今日は何の日? GOZスタート!!!!!!!!!

2020/09/01(火)15:13
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今日は何の日? 正解は「防災の日」。祝日ではありませんが、敬老の日や勤労感謝の日のように、その名のとおり、災害についていろいろ考えてみましょうという日なのですが、なぜ9月1日が防災の日なのか知っていますか?

 

防災の日は、97年前の今日、11時58分に発生した関東大震災にちなみます。大正の末期、震災は東京の地盤だけでなく、日本と世界の歴史をも大きく揺るがしました。アナキストの大杉栄は虐殺され、浅草を中心とした江戸文化は焼滅し、大正ロマンも一時中断。帝都復興の掛け声とともに、またたくまに満州事変、 五・一五、二・二六事件と暗黒の昭和史に突入していきます。松岡正剛『フラジャイルな闘い 日本の行方(連塾 方法日本Ⅲ)』では、大正時代は「現代史へのトランジット・エイジ」だったと書かれています。

 

また、千夜千冊で調べてみると、1367夜『マネーの進化史』のニーアル・ファーガソンが興味深い見方を提示しています。関東大震災が日本をして世界最初の保険国家に仕立てたというのだというのです。興味のある方は千夜千冊を読んでみてください。

 

水木しげる『コミック昭和史 第1巻 関東大震災〜満州事変』(講談社)

 

「ゲゲゲの鬼太郎」でよく知られている水木しげるに、「コミック昭和史」というシリーズがあります。その第一巻が「関東大震災〜満州事変」です。「コミック昭和史」と謳いながら、あえて大正末期の関東大震災から描き始めているのは、水木の誕生日が震災の前年の1922年だったからなんですが、昭和の序章が震災から始まったとも言いたかったのかもしれません。余談ですが、そういえば堀江純一の「遊刊エディスト」人気連載「マンガのスコア」で、水木しげるはまだ登場していませんね。そろそろかな。

 

さて、なぜわざわざ「防災の日」のお知らせジャストを書いたのかというと、記事のタイトルにもあるように、今日からスタートしたできたてほやほやの連載マンガ「GOZ」のご紹介が最終ターゲットです。その「GOZ」というのが実のところ、筆者である金宗代の自主編集企画なのです。言っちゃえば、宣伝となんら変わらないのですが、この企画は金宗代なりのオグカナ=タレブの「身銭を切れ」ふうの編集的実践でもあり、どうか手前味噌で僭越ながら、物語のあらすじと、このたびタッグを組んだ漫画家の駕籠真太郎さんのプロフィールを簡単にナビらせてください。

 

本作は、ペリーの黒船来航から関東大震災にいたるまでの日本近代史SFです。物語のメインは大正時代で、話題作の「鬼滅の刃」をはじめ、マンガではよく使われる時代設定ですが、97年前の今日、歴史を変える大惨事となった関東大震災は、実はこれまでほとんどマンガで描写されることはありませんでした。宮崎駿のアニメ「風立ちぬ」が珍しいくらいで、その主題へのチャレンジの意味を込めて、防災の日である9月1日、11時58分に連載を始めることを決めました。

 

Flying Lotus『You’re Dead!』(Warp Records)

 

駕籠真太郎さんは知る人ぞ知るの方ですが、「駕籠真太郎は日本のダリだ」(『超動力蒙古大襲来』帯文)と言れたり、世界の権威ある漫画賞イタリア・グラン・グイニージやサロン・デル・マンガ・デ・バルセロナなどを受賞し、フライング・ロータス『You’re Dead!』のジャケットワークを手がけたこともあります。また、フランス、アメリカ、香港はじめ各国で個展を開催するなど、海外で高く評価されています。「駕籠真太郎」でググってみるとこれはなんだか凄いなというのは伝わると思います。

 

ちなみに「GOZ(ゴズ)」というタイトルは、駕籠さんの発案なんですが、コロナ禍で大きく注目を浴びたアマビエと同じく悪疫(疫病)を防ぐ神の牛頭天王 (ゴズテンノウ)に由来するとか、しないとか。インスタグラムその他SNSで、ちょっとずつですが、毎日連載するので、ぜひちょこちょこ覗きにいらしてください。さっそくコミックナタリーでも取り上げてもいました。なにとぞご贔屓に。


「GOZ」の連載はこちらのSNSから。

 

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  • 金 宗 代 QUIM JONG DAE

    編集的先達:宮崎滔天
    最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
    photo: yukari goto

コメント

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川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。