発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

「鈴木康代劇場」と銘打って、45[守]の2回目伝習座が6月6日(土)に行われた。2回目といっても今季は初の「1.5回目」があったから実際は3回目だ。オンライン伝習座の回数を重ねてきたイシススタジオにも季節の香りが立ち込めるようになってきた。
あじさいの花咲くスタジオ(本楼花図鑑1)
「梅澤さん、ちょっとそこ座ってくれる?」前日リハで紫陽花との映り具合を確認する松岡校長。
紫陽花の古名は「あずさい」という。これはあず(集まる)さい(藍色)から生まれた語。別名「七変化」ともいう。集う度に変容していく伝習座にふさわしき梅雨の花。
人知れず立てば芍薬(本楼花図鑑2)
芍薬・シモツケ・スモークグラス。Zoomには映らない井寸房もしばらくぶりにひっそりと華やぐ。編工研 田川らんのもてなしのカタチ。
ロールを変えて取材姉妹
「鈴木康代の素晴らしさを誰もトレースできていない」今回取材の使命を帯びたのは42[破]でタッグを組んでいた植田フサ子師範と梅澤奈央師範代。はじかみレモン教室から巣立った3人の師範代を見守りながら、康代学匠に迫っていく。
舞台は幕開けが命
ボレロで始まった破伝習座から一週間。今回は38のお題タイトルを松岡校長、康代学匠、和田番匠がかわるがわる読み上げての幕開け。オープニングにはとことんこだわる。
一番恐ろしい千夜千冊エディション
オンライン化の次なるターゲットは汁講である。実香連でも華麗なナビで活躍中の寺田充宏師範がオンライン汁講モデルの可能性を拓いていく。
「一番恐ろしいエディション」だと寺田師範が手にした『ことば漬』から「誤植編集術」を取り出し、誤植の妙を編集ワークに転化させる。
この日のお題は「古池や蛙飛び込む水の音」の一語を言い換えてみようというもの。合図とともにチャットには勢いよく回答が寄せられた。
言葉もウイルスも変異する
「古池や桂飛び込む水の音」
チームの桂大介師範(右)をいじって笑いを起こしたのは三苫麻里師範代(中洲マリリン教室)。
ほんの一部の変更が意味を変え、情報を増やし、多様性をうむ。それは言葉だけではなく、ウイルスも変異でA・T・G・Cの書き換えが起こる。誤植の「地」をさらりと変え、参加者の視界を一気に広げる寺田マジック。
今日は金縁で
「久しぶりに金縁にしよう」本番前に眼鏡を掛け替え、Tシャツもジャケットもお着替え。変異は校長の眼鏡にも宿る。
桟敷からテラダイラ
ロールに徹し、ツールを使い、いるべきポジションでルールを更新していく。情報は俯瞰するとよく見える。
4分間のエディション語り
6月12日に刊行された千夜千冊エディション『宇宙と素粒子』。編集し続ける松岡校長に並走するための師範エディション語りは今回で2回目。「一冊を串刺しにして欲しい」と願う校長からも前日リハでディレクションを受けながら、師範それぞれの読みを深め、師範代に託していく。『神と理性』を担当した平野しのぶ師範と『芸と道』を語る池澤祐子師範。
アジールを解放しているのはあなたですよ
ラストシーンは松岡校長による鈴木康代学匠インタビュー。校長が編集学校で誰かにインタビューするのは初めてとなる特別プログラム。
今回インタビューしてみたかったのには3つ理由がある。まずは編集学校で重要なメンバーである冨澤学匠が病に倒れ、次を任せるために鈴木康代を選んだことを皆さんに改めて伝えたかったこと。次に311直後から鈴木康代の中で起きている大きな変化を感じていたこと。そして[守]学匠を引き受けた後の話を聞いてみたかったこと。
*****
松岡:最初に学匠やってみるとなったときにどんな感じだった?
鈴木:冨澤学匠がいたときはもう一つメタな目があったんです。自分が学匠になった時は、仮想領域に私を置くことがなかなか難しく2週間悩みました。
松岡:強烈に2週間悩んでいることはわかった。でもそこから仮想領域を取り戻して切り返してきたよね。あれはすごかった。
鈴木:これやらなくちゃってなったときに閉じはじめる。今までこんな風にロールをやったことがない、これじゃないと。
しかし、そこからスピードを緩めず「やらなければいけないことを好きになる」に向かっていったことが鈴木康代の[守]をつくっていった。学匠を任されてから2年で講座ごと高速にブーツストラッピングしていく。そのためのルーティンはこの5年間、毎日欠かさずつけている全教室の得番録。
松岡:普通アジールや結界は閉じていくもの。徹底的にディテールを見ることでアジールを超えている。アジールを解放できる人がいるのかとびっくりした。
末っ子の三女でものまねが好きだった少女時代。天真爛漫さは学匠となっても色褪せる気配もなく、周りを巻き込みながら飛躍し続けている。
鈴木康代劇場は松岡校長のAppreciationをもって、次のステージへと歩を進める。今この瞬間も45[守]は稽古に向かっているところである。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。