私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

壊すだけが「破」ではない。仏教語の「破執」といえば、とらわれの心や知見を破ることを指し、「破邪顕正」も誤った見解を打破すること。「破情」とは、迷いを捨てることだ。つまり、「破」とは何かを破ることによって、その奥に蟠っていた本来がガバっと顕在してくる動向を示す。たんなる乱暴狼藉は、破ではない。破ったあとどうなるか、が肝心なのだ。
立春をすぎた2月6日(日)22時、《突破》の刻限を迎えた。10月11日から、17週間にわたり文体・クロニクル・物語・プランニング、4つの編集稽古を積みあげる破の旅路。期限までに全番回答を果たした突破者は、47[破]では80名中60名だった。
* * *
「リアルに腸を破るところから始まりました」とは、開講直後、開腹手術を余儀なくされたオブザ・ベーション教室Mの言。Mは病室で痛みをこらえながら知文を書き、「本当に大事だと思ったのは、とにかく方法に頼ることでした」と振り返る。「どうせ手が止まっているなら同じことと、[守]で学んだコップや豆腐のお題をやっていました。ムダになりませんでした」と、限界にあたって型に出ることの重要性を骨身に感じている。
突破30分後、同教室Yもあふれる思いを綴った。
「こんなに真剣になれる学びの場があること。こんなに真剣になれる自分がいたこと。こんなに真剣に向き合ってくれる指導陣がいること。すべてが驚きでした」
「歳を取ると頑固になりますが、『知っていることだけで勝負しない』という稲垣景子師範代の言葉を肝に銘じて、残りの時間、動かせるものは出来るだけ動かしていこうと思います。2月20日の花伝所ツアーにも申し込みました」
《突破》とは、イシス編集学校[破]コースの修了である。そして同時に、師範代養成講座[花伝所]や、[離]世界読書奥義伝、[多読ジム]、[物語講座]、[風韻講座]などの受講資格でもある。一皮むけた学衆たちは、イシスで遊ぶための必須パスポートを手にさらなる編集を続ける。
※参考千夜
1252夜『守破離の思想』
※アイキャッチ
白川静『常用字解』
梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
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2025-07-03
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2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。