38[花]膜が開く。四色の道場

2022/10/25(火)01:00
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若き日の草踏む道を振り返り

四つの道場が次々に開く。10月23日午前八時。やまぶき道場が膜をあけた。ウェルカムメッセージには花伝師範の極上の想いが掲げられる。いよいよ20名の入伝生が道場を纏い式目演習に向かう瞬間だ。

 

ただ、一人ではない。道場の仲間と師範陣、そして入伝式の共読ワークで創りだした道場ごとの五か条もある。

◆わかくさ道場
①学衆さんに対するリスペクト
②予定調和にしない
③偶然を尊重する
④幼心で楽しむ・面白がる
⑤不足から生まれるものがある

 

◆やまぶき道場
・畦道、寄り道で見つけたものを引き連れるべし
・なりとふりでつもりの世界を突き詰めるべし
・全体と断片を交互に見るべし
・感想的な指南を書かないべし
・個々だけでは見えてこないものを追うべし

 

◆くれない道場
一 多様に伏せて、独白に開けて
二 物まねから、つもりをホントに
三 回答の別様を大切に
四 偶然の気付きにカーソルを
五 関係性の変化に面影を観る

 

◆むらさき道場
むらさきは、半生のままでも相互作用を活用する
むらさきは、異質に分け入り面白がる
むらさきは、間を走るアスリートである
むらさきは、別様のための実験道場とする
むらさきは、不意と影を取込み、将来を創文する

道場五か条は、38花各道場の多様を表しつつも、底流には花伝のインヘリタンスも感じられる。

 

千夜千冊の方法と、道場演習のTとその先にも接合して、ブラッシュアップを進めたい

花伝師範・岩野範昭の入伝式ワークでの評価コメントは、各道場生への期待と餞の言葉だ。五か条は38花を通してエディットされ道場の色彩を際立てていくだろう。

 

◇◇◇

 

10月24日 道場生の緊張と期待と編集熱が画面越しに伝わってくる。むらき道場に「M1(モデル)」が投じられた。

いよいよ花伝演習のはじまりです。M1演習課題を出題します。居ずまいを正し、臨んでください。(花伝師範・中村麻人)

ここは教室ではなく道場。この花伝師範の言葉のハコビで背筋が伸びたことを、経験者の誰もが思い出す。道場では、道場生だということを。

 

やまぶきのが道場挨拶で届けた言葉が浮かぶ。

今回の道場メンバーは、職業、年齢、経験値、出身期・教室が多様なため、どんな編集モデルが登場するのか楽しみにしています。相互編集やモデル交換するのも楽しみです。

メンバーの多様は相互編集のための大事な突起。あらゆるバイアスを消し、ダイバーシティをエディティングセルフの喚起へ向ける道場生のカマエが求められる。私という地から師範代という存在へ。自分以外の他者を我が身に取り込むことで編集的自己があらわれる。肝は、師範代へなるというカマエだ。

 

文 岩野範昭(花伝師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(花伝師範)

 

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38[花]プレワーク 10の千夜に込められた[花伝所]の設計

  • イシス編集学校 [花伝]チーム

    編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。

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コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。