自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
「豆腐で役者をわける」。[守]の稽古38題中、8番目のお題タイトルだ。
売上高や収益率、得票数や偏差値なんぞの数値で分けるだけでは世界は分からない。まったく違うカテゴリーで分けることでこれまでなかった見方が獲得できる──と主張するお題である。動物を診療科で、山をチーズで、魚売り場の商品をサッカーのポジションで、日本の歌手の歌唱を書体でと、48[守]の教室には、意欲ある回答が次々と届いた。
新たな分類を発見した学衆たちは、2題先の10番で「たくさんのわたし」に出会っている最中だ。「わたし」は何科でどのポジション?カマンベールか青かびか、明朝なのかゴシックか。そう考えるだけで、自分が編集対象になっていく。稽古の振り返りには、自己の広がりと可能性への気づきが綴られている。
編集した自己は、一つとして同じものがないし、弾力性というか、拡張性というか、可能性のようなものが感じられる。(モーラもらもら教室)
自分はこうだな。と決めつけている部分もありましたが、実はそれはほんの一部かもしれないな。などとも思いました。(キャンピング・サティ教室)
最近の自分の変化にも気づくことができたりして、(M型スピリッツ教室)
いろんな場面になれば自分はその都度違う自分がいるということに気づいて書き出していきました。(はいから官界教室)
自分すらも情報ととらえ、編集し続ける力を励起するのが[守]の稽古である。
石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
イシス編集学校九州支所「九天玄氣組」は今年20年め。周年事業の軸として「九州の千夜千冊」を冠したQten Genki Book『九』を発行した。松岡正剛の千夜千冊から選んだキーブック1冊ごとに33冊のグループをつくる「三 […]
ゲストは田中優子学長!!「九州の千夜千冊」刊行記念イベント必聴です
イシス編集学校九州支所「九天玄氣組」は今年20年め。周年事業の軸となるのは「九州の千夜千冊」を冠したQten Genki Book『九』の発行だ。松岡正剛の千夜千冊から選んだキーブック1冊ごとに33冊のグループをつくる「 […]
イシス編集学校九州支所「九天玄氣組」は今年20年め。秋をめざして周年事業を進めている。軸となるのは「九州の千夜千冊」を冠した書籍の発行だ。松岡正剛の千夜千冊から選んだキーブック1冊ごとに33冊のグループをつくる「三十三冊 […]
【販売開始】11月2日(日)Qten Genki Book『九』刊行イベント-九州の千夜千冊vol.7-
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Qten Genki Book『九』クラファンスタート!-九州の千夜千冊vol.6-
イシス編集学校九州支所「九天玄氣組」20周年記念、松岡正剛の千夜千冊から組み上げた1,000冊のブックナビゲーション「Qten Genki Book『九』」のクラウドファンディングがスタートしました! ●発 […]
コメント
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
夜行列車に乗り込んだ一人のハードボイルド風の男。この男は、今しがた買い込んだ400円の幕の内弁当をどのような順序で食べるべきかで悩んでいる。失敗は許されない!これは持てる知力の全てをかけた総力戦なのだ!!
泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。