『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。

エディットタウンには9つの書域がある。例えば5つめの書域「日本の正体」は、16の書区で成り立っている。ひとつめの書区は「日本列島と日本人」。その棚には、01日本列島の形成、02山・海・里の風土、03日本人はどこからきたか……と7つの書列が並ぶ。【編集稽古016番:ニホン置きなおし】の応用だ。
書区や書列のタイトルも、「戦争と復興と繁栄」の【三間連結】に、「詩と歌と詞」の【三位一体】、「きらきら絵本・どぎまき絵本」の【オノマトペ】に、「刻まれた記憶・綴られた記録」と【ミメロギア】、そもそも本の並びを街に【見立て】たところから、[守]の方法が満ちみちている。この編集三昧の聖地を、50[守]師範代、師範、学匠、番匠、12名が訪れた。第2回伝習座の翌日のことである。
45[守]から47[守]までは本楼に集えない期だった。48[守]と49[守]で顔を合わせる機会が少しずつ増え、50[守]の第2回伝習座には九州や関西からの参加者も含む10人の師範代が集まった。50[守]師範代の多くが45期以降の入門者で、感門之盟も汁講もZOOM越しの世代である。「師範代にリアル汁講を体験してもらいたい。交流もしたいし、校長の方法に触れてほしい」。そう考えた番匠、若林牧子の発案で、角川武蔵野ミュージアムへの汁講体験ツアーが実現したのだ。
12月4日の東所沢は快晴。伝習座明け、晴れ晴れとした表情の面々は、談笑しながらミュージアムに向かった。入館後はエディットタウンに直行し、思い思いに本の街に分け入っていく。岐阜から参加の外骨ジャーナル教室の師範代、山下雅弘は「訪れる者を圧倒してくる分量にもかかわらず、一冊一冊の個性が際立つ本の宇宙。おののくような体験でした」と印象を語った。何時間でも巡っていたいところだが、汁講体験ツアーと名づけたからにはただの散策では終わらない。
「自分にないものフィルターによる本選び」というお題が出された。お題があると動きが変わる。自分に「ないもの」を求めて、普段なら通り過ぎてしまう棚をじっくり眺めることになる。選んだ本は、ランチタイムに紹介しあった。本を媒介にしてそれぞれの興味や数寄や意外な一面、【たくさんのわたし】が見えてくる。語る表情や身振りに聞いている者の反応も加わって話が広がっていく。
疑似汁講を体験した師範代たちは、自教室の汁講プランニングに向かっている。どんな発見が交わされるのだろうか。50[守]のみなさん、大いに期待してのご参加を。
写真:堀田幸義、若林牧子
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石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
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コメント
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2025-10-15
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「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。
2025-10-14
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