第149回伝習座速報 林頭メッセージ「有事こそ『未生の模様』をうみだす契機に」

2020/03/28(土)15:30
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本来、有事は平時の中に折りたたまれている。こういった有事のときにこそ試されるのが「編集力」だ。

 

松岡校長の最新の千夜千冊1737夜『ウイルス・プラネット』を引用しての吉村林頭の冒頭メッセージである。

 

三日前に突然発表された東京都知事からの不要不急の外出の自粛要請。緊急事態宣言ギリギリの状況に開催が危ぶまれた第149回の45[守]伝習座も、有事の編集力で開催に至った。

 

「古今の『推断と仮説』に目を凝らし、東西の『擬装と模倣』に学んで、なお誰も見たことがない未生の模様をつくっていく」と千夜千冊エディション『編集力』の前口上を続ける。未生に向かうことが編集力なのだ。

 

普通にやっているだけでは生き生きとした未生には向かえない。時にハラハラやヒリヒリ、不安も必要になってくる。

伝習座のしつらえも単なる縮小オンラインではありえない。学林堂をスタジオに見立て、カメラの角度や照明の微調整を直前まで行い、オンライン参加者へのインストラクションのアナウンスも徹底させた。[守][破]合同開催を別々に切り分け、その分、オンライン上でよりインタラクティブなインタースコアに重きを置く次第へ大幅な編集を加えた。どれもハラハラヒリヒリを伴う判断だった。

こうした不安な状況だからこそ、編集力によって未生を生み出し、生き生きと充実させていける。

 

「もう一つ、イシス編集学校20周年とコロナという地に置いて描きたい図は『束なる志』。校長は一気呵成の『軍団力』とも言っている。パンデミックという不安な状況だからこそ、契機によみかえ、20周年のイシス編集学校でまだ誰もみたことがない『未生の模様』をみせていこうではないか」と締めくくった。

 

このあと伝習座は師範代のフライヤー発表や用法語り、校長講義などのプログラムが用意されており、20時まで続く。

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本

(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg