飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

本来、有事は平時の中に折りたたまれている。こういった有事のときにこそ試されるのが「編集力」だ。
松岡校長の最新の千夜千冊1737夜『ウイルス・プラネット』を引用しての吉村林頭の冒頭メッセージである。
三日前に突然発表された東京都知事からの不要不急の外出の自粛要請。緊急事態宣言ギリギリの状況に開催が危ぶまれた第149回の45[守]伝習座も、有事の編集力で開催に至った。
「古今の『推断と仮説』に目を凝らし、東西の『擬装と模倣』に学んで、なお誰も見たことがない未生の模様をつくっていく」と千夜千冊エディション『編集力』の前口上を続ける。未生に向かうことが編集力なのだ。
普通にやっているだけでは生き生きとした未生には向かえない。時にハラハラやヒリヒリ、不安も必要になってくる。
伝習座のしつらえも単なる縮小オンラインではありえない。学林堂をスタジオに見立て、カメラの角度や照明の微調整を直前まで行い、オンライン参加者へのインストラクションのアナウンスも徹底させた。[守][破]合同開催を別々に切り分け、その分、オンライン上でよりインタラクティブなインタースコアに重きを置く次第へ大幅な編集を加えた。どれもハラハラヒリヒリを伴う判断だった。
こうした不安な状況だからこそ、編集力によって未生を生み出し、生き生きと充実させていける。
「もう一つ、イシス編集学校20周年とコロナという地に置いて描きたい図は『束なる志』。校長は一気呵成の『軍団力』とも言っている。パンデミックという不安な状況だからこそ、契機によみかえ、20周年のイシス編集学校でまだ誰もみたことがない『未生の模様』をみせていこうではないか」と締めくくった。
このあと伝習座は師範代のフライヤー発表や用法語り、校長講義などのプログラムが用意されており、20時まで続く。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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コメント
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2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。