空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

イシス編集学校には、「本楼(ホンロウ)」という秘密の空間がある。ここには、本棚になっていない壁はない。つまり、天井以外の全てが本に埋め尽くされた空間なのだ。柱の四面までもが書架になっている。本に翻弄されたいという、イシス編集学校 松岡正剛校長の想いからそびえたった楼閣である。
東京・豪徳寺の編集工学研究所内には6万冊の蔵書がある。1階に位置する本楼には、そのうち約2万冊の書籍がおさめられているという。本屋でもなければ、図書館でもない。編集学校では、この「ブックスペース本楼」を限定開放し、「本楼エディットツアー」を不定期に開催している。普段は見ることができない松岡正剛がプロデュースした空間で、気になる本を手に取りながら、編集術&多読術を存分にお楽しみいただく2時間のスペシャル・コースだ。
かつて東京・丸の内オアゾの丸善に期間限定で出現した、伝説の「松丸本舗」を覚えている方も多いだろう。角川武蔵野ミュージアムに足を運び、その本棚空間に衝撃を受けた方もいるだろう。これら松岡正剛校長がプロデュースする本棚空間の原型が、ここ「本楼」にある。
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次回のツアー情報:
■日時:2023年1月28日(土)14:00 – 16:30
■費用:1500円(税抜)
■会場:編集工学研究所「本楼」(世田谷区赤堤)
■人数:限定15名様まで
詳細・申込:6万冊の本楼 エディットツアー
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当日の流れを少しだけご紹介しておこう。
この本楼ツアーは、本楼を語らせたら右に出るものはいないという吉村堅樹がナビゲートする。これもツアーの大きな魅力のひとつだ。イシス編集学校 林頭であり、編集工学研究所の執行役員、「おっかけ!千夜千冊ファンクラブ」略して「オツ千」の千夜坊主。本楼の隅から隅までを知り、編集術を極めた上級ナビゲーターだ。
まず、当日は、豪徳寺から徒歩10分ほどの、編集工学研究所の1階にいらしていただきたい。
ガラス扉の玄関を入るとすぐに「井寸房(セイスンボウ)」と呼ばれる空間に入る。
重厚な書物たちが天井高の本棚に鎮座しているその小さな空間は、2つの行方を持っている。2階の学林堂へとつながる階段と、背の低い引き戸である。その引き戸を抜けると2万冊にもわたる本がぎっしりと詰まったソコがおでましなのだが、まだソコには入れない。まずは、2階の「学林堂」にお越しいただきたい。
2階の学林堂も、普段は一般に公開されない珍しい空間だ。ここも、すべての壁が本棚でできている。しかしただの本棚ではない。その本の並べ方が、松岡正剛流なのだ。独特な本棚の解説に続いて、参加者それぞれが興味のある本を棚から選べば、いざワークショップの始まりだ。どんなワークかは、当日参加してのお楽しみとしておきたい。“唐突”にこそ編集が駆動するスイッチがあるからだ。
ワークをひとつ終えた後は、いよいよ1階の本楼に向かう。井寸房に戻ると、躙り口の前では吉村のナビゲーションがあるだろう。そしていよいよ、本楼を堪能する時間がやってくる。扉を開けて、一気に本楼の壮大な空間が呈示される。
2階の学林堂とは迫力が桁違いな本楼空間を、ざっと吉村が解説した後、ここからしばらくは「本楼で好きに過ごす」時間だ。短くも、たいへん贅沢なプライベート・タイムが用意されていることも、他のツアーでは体験できないこのツアーの見どころだ。
各々に本楼を味わってから、さらに本楼についての映像、編集工学ミニワークなどが待っている。せっかく松岡正剛の仕事場に足を踏み入れたのだから、ここで編集工学について聞いて帰らなければ、ツアーも道半ばというものだ。吉村林頭が、イシス編集学校名物の朱色の枠でデザインされた黒板を使って、「編集とは?」をナビゲートしていく。
ミニワークは、決してじっくり考えて何かをあげるというものではない。編集を加速させるためには、文字通り“スピード”が肝心だ。そして”インタクティビティ”がキーになる。基本コース[守]で出題されるお題の一部を体験することで、思考の超速状態を体感することになる。
去る2022年10月2日には、同様の本楼ツアーが開催された。その際には、下は大学2年生から上は68歳まで、飲み友探しから50守をすでに申込んでいる人まで、実に多彩な方々が豪徳寺に足を運んだ。ほとんどがイシス編集学校未入門者の方々だったが、ツアー全体を大いに楽しんでいただいたようだ。
これから参加する際には、是非、ツアー自体にどのような編集(趣向)が凝らされているのかにも、注目されたい。そこには極上の「場の編集術」が隠されている。その一端も、本楼ツアーで味わうことができるだろう。
皆様のご参加をお待ちしております。
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本屋でもなければ、図書館でもない。
世田谷豪徳寺にある6万冊のブックスペースを開放し、
エディットツアーを開催!!
普段は見ることができない2階の学林堂から1階の本楼まで、
本を手に取りながら空間と編集術&多読術を存分にお楽しみください。
■日時:2023年1月28日(土)14:00 – 16:30
■費用:1500円(税抜き)
■会場:編集工学研究所「本楼」(世田谷区赤堤)
■人数:限定15名様まで
※詳細・申込:6万冊の本楼 エディットツアー
▶参考情報
【一日限定!】10/2 <2万冊の本楼ツアー>で編集を体験する
本楼ツアーレポート(2022年10月)
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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