飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

若き日の草踏む道を振り返り
四つの道場が次々に開く。10月23日午前八時。やまぶき道場が膜をあけた。ウェルカムメッセージには花伝師範の極上の想いが掲げられる。いよいよ20名の入伝生が道場を纏い式目演習に向かう瞬間だ。
ただ、一人ではない。道場の仲間と師範陣、そして入伝式の共読ワークで創りだした道場ごとの五か条もある。
◆わかくさ道場
①学衆さんに対するリスペクト
②予定調和にしない
③偶然を尊重する
④幼心で楽しむ・面白がる
⑤不足から生まれるものがある
◆やまぶき道場
・畦道、寄り道で見つけたものを引き連れるべし
・なりとふりでつもりの世界を突き詰めるべし
・全体と断片を交互に見るべし
・感想的な指南を書かないべし
・個々だけでは見えてこないものを追うべし
◆くれない道場
一 多様に伏せて、独白に開けて
二 物まねから、つもりをホントに
三 回答の別様を大切に
四 偶然の気付きにカーソルを
五 関係性の変化に面影を観る
◆むらさき道場
むらさきは、半生のままでも相互作用を活用する
むらさきは、異質に分け入り面白がる
むらさきは、間を走るアスリートである
むらさきは、別様のための実験道場とする
むらさきは、不意と影を取込み、将来を創文する
道場五か条は、38花各道場の多様を表しつつも、底流には花伝のインヘリタンスも感じられる。
千夜千冊の方法と、道場演習のTとその先にも接合して、ブラッシュアップを進めたい
花伝師範・岩野範昭の入伝式ワークでの評価コメントは、各道場生への期待と餞の言葉だ。五か条は38花を通してエディットされ道場の色彩を際立てていくだろう。
◇◇◇
10月24日 道場生の緊張と期待と編集熱が画面越しに伝わってくる。むらき道場に「M1(モデル)」が投じられた。
いよいよ花伝演習のはじまりです。M1演習課題を出題します。居ずまいを正し、臨んでください。(花伝師範・中村麻人)
ここは教室ではなく道場。この花伝師範の言葉のハコビで背筋が伸びたことを、経験者の誰もが思い出す。道場では、道場生だということを。
やまぶきのMが道場挨拶で届けた言葉が浮かぶ。
今回の道場メンバーは、職業、年齢、経験値、出身期・教室が多様なため、どんな編集モデルが登場するのか楽しみにしています。相互編集やモデル交換するのも楽しみです。
メンバーの多様は相互編集のための大事な突起。あらゆるバイアスを消し、ダイバーシティをエディティングセルフの喚起へ向ける道場生のカマエが求められる。私という地から師範代という存在へ。自分以外の他者を我が身に取り込むことで編集的自己があらわれる。肝は、師範代へなるというカマエだ。
文 岩野範昭(花伝師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(花伝師範)
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松岡校長メッセージ「イシスが『稽古』である理由」【38[花]入伝式】
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
8週間で式目を終える密なる花伝所。43[花]の入伝生は、編集を加速させ、最後の図解ワークの課題まで走り抜けた。外部の情報を取り込み、世界の見方を変え自己へも編集をかけてきた彼らはいま、この先に続く編集道を前に悩み、立ち […]
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膨大な記事の中から、イシス編集学校の目利きである当期の師範が「宝物」を発掘し、みなさんにお届けする過去記事レビュー。4回目のテーマは、編集学校の骨法「アブダクション」。この推論の方法をさてどうヨミトキ、何に見い出すか。 […]
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「わかること」だけが判断の基準になりつつある現代に違和感をもっている人は少なくありません。「わからないこと」の複雑性を受容しながら、一つ一つの事象を知覚して言葉を選び、巧みに連ねていくこと。言い換えれば、関係性の発見こそ […]
Break by itself. 自分の殻を内側から壊す。これが破れだ。破るとは決意するということだ。 6月28日、[花]キャンプでの「ハイパー茶会プラン」のグループワークが始まった。開幕して38分後、道場 […]
花伝所のキャンプに地図やガイドは用意されていない。あるのは与件のみ。 既成概念に捉われず多様な触発を引き起こし、よくよく練られた逸脱に向かうカマエが重視される。 43[花]のクライマックスは、2日間にわたる […]
コメント
1~3件/3件
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。