『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。

本来、有事は平時の中に折りたたまれている。こういった有事のときにこそ試されるのが「編集力」だ。
松岡校長の最新の千夜千冊1737夜『ウイルス・プラネット』を引用しての吉村林頭の冒頭メッセージである。
三日前に突然発表された東京都知事からの不要不急の外出の自粛要請。緊急事態宣言ギリギリの状況に開催が危ぶまれた第149回の45[守]伝習座も、有事の編集力で開催に至った。
「古今の『推断と仮説』に目を凝らし、東西の『擬装と模倣』に学んで、なお誰も見たことがない未生の模様をつくっていく」と千夜千冊エディション『編集力』の前口上を続ける。未生に向かうことが編集力なのだ。
普通にやっているだけでは生き生きとした未生には向かえない。時にハラハラやヒリヒリ、不安も必要になってくる。
伝習座のしつらえも単なる縮小オンラインではありえない。学林堂をスタジオに見立て、カメラの角度や照明の微調整を直前まで行い、オンライン参加者へのインストラクションのアナウンスも徹底させた。[守][破]合同開催を別々に切り分け、その分、オンライン上でよりインタラクティブなインタースコアに重きを置く次第へ大幅な編集を加えた。どれもハラハラヒリヒリを伴う判断だった。
こうした不安な状況だからこそ、編集力によって未生を生み出し、生き生きと充実させていける。
「もう一つ、イシス編集学校20周年とコロナという地に置いて描きたい図は『束なる志』。校長は一気呵成の『軍団力』とも言っている。パンデミックという不安な状況だからこそ、契機によみかえ、20周年のイシス編集学校でまだ誰もみたことがない『未生の模様』をみせていこうではないか」と締めくくった。
このあと伝習座は師範代のフライヤー発表や用法語り、校長講義などのプログラムが用意されており、20時まで続く。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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コメント
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