情は既に出来上がっていた。

 編集的不良少年少女たちの悪だくみのようなフォト・セッション。撮影は川本聖哉、ディレクション松岡正剛、キャスティング太田香保、モデル吉村堅樹、金宗代、衣笠純子、桂大介、ミキサー寺平賢司、エディスト上杉公志、カメラ林朝恵。皐月のある夜の話。

 

セイゴオちゃんねるで近日公開予定の新プロジェクト「冊影帖」のために山本耀司さんのFRAGILEジャケットを撮影するプロカメラマン川本聖哉さん。赤い本楼にジャケットが微かに揺れる。見ているこちらの気持ちも次第に揺らいでいく。

 

「遊ぶなら老荘俳諧。迷ったときの禅とバロック」

14[離]退院式では司会の大役を務めた右筆 桂大介のしなやかな背中。編集学校でいちばんファッションを遊んでいるのは間違いなくこの人。

 

「寄せるならリベラルアーツ。攻めるならパンクか数理哲学」

遊刊エディスト副編集長 金宗代。すらりとした肢体で華麗に踊る。昨日もまるでそうしていたかのように自在にYohjiと戯れる。

 

「こわれもの FRAGILE」

金髪に銀色のハイヒールのコンビネーションは学林局の”ずんこ”こと衣笠純子。

松岡「どうしてほしい?」

衣笠「好きにしてほしい」

挑発されたのは我々か彼女か。

 

「喧嘩するならアナキズム。守るだけなら墨子とプラトン」

泣く子も黙る遊刊エディスト編集長 吉村堅樹。異様な迫力を醸し出す。「喧嘩するならアナキズム」を地でいく男。

 

セットチェンジの合間の休憩。「これは藤本晴美さんにもらったんです」黒い肺のTシャツ。松岡校長の代わりに胸の猫が紫煙を燻らせている。

 

階段をスタジオにして撮影は続行。「金ちゃん、真ん中に来て手を繋いでみて」誰も思いもしない発想が松岡校長の口から飛び出る。

 

『フラジャイル』(筑摩書房)を片手にいくつものポージングを生み出していく衣笠。一瞬で空間を我がものにしていく。

 

交差する二人の視線でどんな言葉が交わされていたのか。それは誰も知らない。

 

松岡校長もついにFRAGILEジャケット&パンツを装い登場。右胸には「こわれもの」左膝には「取扱注意」があしらわれている。

 

仕掛けたのはYohjiかSeigowか。本楼にラディカル・ウィルが発現したある皐月の夜の話である。

 

 

◆川本聖哉さんによる撮影写真はこちらでぜひご覧ください。

 セイゴオの妖しいフォト・ディレクション

 

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  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。