伝習座は言葉の矢が降ってくる。用法・指南語り、NOW、編集道。師範の愛情と方法と熱意で作られた矢だ。ずばり命中すれば、師範代は変わりたくてムズムズする。11月27日の48[守]第2回伝習座、師範代にはどんな矢が刺さったのか。3日後の30日、師範代による緊急座談会が開かれた。
参加したのは與儀香歩(断然ユイマール教室)、竹岩直子(はいから官界教室)、佐藤裕子(しんがりスサビ教室)、畑本浩伸(いつもトンネリアン教室)の4人。オブザーバーを番匠の若林牧子、師範の角山祥道、そして進行を景山和浩が務めた。4人はどんな思いを持って48[守]のこの先に進むのだろう。
★出るか10万ボルト指南
WEBライターに興味がある與儀香歩。48守で最も若い師範代だ。きょうだい教室の輪島良子が「ワジマール船長」など多彩なキャラクターで盛り上げているのを、「真似したい」と思っていた。担当師範の森本康裕からも「(自分の持っている)カードをどう使うか考えるといい」と言われて考えた。「教室を自分の好きなこととつなげてもいいんじゃないか」。與儀が好きなこと、それは「ポケモン」だ。学衆の時はポケモンを集めて分けて回答してきた。師範代になってもできるはず。「とっても面白いじゃないですか」。角山祥道がすぐに声を上げた。「学衆さんを見立てたら」「断然の回答にピカー!とか」。オブザーバーの好き勝手な案に、顔をほころばせ「さっそく入れていきたいです」と乗り乗りだ。好きなポケモンは鈍感なヤドン。師範・三國紹恵による編集道のキーワード「鈍感力」がつながった。メガ進化した與儀が、10万ボルト指南を放つ日も遠くない。
★「東京」で大阪のおばちゃん
第1回番ボーでは「大阪のおばちゃん」にキャラクターを編集(キャラ編)した。竹岩直子は切る指南の快感に目覚めたのだ。一見繊細そうに見える。が、生まれはコテコテの浪速っ子。「加速が必要な番ボーに丁寧な言葉は似合わない」とキャラ編した理由を明かす。決して無理しておばちゃんに着替えたわけではない。地に戻したという方が正しいのだろう。大阪ルーツの血が騒ぐのか、指南に行き詰まった時は、やしきたかじんを聴いてスイッチを入れるという。お気に入りは「東京」。間もなく始まる第2回番ボーでも「東京」を聴きながら、「大阪のおばちゃん」に変身ならぬ“編身”する竹岩が見られるはずだ。48守のトップを切って汁講を開催した。伝習座で刺さった「あなたしか歩めない編集道」(三國紹恵師範)を、「大阪のおばちゃん」となって加速して歩んでいる。
★あの男がついに脱いだ
「いま着替えてもらっていいですか」。佐藤裕子の半ば命令するような口調に、スーツ姿の畑本伸浩が画面から消えた。1分後、畑本はラフなシャツに着替えて登場した。「オンラインでもネクタイ」を貫いてきた男がついにスーツを脱いだ瞬間だ。イシスを愛するがゆえの正装がスーツにネクタイ。その生真面目さは、指南にも表れているのかもしれない。素顔はやわらかくチャーミングな畑本の魅力をもっと出したい。その答えが「スーツを脱がす」。今回の座談会の目的の1つだった。「喉元に見えるシャツが気になりますね」。その喉元のスースーが肩の力を抜くのだよ、畑本師範代。パンクなTシャツに着替えてのパンク指南も予告された。「用法3は切りますよ」と不敵に笑う。予測不能な“編身”はどこまで行くのか。番匠・石井梨香の言葉「今とは別の処に行って結実する」をすでに表しはじめている。
スーツを脱いだ畑本浩伸。顔も優しくなった!?
★赤い彗星は速修を駆ける
角山祥道の用法解説「伝えるとは問うこと」に衝撃を受けたという佐藤裕子。2度目となる師範代は、毎日出題の速修コースだ。学衆時代、41[守]シカクゴメン教室で「赤い彗星」と呼ばれたスピードは衰えていない。むしろ[破][離]を経験し磨きが掛かった。再登板の余裕か、座談会でも畑本を着替えさすなどツッコミが冴えわたる。しかし1時間を過ぎるころから口数がめっきり少なくなった。さすが速修、既に続々と回答が届いているようだ。「一刻も早く指南がしたい」。気持ちは既に教室に戻っている。「真似っこだけでは小さくなる。今の私たちにしかできないこと」(八田英子律師)を探しながら、しんがりスサビ教室は駆け続ける。それが佐藤の変化となって表れる。
ポケモン・たかじん・走る女に脱ぐ男―座談会に集まった4人だけでなく、48[守]19人の師範代の“編身”がイシスを賑やかにする。
上段左から、景山、角山、若林。中段左から佐藤裕子、與儀香歩、竹岩直子。下段は笑顔の畑本浩伸
景山和浩
編集的先達:井上ひさし。日刊スポーツ記者。用意と卒意、機をみた絶妙の助言、安定した活動は師範の師範として手本になっている。その柔和な性格から決して怒らない師範とも言われる。
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