2021新春放談企画「エディスト・フェーズがついにきた!」 其の参 -ランキング独占、マンガの模写

2021/01/03(日)08:00
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上杉: そろそろ次のゲストがお待ちですね。

 

:  あ、そうですね、堀江さん。お待たせしました。

 

吉村: おふたり目のゲストは、いまやEdistの記事ランキングでトップを独占する男。松岡校長が登場するエディスト記事よりもページビューを獲得している男。堀江純一さんです。大活躍だったね。

 

堀江: いえいえ。あのう、角山さんはご自身のキャラが前のめりじゃないですか(笑) それは自分にはないキャラだなと思っていつも見ていたんです。角山さんが、ご自身が書いた記事について他の師範代から指南をうけてるじゃないですか。あれを角山さんはしっかり受け止めるじゃないですか。いやぁ、すごいなぁ。僕なんか本当に打たれ弱いので、ああいうのはできないですね(笑)

 

上杉: 堀江さんとは、金さんが編集者でペアになっていますが、金さんはそんな堀江さんと一緒に作り上げる塩梅ってあるんですか?

 

:  基本的には、堀江さんが「帰って来れる」ようにディレクションしてますかねぇ(笑)。

 

堀江: “今回はこれでいいですが、また次の時にはやってみましょう”という感じで、ゆるゆるとやってくださるんで。最初のころ、林頭はグイグイダメ出しを食らわせるのですが、それに打たれてました(笑)

 


堀江純一 編集的先達:永井均。十離で典離を受賞。近大DONDENでは、徹底した網羅力を活かし、Legendトピアを担当した。かつてマンガ家を目指していたこともある経歴の持主。画力を活かした輪読座の図象では周囲を瞠目させている。


 

 

川野: 金さん的には、今までのディレクションが効いているという感覚はあるんですか?

 

:  立ち上げが大変でしたね。でも連載に入ってからは順調ですし、横山光輝の記事でしたかね、明らかに「注意のカーソル」の向け方が変化したなというのがわかりました。堀江さんなりに徐々にディレクションを取り入れてくれていますね。

 

堀江: 心臓が豆腐のようにモロイんで、金さんはその辺のところを心得ていただいているなと(笑)

 

:  林頭はその辺りを心得てなかった(笑)。でも堀江さん、十離で典離を取られていて、離の方が大変だったんじゃないですか?

 

堀江: 離でも折れそうになっていましたけれどもね。塩田克博別当師範代でしたが、厳しかったですから結構きつかったですね。実は私、Edistのメンバーに入ったのはわりと早い時期だったんですよ。最初の頃からメンバーだったのですが、実際に連載が始まるまでが長かった。

 

後藤: あーー、そうでしたね。

 

堀江: 企画をいくつも出したけれども、たとえば、輪読座で輪読していた西田幾多郎の漫画を描きませんかということで描いたんですが、それがペンディングになって。

輪読座を運営していた吉村林頭から、あんな感じで輪読座マンガを描いてほしいという依頼でエディストラウンジに参加することに。まずは輪読座紹介マンガのネームを提出してみる。(堀江談)

 

堀江: 次に、「南方熊楠でやりませんか」ということで、やってみたがこれもペンディング。さらに、Edistでマンガをやるということは決まっても、当時はフォーマットが決まっていなくて。その後、チームでやってみようということになって、集まった皆さんとほんとに何度も企画を出し合って、僕もイラストとかマンガもいくつも書きましたが、ぜんぶ無理っぽいなということで。それから一人でできる企画ということで、映画のマンガ化をしてみようっていって、『パラサイト 半地下の家族』を書いたりしたんですよ。

 

松原: あー、覚えています。半地下とハンカチをもじったアレ!

 

映画コラムマンガ案。封切り直後に観に行った『パラサイト 半地下の家族』を描いてみた。コロナ禍で映画どころではない世相が目前に迫っていることを知らなかった頃。(堀江談)

 

後藤: ざむざ君、ってのもありましたよね?

