美容師モトカ、松岡正剛をカットする。本楼美容室 遅ればせの10shot

2021/11/19(金)14:06 img
img LISTedit

 なんだか騒がしい一週間だ。深谷もと佳が小倉加奈子に応じれば松岡正剛が深谷もと佳に応える。田中晶子が速報を届ければ林朝恵が騒ぎ、梅澤奈央がニュースにする。遊刊エディストと千夜千冊をめぐる事件にざわざわが止まらない。吉村堅樹と穂積晴明も間髪入れずオツ千する

 

 事件となったのは1787夜。なんでも速く、安全で、コスパが良く、わかりやすいのが良いとされる風潮に疑問を感じている人には「ネガティブ・ケイパビリティ」が効く。とはいえ「遅ればせ」を狙っていたわけではないが、密かに温めていた”あの日”の一幕を1787夜に連なって10shotで解禁します。

 

◇◇◇

 

 2021年1月。この日は校長松岡正剛の誕生日の翌日だった。かねてから計画があがっていた「校長の髪を切る」というプロジェクトのために、深谷もと佳は車を飛ばし、小田原から豪徳寺・本楼に駆けつけた。

この日は本楼の主人が客となり、モトカが美容師としてもてなす。「短くしなくてもいいから梳いてほしい」やんわりとした客人のオーダーからイメージを組み立てていく。

 

シャンプー台のない本楼ではドライシャンプーと霧吹きで手際よく髪を濡らしながら、アタマの情報をあつめる。

 

「難しい髪の生え方をしているかと思っていましたが安心しました」本番前にイメージメントを重ねて臨むも想定外にカットしやすい髪だという。

 

カメラマンにとってもヘアカットの撮影は初めてである。こちらは想像以上に早い手捌きにシャッターが追いつかず写真がブレまくる。

 

24歳で美容師になってからもずっと小田原を拠点に活動を続けているモトカ。その仕事ぶりを一目見にスタッフがギャラリーとなって集まり静かに見守る。

 

「松岡さんの場合は・・」バランスと奥行き、頭のカタチ、雰囲気などのModelを掴み、モトカは「スマートな感じにしたい」と見立て、イメージに向かって彫塑していく。

 

「眉毛も切っておいてください」スタッフからもオーダーが入る。日本製のシザー。動きは見とれるほど美しい。

 

モトカのアトリエのオリジナルケープ。プリーツがカラダに沿って柔らかい曲線を描く。「天使みたい」とギャラリーからも好評。

 

ワックスで仕上げ、きめていく。最後にスタイリングの技を指南。スタッフも熱心に耳を傾ける。

 

「素晴らしいね」眼鏡をかけ鏡を見つめると思わず笑みが溢れる。爽やかに若々しい印象。

 

さて、美容師モトカの編集プロセスは素人が見ているだけではわからないが、「短くしなくてもいいから梳いてほしい」という客人松岡のオーダーから、スマートで若々しいカットに着地。明らかにいつもと何かが違い、何が違うかわからないがかっこいい仕上がりであった。

 

週刊花目付#23によるとシザーを新調したらしい。新しいシザーはまた本楼でお目見えとなるのか。続報を待ちたい。

 

協力:林朝恵

  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

  • 『方法文学』を写真する PHOTO Collection【倶楽部撮家】

    本にはなんだって入る。世界のまるごと入ってしまう。写真にもなんだって入るだろう。世界がまるごと入った本だって入る。  今夏刊行された『百書繚乱』(松岡正剛/アルテスパブリッシング)では、こう締めくくられている。 &nb […]

  • 田中優子学長、吉村堅樹の着物を見立てるの巻 5shot

    学長 田中優子が人生で初めて男の着物を見立てることになった。しかも、その相手は林頭 吉村堅樹である。    事の発端は7月某日、学内会議中に優子学長が突然切り出した。「吉村さんは着物を着た方がいいと思うの」。 […]

  • 本とレンズが見ている【松岡正剛 revival 08】

    2024年8月12日、イシス編集学校校長の松岡正剛が逝去した。エディスト編集部では、直後に約1カ月にわたる追悼コラム連載を実施。編集学校内外から多数寄せられた松岡校長の面影は、1年経ってもなお鮮明だ。まるでその存在が読む […]

  • 写真家研究とモンタージュで写真を深める【倶楽部撮家:25秋募集】

    倶楽部撮家 第2期生募集!  多読アレゴリア「倶楽部撮家」の第2期目は、「写真家研究」と「モンタージュ」を楽しみます。第1期目の夏シーズンは、自身の幼な心を起点にして、まずはシャッターを押してみることを試みてきました。次 […]

  • こまつ座「父と暮せば」をイシス編集学校の師範が観てみました 第2弾

    こまつ座「戦後”命”の三部作」の第一弾「父と暮せば」(井上ひさし作/鵜山仁演出)が現在公演中です。時空を超えて言葉を交わし合う父と娘の物語。こまつ座がライフワークとして大切な人をなくしたすべての […]