発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

人類は長らく社会文化的感染症にかかりっぱなしだった。
松岡正剛座長は、2020年の大晦日にクリストフ・ポヌイユ&ジャン=バティスト・フレソズの『人新世とは何か』を、2021年の年始にダン・スペルベルの『表象は感染する』を、千夜千冊で取り上げた。
前者は、グローバリズムや資本主義といった枠組みを超えた「人新世」という見方に触れつつ、既存の見方の再編集を問い、後者は「人類は長らく社会文化的感染症にかかりっぱなしだった」のであり、「文化がとっくに『特定の文化感染症』(たとえば資本主義感染症やコンプライアンス感染症)にかかりっきりになって、いつのまにかひどい“同質化症状”をきたしていることに突っ込めなくなっている状況を、いまこそ総点検するべき」と、同質化状態に無自覚でいる私たちに警鐘を鳴らしている。
新型コロナウイルスの影響下、今までにない新年をむかえた座衆にとって、両千夜は編集的社会像へ向かう手すりとなっただろう。
私たちは「すでに投げ出された存在」である。
2021年1月16日。Hyper-Editing Platform[AIDA]全6講の折り返しとなる第4講で、安藤昭子氏は『知の編集工学』の一節を通じて、編集的社会像をターゲットXに据える私たちが立つ世界像を共有する。
”私たちはすでに投げ出された存在なのである。歴史のなかに投げ出されているし、生まれて自意識が芽生えたときにも、すでにあらゆる先行性が準備されている。編集はその只中から出発をするトランジット・ワークなのである。” ー『知の編集工学』p.333
「Reset」ではなく「Re-Edit」へ、という第3講でのメッセージも、編集工学研究所の「生命に学ぶ」「歴史を展く」「文化と遊ぶ」というフィロソフィーも、この見方がベースとなっている。
進化生物学と略図的原型から「文明と生命のAIDA」へ
第4講では進化生物学の第一人者であり、『進化する形 進化発生学入門』(講談社現代新書)などの近著のある倉谷滋氏をゲストに迎える。
生命はなぜこのような形となり、どのように進化していったのか。進化生物学の方法に準えつつ、我々の文化や文明がなぜ今のような形になったのかを問い直していくことで、今シーズンのテーマである「文明と生命のAIDA」に迫る。その方法の手すりとして、吉村林頭による「略図的原型」を中心とする編集工学レクチャーの他、倉谷氏と師弟関係にある進化生物学者の入江直樹氏や、ボードメンバーとして初参加となる経済学者の岩井克人氏らを交えた座衆セッションなどが予定されている。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。