P1グランプリ イルマニアのキセキ①【77感門】

2021/09/20(月)09:18
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◆教室対抗でハイパーミュージアムのプランを競うプランニング編集術アワード「P1グランプリ」。77回感門之盟で46[破]から本選に勝ち残ったのは、アジール位相教室の「ハッコウクエスト」、王冠切れ字教室の「ニッポン吟醸蔵」、そしてジャイアン対角線教室の「東京イルマニア博物館」だった。優勝に輝いたイルマニアのキセキをレポートする、第1回目。

 

▲ジャイアン対角線教室のP1グランプリ本選の様子。左奥にはモヤイが浮かぶ。(撮影/後藤由加里)

 

■創発は「遊び」だから生まれる

 

「突破デーから一夜明け、集中から解放されたでしょうか。さあ、ここからは遊び度高めに、かつ本気の編集です」
 突破期限の8月8日から一夜明けたこの日、46[破]の別院には、原田学匠のファンファーレが鳴り響いた。P1グランプリ開催が高らかに宣言されたのである。
「編集に終わりはない」とはイシス頻出フレーズだが、それを地で行く展開だった。

 

 P1グランプリは、前回の感門之盟で始まった破のイベントである。プランニング編集術で学衆が考えたプランから、それぞれの教室でひとつ選び出し、それを相互編集で磨き上げる。磨き上げた結果は、「応援記事」「紹介記事」によって遊刊エディストで披露される。
 8月23日に遊刊エディストで投票がスタートし、25日、投票で10教室中2教室が選ばれる。推薦1教室とあわせて、3教室が9月5日の感門之盟の本選に進む、というルールだ。

 相互編集の時間を確保するためには、早めに教室代表プランを選出しなければならない。ジャイアン対角線教室では、学匠の号砲から20分後、師範代から勧学会に「行くぜ!」というメッセージが投げ込まれた。だが重要なのは気合いじゃない。メトリック。選ぶ基準だ。師範代はものさしも一緒に差し出した。

 

(1) 文字だけでイメージが広がる
(2) 「え?」という意外性がある
(3) プレゼンの際、「具体」を用意できる

 

 種を明かせば、主に(1)は紹介&応援記事対策。(2)は投票対策だ。どんなに良いプランでも、それが「読み手」に伝わらなければ本選で披露できないからだ。イメージの広がりと意外性は、ミメロギアなど番ボーにも通ずるメトリックでもある。最後の「具体」は、本選を見据えてのものだった。具体――超部分をどう見せられるか。部分から語れるか。鍵はここにあった。

 9日深夜に投げ込まれた球を、10日朝、メタファーで打ち返したのは、教室のスピードスター・石川英昭さんだ。石川さんは、師範代からの「選考を仕切ってね」という乱暴な丸投げに対し、P1グランプリを華麗に言い換えて見せた。

 

P1グランプリとは――「ゲームのボーナス・ステージ」
P1グランプリとは――「卒業作品の共同制作」
P1グランプリとは――「相互編集の夏祭り」

 

「ボーナス・ステージ」や「夏祭り」という言葉の奥底には「遊び」がある。そう、P1グランプリは大いなる遊びなのだ。では「編集は遊びから生まれる」をどう具現化するか。

 

▲スピードスター・石川英昭さん。本人のアイデアで白衣を着て「次世代ゲーム研究所所長」になりきり、本選では紙芝居をツールに使った。


 石川さんのメタファーによって交わし合いが活発になった教室に、満を持してコトアゲしたのが、46[破]最年少学衆、若干20歳の川上鼓太郎さんである。
「自薦でも構いませんとのことなので、私は<東京イルマニア博物館>を推薦します」
 堂々の宣言だった。あとで尋ねると「えーと、自信があったからです」と屈託がない。知文AT賞では選に漏れ、悔しい思いをした川上さんだったが、あるいは「今度こそ」のリベンジだったか。
 
 教室では、川上さんが手を挙げる以前から、「東京イルマニア博物館」に高評価が集まっていた。そこにもってきての自薦だ。イルマニアで遊ぶ。教室の進むべき方向は決まった。(つづく/全3回)

 

※アイキャッチイラスト(川上鼓太郎・作)は、入間の古社「出雲祝神社」に浮かぶオブジェ、池袋駅の「いけふくろう」。

 

▲46[破]最年少の川上鼓太郎さん。彼の立候補で場が動き出した。プランで使用した画像は、すべて川上さん作製だ。


  • 角山祥道(ジャイアン)

    編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。

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