 

松原: あった!私、「これはどういう意味ですか?」って質問しちゃいましたよね爆

 

堀江: ええ。聞かれました。ざむざ君だったんですけど。

もしも編集部のウケがよかったら、キャラものとして連載漫画化、という野望。とりあえず小当たりに当たってみるかとカットだけ出してみる。意味不明と言われる。(堀江談)

 

松原: これは”2019年堀江クロニクル”として、別記事で紹介しましょう。今日は語りきれない…。そうした紆余曲折を経て、ようやく始まったのが2020年の3月でした(笑)。半年もかかったんですねえ。角山さんはすんなりはじまったようでしたけれど(笑)

 

:  近畿大学のビブリオシアターを編集工学研究所が監修していて、その中にマンガのレジェンド50を選定して紹介したDONDENっていうのがあるんですよ。そこで取りあげられているレジェンド50の漫画家たちを模写していこうよってことになったんですよね。最初は手塚治虫で行きましょう、というときに、結構長いコラムだったんですよ。

 

堀江: 林頭からようやく行けそうですねと返事をいただいたんですが、できるだろうけど、気がのらなくて。気持ちがのらなかったので、もう1本別の企画を書いてみたんですが、それもまた長くなってしまって。結局ペンディング、預からせてください、となって。

編集部の方向性となかなか合わないし、気がのらないスタイルが連載ではじまってしまっても困るなと、そろそろ断るタイミングを考えていたんですよ。やめさせてくださいって、いつ言おうかなと思っていたんです。

 

:  そうだったんですか?!

 

堀江 それでタイミングを計っていたら、金さんの記事(つげ義春 マンガのカンヌで特別栄誉賞)に、「ISIS には堀江がいる。そろそろひょっこりあらわれてくるかもしれない」と書かれていたのを見つけて、辞められないんじゃないか?と思っていたら、連絡がきて。手塚の原稿を全部使って始めますってことになったんです。

 

川野: 始まってしまったんですね。

 

堀江: 始まってしまったんです(笑) 1本目は手塚治虫で、まあ長くてもいいかなと思ったんですが、模写以外にもカットを何点か付けますんでといって、長いままの原稿を2分割でスタートしました。その後の記事も毎回長くなっちゃって。

『火の鳥 異形編』より模写 (引用元:角川書店版第3巻p265)

マンガのスコア LEGEND01手塚治虫①『火の鳥』模写

 

マンガのスコア LEGEND01手塚治虫②「丸みうねうね 質感ヌメヌメ」

 

マンガのスコア LEGEND01手塚治虫③「夏目の目」

 

:  しばらく長い感じでしたね。

 

堀江: 字数はすごく気にしているんですが、削ってあれなんですよね。実際には、1.5倍から2倍を書いているんです。

 

川野:  濃いけど、読んできつくないので、記事としてはすばらしいと思いますけれどね。

 

:  ひょうきんな感じがにじみ出ていて入りやすいですよね。スコアについては、最初の方は、「これはスコアか?」というのがありましたけど。

 

吉村: ただ模写するだけじゃなくて、多様な評価の軸“スコア”を、堀江流につくっていってもらったらいいんじゃないか、ってね。守には情報のスコアをつける「マンガのスコア」というお題がありますから、その一つの手本になるようだといいと。ただ、最初は、スコアについてはあまりピンとこなかったんですよね。

 

堀江:  そうなんですよ。最初はスコアなしで書いたんです。そしたら、金さんからスコアがないですねとか言われて。でも今回はこれでOKなので、次にまたやってみてください、と。いろいろ取り入れられない注文もあったんですが、その都度「次はこうしてみましょう、次はこうしましょう」と少しずつやっていったら、いつの間にか“horiスコアで何点”、という感じで。さらにそこに解説を付けませんか、とか。だんだん注文を付け加えられていきながら、スコアつけるのは嫌だと思っていながらも、気が付いたらその形になっていたんですよ。

 

:  最初の記事を読んだ時からまだまだいろいろほしいなと思ったんですが、それをいっぺんに全部返したらたぶん帰ってこなくなっちゃうなと思って(笑) で、ひとつ聞いてみたかったんですが、hori スコア。そもそも僕がつけてってお願いしたんですが、実際のところはどういう基準でつけているんですか? これは100点満点?

