12月12日、豪徳寺の本楼でHyper-Editing Platform[AIDA]Season1の第3講が進行している。
生命・文明のAIDAを通じて編集的社会像に向かってほしい
これは松岡正剛座長の冒頭の言葉だ。
VUCAの時代と呼ばれて久しい。新型コロナウイルスの影響下で新たな物語や社会像の必要性に迫られつつも、未だに方向性が見出せない。成長神話の限界を感じてはいるが、その枠組みから抜け出せずにいる。気がつけばオンライン会議やリモートワークが当たり前になり、何の違和感もなく毎日を過ごしている。これは一体どういうことか。どうすればいいのか。
「文明と生命のAIDA」を掲げた今期、松岡座長や分野を超えた知が集うAIDAボードメンバー、招聘するゲストの方法にあやかりつつ、新たな編集的社会像に向かう。
Resetではなく「Re-Edit」へ
AIDAの運営責任者で、『才能をひらく編集工学』を今年著した安藤昭子氏は、そのためにまず「壊すこと」だという。
例えば、ダボス会議が選んだ2021年の年次総会テーマが「The Great Reset」であること。本当に「Reset」でよいのか。今までのことをゼロにリセットするべきではないし、私たちは幼い頃の記憶やこれまでの経験などを引き連れて生きているのだから、そもそもゼロにすることすらできないのではないか。それよりも、一人ひとりが身につけているものを取捨選択し、組み合わせる「Re-Edit」に向かうべきではないか。
複雑へ向かうための「物語」という情報様式
そのためには複雑なものを複雑なまま捉えて向き合う必要がある。これは相当な忍耐が必要だ。そのための方法の一つに編集工学の「物語」という情報様式がある。物語は、言語に先立って生まれた情報を保存し継承する方法であり、古代より人々は複雑な情報を物語によって伝えてきた。
第3講の初日は、ディレクターの吉村堅樹林頭のレクチャー「物語の編集工学」を手すりに、ボードメンバーの著作を通じて新たな読みのブラウザーを手に入れる橋本英人参丞の「Quest Link」セッション、松岡座長やボードメンバー、AIDA師範代も交えた座衆とのAIDAセッションが続く。明日13日は角川武蔵野ミュージアムを訪ね、ゲストには建築家の隈研吾氏、博物学者の荒俣宏氏を迎える。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。
人類は長らく社会文化的感染症にかかりっぱなしだった。 松岡正剛座長は、2020年の大晦日にクリストフ・ポヌイユ&ジャン=バティスト・フレソズの『人新世とは何か』を、2021年の年始にダン・スペルベルの『表象は感染する』を […]
【輪読座】年の瀬にバジラ高橋が語る「見方の問いなおし」(「白川静を読む」第三輪)
「文明の発生は、キリスト教的・一元的ではなく、多元的な相互編集によって起こったのではないか」。 2020年12月27日の輪読座「白川静を読む」第三輪は、バジラ高橋の「見方の問いなおし」から始まった。前回の時 […]
46[守]伝習座「世界の方法の全ては[守]にある」康代学匠・佐々木局長メッセージ
[守]に通底する「情報編集の4つのプロセス」 今、この記事を読んでいるということは、たまたまであるにせよ、明確な目的があるにせよ、何らかの手順を経てこのページにたどり着いたといえる。突然だが、どのようにこの […]
【輪読座】漢字がシステムを生み出した(「白川静を読む」第二輪)
バジラ高橋の輪読座「白川静を読む」の第二輪がスタートした。 第一輪では、白川静と先行する甲骨・金文文字研究のクロニクルを重ねつつ、『万葉集』『詩経』といった東洋古代の世界観に惹かれた白川静が、先行研究の先達 […]
45[破]伝習座「50グラムの勇気を携えて」原田学匠・中村評匠メッセージ
今、物語ることが奪われている [守]で3Aといえば、[破]では3M。メッセージとメディアとメソッドの頭文字から取っている。メッセージとはイメージや伝えたい内容を表現した言葉で、その奥にはヴィジョンやコンセプ […]
NEWS新着記事
PICK UPピックアップ記事