【松岡正剛 映写室 Take-07】どんなものも夢のように創る

2022/09/05(月)08:56 img
img PASTedit

【松岡正剛 映写室】は師範の林が松岡正剛の表舞台、裏舞台を動画撮影した記録を蔵出ししていくEdist企画です。

【Take-07】は「千夜千冊の秘密」の秘密インタビュー番外編です。場所を本楼(編集工学研究所内)から同館内にある松岡の書斎に移して聞きたいけど聞けなかった、小さな疑問にも答えてもらいました。
本棚がぐるりと囲む部屋の奥に松岡は座って仕事をしている。ここで幾多の千夜千冊や著作が生まれているかと思うと広大な宇宙と繋がれるような気持ちになる。今回はいつも撮影を担当してくれている、エディスト編集部の後藤由加里師範から「問い」を投げてもらった。松岡がイベントを演出する際に「夢のようなものを創るつもりでやりなさい」とテクニカルスタッフにディレクションしていたことがずっと気になっていたからだ。編集学校で開催されるイベント(感門之盟や伝習座など)で、後藤自身が「夢」を受け取り続けてきたからこそ、聞きたかった秘密であり、カメラを本格的に始めるキッカケもここにある。

 

【松岡正剛 映写室 Take-07】どんなものも夢のように創る

 

※2021年4月初旬に行ったインタビュー映像と2020年8月に開催された丸善創業150周年記念イベント「千夜千冊の秘密」本番のドキュメント映像を使用して編集しています。

 

撮影・編集 林朝恵
撮影・アイキャッチ写真 後藤由加里
協力 松岡正剛事務所 丸善雄松堂

 

【Back Number】

【松岡正剛 映写室 Take-01】どこでも読む書く

【松岡正剛 映写室 Take-02】黒板で思考をキリトル

【松岡正剛 映写室 Take-03】講演は舞台のように

【松岡正剛 映写室 Take-04】校長もREMIXする78感門

【松岡正剛 映写室 Take-05】本を主人公にする★祝1800夜

【松岡正剛 映写室 Take-06】演出でインタースコアする

  • 林朝恵

    編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。

  • 仮想教室名があるから自由になれる 43[花]

    通りを歩けば紫陽花を見かける季節がやってきた。 土の酸性度によって色が変わるこの花は、現在進行形で変化を続ける入伝生の姿にも重なる。   6月になり錬成期間に入った入伝生は師範代になりきって指南を書きまくる日々 […]

  • 写真仲間求む!編集術でカメラと戯れる【倶楽部撮家】が多読アレゴリアにやってきた

    「写真×編集」する倶楽部  写真に特化したクラブがついに多読アレゴリアでオープンします。クラブ名は「倶楽部撮家」。名付け親は松岡正剛校長です。  編集を人生する。撮影を人生する。カメラさえあればどなたでも参加可能です。プ […]

  • 【劇団こまつ座】2度観ても笑撃、井上ひさしの『太鼓たたいて笛ふいて』

    こういう作品は何度でも見たくなる。この物語を生きる人たちといつまでも茶の間で笑い続けたくなる。   2024年11月初旬、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、井上ひさしの戯曲『太鼓たたいて笛ふいて』 […]

  • 【追悼】松岡正剛のひっくり返し

    本楼にある黒いソファを移動して、その脇に求龍堂の『千夜千冊』と角川の『千夜千冊エディション』を並べて松岡さんを迎えた。2度目の肺癌で入院する直前の2021年4月初旬、急遽、オンランイベント「千夜千冊の秘密」で語り切れなか […]

  • 41[花]編集三世代のダンダン放談

    ミームとは一体なんだろうか。 編集学校でよく登場するこの言葉を松岡正剛校長は「意伝子」と訳しているが、何がどう伝承されているのかは漠然としている。 「お題ー回答ー指南」というテキストベースの編集稽古をしている中で一体なに […]

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025