「イシツで、イサイな、イシスの編集を」。11月27日(土)に行われた48[守]第2回伝習座で、佐々木千佳学林局局長は、鈴木康代[守]学匠が期初に掲げた旗印を持ち出した。このスローガンにあらためてカーソルを当てたのは、第2回伝習座が、用法3と用法4というイシツ、イサイへと向かう編集ステージだからであろう。今回は、この48[守]第2回伝習座での秘伝シーンを10shotします。
1)佐々木千佳学林局局長──「鏡字」が教える別様の世界
局長挨拶で伝習座の幕は開けた。アフォーダンスのギブソンが研究していた、文字を学び始めた子どもによく見られる左右逆転の「鏡字」という現象に触れ、われわれの認識は覚束ないものだからこそ、「型」を使ってイメージをとらえ動かす必要がある、とこれから3Aの指南へと向かう師範代に向けメッセージを放った。
2)石井梨香 48[守]番匠──差異が可能性を開く
九州の山間に育った石井番匠は、高校の修学旅行の時に東京で感じた「開放感」について語る。自然と都会、日常と非日常の差異がその感情を生じさせたように、仲間の師範代の指南や教室模様との違いを、強み・可能性に転換していきたい、と師範代たちに檄を飛ばした。
3)森本康裕 48[守]師範──大きな世界と小さな世界
[守]用法3は「しくむ/みたてる」、その骨法はAnalogy、Affordance、そして、Abductionの3Aである。社会や資本主義といった大きな世界に抗う方法として、森本師範は用法語りの中で自らを大企業F社のM社長に見立て、あらかじめ与えられているものとは異なる別の世界をつくれる、と3Aの威力を語る。48[守]師範代諸兄諸姉よ、3Aでアナーキーな世界へ学衆を導け。
4)角山祥道 48[守]師範──用法4は「問い」だった?
角山師範はプロのライター、インタビューの名手である。「『きめる』って何?」「『つたえる』って何?」と、仕事道具である「問い」をフィルターにして、用法4の狙いにアプローチしようとChallenge。用法4をキメキメにするには「世界をInterviewする」こと。この極意を授けられた師範代の指南に乞うご期待。
5)石黒好美 48[守]師範代──定常コースと速修コースのあいだ@イシスNOW
すっかり[守]に定着した感のある速修コース。問感応答返の密ぶりが定常コースの3倍ともささやかれるこのコースの師範代に、千離衆でもあるス[離]ーレディースが名乗りを上げた。その一人石黒師範代は、ハイペースで稽古するからこそお題のつながりがくっきりと見えると言う。速度は編集力につながっている。
6)松岡正剛 イシス編集学校校長──動画のはずがリアル校長
「イシスNOW」コーナー後の休み時間明けは、松岡校長の動画から再開・・・のはずだった。しかし、目の前に現れたのは生の松岡正剛だった。松岡校長は伝習座のリアル開催を言祝ぎ、「この同時空間で全部を使って聞くこと」と大きな“問い”をわれわれに投げかけ本棚劇場を後にした。
「全部を使って聞く」というのは稽古にも通じるヒントでしたね。読み書きを世界と切り離さないということなんだろうと思います。参加予定になかった松岡校長の突然の登場で静かに会場がどよめきました。
7)三津田恵子 48[守]師範と嶋本昌子 48[守]師範──創(キズ)つける指南のススメ
伝習座では、先達師範代が編み出した方法が伝授される。今回その「指南語り」に挑戦したのは、三津田恵子師範(上)と嶋本昌子師範(下)。創(キズ)をつけてこそ、確かな編集の跡が残るのである。学衆と同じように、師範代も無創ではいられない。
8)中原洋子 48[守]師範/阿曽祐子 48[守]師範──視差で語るエディション語り
[守]伝習座恒例、千夜千冊エディション語り。今回取り上げるのは10月に刊行された『全然アート』、中原洋子師範(上)と阿曽祐子師範(下)が編集学校、教室運営に関係線を引きまくる。ジャズシンガーとして鳴らした中原師範代が前口上を朗誦する立ち姿で魅せれば、阿曽師範は方法図解で応える。視差によって、聴く者に景色を立ち上げる方法をインタースコアと呼ぶのだろう。
9)鈴木康代 [守]学匠──真打は最後に現れる
伝習座最終コーナーからの参加となった鈴木康代[守]学匠。到着早々、Zoom経由でキャッチしたそこまでの内容、そして、48[守]前半の教室模様を要約編集してそれまでの不在を一気に埋める。さらに、「037番の稽古おもしろすぎる」と語った田中優子前法政大学総長の[守]学衆時のエピソードに触れ、モードを変えるとは文体も文意も変えること、と用法4の魔術を伝えきった。本楼の本を焼き尽くしてしまいかねないほどの編集熱を添えて。
10)梅澤光由 48[守]師範/三國紹恵 48[守]師範──編集道をドリフト走行で
世界を股にかけるビジネスレディ平野しのぶ師範に誘われ、梅澤光由師範(上)と三國紹恵師範(下)が本棚劇場に。
高山宏に肖って“イシスの学魔”と称された梅澤師範は、世界(地)と自分(図)の、大学時代のズレの認識が自らの編集道の曙と語り、聴衆をそれぞれの編集原点へと遡上させた。
伝習座での語りのオオトリを飾ったのは、いつもの楚々とした出で立ちから、担当チームの師範代に風を送ろうとスラッシュメタルバンドOUTRAGEのパーカーに着替えた三國師範である。梅澤師範が学魔ならこちらは連想魔、師範代の編集道のこの先を照らすサーチライトとして、察知力と鈍感力を手渡した。
用法2から用法3へと差し掛かっている師範代をB(ベース)として、イシツ、イサイへと向かわせることをT(ターゲット)とした第2回伝習座。P(プロフィール)として立ち上がったのは、同時空間に集った者たちのイシツぶり、イサイぶりであった。先達の風姿を追いかけ、師範代たちは教室へ向かう。
文:白川雅敏
写真・吹き出し:後藤由加里
白川雅敏
編集的先達:柴田元幸。イシス砂漠を~はぁるばぁると白川らくだがゆきました~ 家族から「あなたはらくだよ」と言われ、自身を「らくだ」に戯画化し、渾名が定着。編集ロードをキャメル、ダンドリ番長。
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