懐かしく匂い、新しく香る。鼻をくすぐる感門へ【75感門Day2】

2021/03/14(日)14:04
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真紅のピンヒールに気合を込めて。二日目の八田は、足元から火照っていた。

感門之盟初日の晩、局長佐々木千佳・[守]学匠鈴木康代・[破]学匠原田淳子の三名が艶やかに咲き乱れた「バー共読区(キョードック)」。あの熱気を残したカウンターに、今日はひとりで立って2日目のオープニングを宣言した。赤いISISネオンが八田を照らす。

 

感門の午後にはコーヒーが似合う。八田が手にしたのは、「玄月珈琲」とラベルの貼られたコーヒー缶。名古屋でヴァンキコーヒーロースターを営む、曼名伽組組長・小島伸吾が手がけたものだ。

 

小島は、営業中の店内からオンラインで駆けつけた。自分にとっての共読は「香りを読むこと」だと語る。珈琲を淹れたときの最初の香りをトップノートと呼ぶ。ならば、香りとテキストは重なるものがあるはずだという、小島の声を聞けば、にわかにEditCafeの文字が鼻をくすぐる。

 

オンラインであっても、学衆たちが4ヶ月間、毎日通ったそれぞれの教室には匂いが染み付いている。完全オンライン配信となった第75回感門之盟も、その懐かしい香りをそれぞれの場所で胸いっぱいに吸い込んでいることだろう。

 

 

▲リハーサルでは、珈琲缶ひとつの置き場にも目を配る

 

▲ドンキ・セイゴオがにやりと微笑む。「玄月珈琲」はヴァンキコーヒー オンラインショップにて購入可能。

 

  • 梅澤奈央

    編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
    イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。