【イシス祭@親子向け】編集かあさん&編集とうさん「おやこ五感ワーク」

2020/08/30(日)09:54
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 「遠出がしにくい、友だちの家にも行きにくい今、どう過ごしたらいい?」という声が聞こえてくる。
 編集かあさんも、当初少し戸惑った。けれど、誰かと方法を交換しながら編集の眼で遊べば、家の中だってどんどん広くなるのだということをあらためて感じる機会ともなった。
 「誰か」は本でもいいし、今はオンラインで交わすこともむずかしくなくなってきている。

 全国津々浦々で開催中のイシス祭エディットツアーは、ホンモノのお祭り同様、どれも子どもと一緒に参加できる仕立てだが、9月3日(木)のエディットツアーは、「編集かあさん」の方法に思いきり焦点をあてた親子むけワークとしてただいま絶賛企画中である。

 広島でゼロ歳児の未知ちゃんを育てる浦澤美穂師範代が発起人。
「子連れで気兼ねなく参加できるエディット・ツアー、オンラインだからこそ何かできるんじゃないか」と思い立った。それを受けた学林局の佐々木千佳局長が「編集かあさんを連載してる奈良の松井さんと一緒に企画しては」と橋渡ししたのである。
 初めての試み、さあ、なにしよう?
 五感を使って注意のカーソルを動かす遊びはどうだろう。
 守コースの最初に出てくる「注意のカーソル」。編集かあさんは、リアルな場でカーソルをはたらかせる体験こそが、アタマの中で自在に動かす力の土台になると考えている。

 以下、カマエづくりに生かしていただきたく当日のワークの内容を少々明かします。

 まずは色を切り口に注意のカーソルを動かそう。家の中で「あか」や「あお」を探してみる。見つけたら、持ち寄って見せ合いっこだ。

 子どもが「あか」や「あお」を見つけられるということは、「あか」の概念がつかめているということを暗示している。「色」のフィルターをもう手にしているということだ。
 みんなでやればキソイの要素も入ってくるし、「あか」と一言でいっても、いろんな「あか」があるということだっておもしろがりながら感得できる。

 赤ちゃんは、まだ自分で探せないかもしれない。その場合は、色の概念を遊びを通じてインストラクションする方法の一つとして持ち返ってほしい。新しいことを知るということほど子どもを夢中に、そしてご機嫌にする方法はないのだから、インストラクションやナビゲーションはふだんの「ぐずり対策」としてもばっちりなのである。

 もの足りなければ、どんどん難易度をあげていくことが可能なのがこのワークの特徴だ。四角いものは、あれもこれもたくさん見つかる。では三角なものはどうだろう? 五角形、六角形、台形はある?
 次は手触りを切り口にてみる。ふわふわしたもの、つるつるしたもの、ごつごつしたものを探してみると、家の中からどんなものが飛び出してくるだろう。

 五感、注意のカーソル、オノマトペをまたぐ遊びは、編集かあさん家で自然発生したものだ。なによりこの遊びをすると、大人だって子どもだって、見慣れた景色が違って見えてくる。
 バナナを見てバナナだ、では終わらない。「あ、ここにも黄色!」というぐあいに、もう一つの連想がいつでも動くようになるのである。すると【分類】の軸も、立ち上がりやすくなる。片付けの編集術、自由研究の編集術へとどんどんつながっていく。
 オンラインでテスト開催した時は、8歳のけいすけ君が、ナビが驚く方法で「緑色で△なもの」を見つけてきた。
 なんと、ゲーム機を持ってきて、マインクラフトで緑のブロックを三角形に積んで、見せてくれたのである。あれこれ探した末の執念から生まれた、ナビも予想してなかった方法だった。

 9月3日の本番は、柿沼沙耶香さん@茨木のピアノ生演奏つき。
 編集かあさん、編集とうさん、ひとときワークに夢中になって、アタマとココロをほぐしてほしい。日常にひそむ遊びに「型」を見出す方法を身につければ、どんなに狭い空間も、奥行きと広さを増していく。子どもは「退屈だよー」と言い出してから、思いもかけないことをし始めるのである。
 ワークのあとは「編集かあさん虎の巻」を交し合うトークタイムあり。普段の保護者会では言えないことが話せる時間になるはず。
 ワーク、トークともに大人のみの参加も歓迎です。

おやこワーク@オンラインをテスト開催した時の様子


 

■ISIS FESTA 【EX広島&奈良】「おやこ五感ワーク」
 ナビ浦澤美穂、松井路代
 日時:9月3日(木)10:30 ~11:30(開場10:20)
  プログラム:「いろ」「かたち」みつけ遊び&トーク

 イシス経験問わず。親子での参加はもちろん、大人のみの参加も歓迎です。

 参加費:1,100円(税込)
 申し込み
 https://shop.eel.co.jp/products/detail/238

アイキャッチ画像:

『想像力を触発する教育』キエラン・イーガン著、高屋景一・佐柳光代訳/北大路書房

『どんないろがすき』100%ORANGE絵/フレーベル館

『あそんでまなぶ わたしとせかい:子どもの育ちと環境のひみつ』佐治晴夫 著、勝間田明子 著、細田直哉 著

 

関連リンク

【イシス祭@親子向け】お子様連れ歓迎!編集かあさん&とうさんのためのオンラインエディットツアー

  • 松井 路代

    編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。

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コメント

1~3件/3件

若林牧子

2025-07-02

 連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。