多読ジムには、「書院」というコミュニケーション・ラウンジがあります。[守]・[破]でいうところの「勧学会」に相当します。そこでは「読相セイゴオ語録365」と大音美弥子冊匠の「スタジオ語録」が毎日配信され、図像編集をシェアする「マッスルギャラリー」や「おみくじ本」など企画型のお題やコンテンツがふんだんに用意されています。
◆多読ジムpresents「千夜リレー伴読」
その企画の一つに「千夜リレー伴読」があります。これはタイトルのとおり、松岡正剛校長のウェブ千夜千冊を「伴読」するという多読な試みです。大音冊匠、金宗代代将、小倉加奈子析匠、米川青馬多読師範、福田容子多読師範、吉村堅樹林頭が「リレー」形式でお届けしています。
多読ジムの書院でのみ会員限定で配信してきたこの「千夜リレー伴読」ですが、今回からこちらエディストで連載コラムとして公開していくハコビとなりました。記念すべきエディスト第一弾は、2021年04月15日にアップデートされた1768夜 吉田憲司『文化の「発見」 驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで』。
◆なぜ人は「もの」を集めたくなるのか
1765夜の『フェティシュ諸神の崇拝』、1766夜の『近代の〈物神事実〉崇拝について』、1767夜『フェティシズム論の系譜と展望 越境するモノ/侵犯する身体』に続いて、当夜も「フェチ」をめぐるお話です。でも、フェチはフェチでも「コレクション」に特化しています。しかも、本書は「驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで」というサブタイトルがつけられているように、コレクションはコレクションでもちょっと「変なコレクション」、つまり「収集」ではなくて「蒐集」と綴るべきコレクションの”ナゾ”を深掘りしていきます。
なぜ人は「もの」を集めたくなるのか。この深すぎるナゾについて、実は歴史上まだ誰もきちんと応答できていません。詳しくは千夜千冊を読んでほしいのですが、そのナゾに対する松岡校長の見方を端的に示す文章を3つばかり引用したいと思います。
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一つ目、「コレクションするということと、われわれの内なるプリミティブとは何かということは、どこかで深くつながっている」。
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二つ目、「フェティシズムとアブダクションが欠落したままなのだ」。
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そして、三つ目がとおる。「われわれが何かを蒐めるという行為に入っているとき、あるいは何かを充填したいと思ったとき、そこには「負の袋」のようなものが口を開けている」。
◆編集工学の型と人間文化の謎
私たちは決して所有欲や独占欲や顕示欲だけのために物を集めようとするのではありません。「内なるプリミティブ」は「幼なごころ」と言いかえることもできますね。私の5歳の娘もたくさんの「変なコレクション」にハマっています。たとえば、下の写真は石のコレクションです。左から「ギザギザの石」「大きな石」「まるい石」「きれいな石」というふうに分類して蒐集しています。子どもは生活の大半をこうした「変なコレクション」に費やして暮らしています。
今となっては羨ましいばかりですが、ここで思い出してほしいのが編集学校の[守]の用法1のテーマが「わける/あつめる」だということです。編集人間である私たちは、なぜ「情報」を集めたくなるのか。編集工学の型と人間文化の謎はこんなふうにつながっているんですね。
◆ウェブ千夜の小さなニューウェイブ
「セイゴオほんほん」がつい数日前に更新されました。その「ほんほん・38」にも書かれていることですが、この1765夜からウェブ千夜千冊に新たな変化が起こっています。一番下のクレジットまでよく見ると「図版構成」に井田昌彦さんと梅澤光由さんのお名前がありますね。これまで千夜の図版は松岡事務所の寺平賢司さんと西村俊克さんが中心となって構成してきたのですが、これからは編集学校の師範や師範代も加わることになりました。エディションでは見れられない、ウェブ千夜ならでは図版編集の魅力もいっそう堪能してください。
ちなみに「変なコレクション」というと、神奈川県伊東市にある村崎百郎の「まぼろし博覧会」を思い出しました。きゃりーぱみゅぱみゅちゃんも訪れたことがあるのだとか。
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:モーリス・メーテルリンク
セイゴオ師匠の編集芸に憧れて、イシス編集学校、編集工学研究所の様々なメディエーション・プロジェクトに参画。ポップでパンクな「サブカルズ」の動向に目を光らせる。
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