第五輪は、朱子学だ。三浦梅園の人間論は朱子学の四書を編集エンジン、五経を編集データとして、日常生活での実践を重視した新たな朱子学を提唱した。梅園による朱子学の再編集である。
朱熹(1130年-1200年)は、中国南宋時代に生まれ、儒学を編集し大成した。儒学の経典である四書五経の解釈に基づき、自己完善や社会改革を促す思想を展開し、朱子学を創始した。四書は『大学』『中庸』『論語』『孟子』、五経には『易経』『書経』『詩経』『春秋』『礼記』である。
南宋は、1127年に北方の金に滅ぼされた北宋朝が、南方に逃れて再建された王朝である。儒学といった学問だけでなく、織物や陶磁器などの文化が盛んに発達し、科学技術や海外貿易などの面でも発展した。しかし、北方には金、後には元朝が存在したため、南宋は常に北方の脅威にさらされ、1279年には元朝に滅ぼされた。朱子学が統一的国家のための倫理的秩序や道徳的規範に重きを置いたのは、このような政治的不安定があった。
バジラ高橋による図象資料より
第五輪のバジラ高橋による図象解説のタイトルは『儒学における人間論の展開』である。感情や欲望といった情ではなく、人間の本然にある性に従えという「性即理」や君臣の分別や礼節を守る「大義名分」といった「人間論」である。
儒学とはヒューマニズムである。人間の営為に関する学問が現代にはない。人間の人間たるべきありようとは何なのか。
梅園の哲学には儒学の再編集が含まれている。儒学を梅園がどのように編集したのか。その方法を学ばなくてはいけない!
『三浦梅園を読む』も次回はいよいよ最終講。記録映像を視聴できるので、今からだって遅くない。
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山内貴暉
編集的先達:佐藤信夫。2000年生まれ、立教大学在学中のヤドカリ軍団の末っ子。破では『フラジャイル』を知文し、物語ではアリストテレス大賞を受賞。校長・松岡正剛に憧れるあまり、最近は慣れない喫煙を始めた。感門団、輪読小僧でも活躍中。次代のイシスを背負って立つべく、編集道をまっしぐらに歩み続ける。