見慣れた街をドラマチックに編集する方法【ツアー@大阪&姫路】

2021/02/26(金)16:00
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「そもそもオンラインで、どうして地域にこだわるのか……」

開催2ヶ月前、Slackでぼやき続ける男がいた。

 

2019年夏から、全国各地で開催されているエディットツアースペシャル。毎期大阪会場のナビゲーターを任されている山根尚子(46[守]師範)が、4度目の今期、パートナーとして白羽の矢を立てたのが内海太陽(43[破]合氣プロセス教室師範代)だった。
ふたりは39[守]師範代同期。そしてヨガ講師の山根に対して、内海は合氣道家。ともに身体と型の関係を学ぶ同志でもある。ぴたり息を合わせて準備は進むはずである。

 

山根は、全体テーマ「探せ、方法日本!」に沿って、内海の地元である兵庫・姫路を掘りさげようとする。一点の曇りもない山根の笑みをまえにしても、内海は終始眉根を寄せている。つねにビジネス鞄に『正法眼蔵』を隠しもつ内海、一筋縄ではいかなかった。

 

「姫路を語るかどうかは、あんまり主眼におかなくていいと思いますけどね〜」
「参加する人の日常に切り込まないと、面白くないようにおもいましてね〜。だから『姫路』がコンセプトになってもなんだかなぁ〜って」

「それにオンラインセミナーって、ぐだぐだなイメージしかないんですが」

 

容赦なくエディットツアーの前提に問いをぶつける。ふたりは物言わぬ姫路城を見上げて、長らく立ち止まった。

 

山根は、ツアーに託した思いをぽつりぽつりと語る。
「今回の目的は、普段何気なく見ている世界も、型を通すことで見方が変わると体験してもらうことでしょうか」 

根本義に触れた内海は、すかさず腕をまくり、それを掴みにかかった。

 

 

 

ふたりが今回のために用意したワークは、「犬と女とカッティング」。[守]講座のカリキュラムのなかでも大人気のお題を、特別に未入門者にも体験してもらう。90分で、編集術の基本レクチャーや想像力を刺激するワークを行い、参加者の編集力をストレッチさせる仕立てだ。姫路城はおそらく登場しない。

 

ナビを担当するインターアクターは、[守]師範を4期連続で務め、初学者にわかりやすい語り口が持ち味の山根と、編集道の本義を追求する内海の硬軟コンビ。そこに、チャットだととたんに饒舌になるネット弁慶の梅澤奈央(42[破]師範代)が黒子として加わり、三者が編集術のさまざまな活かし方を伝授する。

参加したあとは、あなたの街がいままでと違った表情を見せるはず。

 


イシスフェスタ・オンラインツアー@大阪・姫路
「ほうほうふくわらい」

■日時:2021年3月4日(木)19:00-20:30
■会場:Zoomを利用します。お申込の方に参加用URL、パスワードをお送りします。
■定員:先着12名
■料金:1100円(税込) 
■インターアクター:山根尚子(師範/ヨガインストラクター)、内海太陽(師範代/水プラントエンジニア、合氣道五級)、梅澤奈央(師範代/ライター)

■申し込みはこちらから

 

*過去のエディットツアーの様子は遊刊エディストで検索。

・7歳の女の子もおおはしゃぎ。山根ナビのツアー参加者の体験談:編集かあさん エディットツアー(松井路代)

・山根ナビが身体を張って、ツッコミ編集術を伝授した様子:【イシス祭レポ@大阪】ツッコミ実践WS〜もし、目の前の人が突然のけぞったら〜(梅澤奈央)

 

*イシス編集学校未入門の方は、事前に「編集力チェック」の受講をおすすめします。
所要時間は2分、スマホひとつであなたの編集力を測ります。
https://es.isis.ne.jp/web_taiken/entry1.html

  • 梅澤奈央

    編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
    イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。