 

堀江: これはめちゃくちゃですね。

 

:  めちゃくちゃといってもたとえば、50よりは上か下かというくらいの基準はあるんですか。

 

堀江: そうですね、ピックアップしている時点である程度評価しているものなので、60〜70よりも上にしたいと思うんですよね。

 

:  43 horiとかもありますけど…

 

堀江: それはそのスコア自体が保守的というかネガティブな感じもするのでそうしました。まあ、気分的なものでして。いいのは80とか、並みを60ぐらいにする。

 

:  なるほど。

 

上杉: 今までで印象に残ってるものはあるんですか?

 

鳥山明「Dr.スランプ」模写 (出典:鳥山明『Dr.スランプ』①集英社)

堀江: いやぁ、実はドラえもんののび太が本当に難しくて。子供のころから上手に描けないんです。独特なフォルムをしていて。あられちゃんとかも、メガネキャラは書きづらく、思いが強く出てしまっているんですよね。

 

吉村: それにしても、エディストのアクセスランキングはホリエディスト状態で、すべての記事がよく読まれています。Edist内の鬼滅の刃状態です。

 

後藤: グーグルでも「鳥山明」で検索すると、堀江さんの記事が上位の方に出てくるんですよね。

 

マンガのスコア LEGEND03鳥山明①画力スカウター無限大の破壊者

 

吉村: 2021年には、あの堀江さんがこの漫画家にチャレンジ?!と、もっとメジャーになるかもしれない。

 

堀江: 僕はメンタルが弱いんであまりプレッシャーをかけないでください。

 

川野: 2020年は感門之盟で、近大特設スタジオで、田中圭一先生と交わしてもらいました。どうでしたか。

 

堀江: いやぁ、びっくりしました。田中圭一先生と話してもらいますと説明もなくメールできた。あの田中先生かな、まさかな、と思いながら当日会場に着いて、そしたら漫画家の田中先生で。

 

川野: 田中先生はきさくな方でしたね。先生にお会いしてから、意識の持っていき方とか影響を受けたものがありますか。

 

堀江: いたこマンガ業界の、模写のクオリティが最近すごいんです。生半可に入れなくなっている。その世界の第1人者になっていらっしゃるのが田中先生ですから。

 

マンガ界の清水ミチコを目指す?! 田中圭一がモノマネ漫画を描く理由

 

吉村: 堀江さんが模写の力がすごいなとおもっていて。Legend50が終わったら?

 

堀江: 終わったら休みたいですね(笑)。さくさく出している原動力は、早く終わりたいから。これがモチベーションになっています。だらだらしていたらいつまでも終わらないので、とにかくやろう、と。2週に1度で出すと、2022年の春以降までかかるんです。まだ1年以上かかりますから、気が遠くなりますね。

 

:  堀江さんの2021年は?

 

堀江: 2021年も粛々と続けていく。そうすると1年が終わると思います(笑)。

 

:  2021年も、筆があがってくると思いますんで、楽しみです。

 

堀江: 取り組みやすい人からはじめているので、さすがにこれから厳しくなっていくのですが、どうにか早く終わらせるようにやってきます。

 

:  期待しています!

 

後藤: すっかりお待たせしてしまった3人目のゲストを、そろそろお呼びいたしましょう。

 

:  大音さん、よろしくお願いします!

 

大音: 堀江さんには驚くばかりですね。

 

吉村: 堀江さんは豆腐のように心が打たれ弱いということなんですが、いつか千悩千冊のコーナーに相談を投稿してもらいましょう。

 

其の肆へつづく

 

 

2021新春放談企画「エディスト・フェーズがついに来た!」

其の壱 -不足から編集が始まった

其の弐 -師範代ライターの初誕生

其の参 -ランキング独占、マンガの模写

其の肆 -千悩時代に多読あり(1月4日公開)

其の伍 -編集的可能性の苗代へ(1月5日公開)

 


  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部六人組の顔ぶれ。