【このエディションフェアがすごい!07】ブックセンタークエスト 小倉本店

2021/06/16(水)13:03
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 小倉駅から魚町銀天街を抜け、ランドマークの旦過市場まで徒歩にして約10分程度。そのすぐ側に建つブックセンタークエスト小倉本店で6月上旬、「千夜千冊エディション20冊突破記念フェア」が始まりました。同店から3分も歩けば小倉城をはじめ、北九州市立文学館、松本清張記念館、図書館が並んでおり、小倉で開催する「知祭り」にとって申し分のないステージです。

 

「北九州の台所」と称される旦過市場。大正初期から市民の食を支えてきましたが、老朽化のため再開発が計画されています。ブックセンタークエストは旦過市場のすぐそば(写真右端)。

 

「らっしゃい!」威勢のいい声に誘われるように旦過市場へ。魚介や野菜、惣菜店など約110軒が連なります。ぬかみそだき、鯨肉など小倉ならではの食材も多彩、観光名所ともなっています。

 

近くには小倉城と複合商業施設リバーウォーク北九州が聳えています。近世と現代の対比際立つ風景は小倉の珍風景です。

 

小倉城向かいにある北九州市立文学館。企画展示室では北九州文芸の歩みと、森鴎外や杉田久女、火野葦平など北九州ゆかりの文学者を紹介、多くの文芸を生み出した北九州の風土を偲びます。松本清張については、すぐ近くの松本清張記念館に収蔵されています。

 

旦過市場と北九州市立文学館のあいだに位置する「ブックセンタークエスト小倉本店」。市民の憩いの場となっている勝山公園も近く、お散歩の途中に立ち寄る方も多いようです。

 

1階は雑誌・文庫・新書。2階に専門書・学参・漫画。地下には文房具・コスメ・雑貨類もあり、書店を核にしつつも、暮らしに寄り添う品揃え。

 

目を引いたのは玄関口そばにある「郷土誌」棚。一般の書店では取り扱わない北九州の文芸サークル発行の冊子も多く並んでいます。北九州市立文学館が刊行する文庫シリーズもあります。

 

1階上りエスカレーター手前に設置されたフェア棚。パンチングスチール棚の穴、開放感あふれる大きなガラス窓、上昇するエスカレーター…その様子に爽やかな「炭酸水」を連想。知が発泡する棚になりますように!

 

千夜千冊エディションの脇に差し込まれた関連本にご注目。期間中、随時入れ替わるとのこと。最新刊の似顔絵ポップは持参(中野作)。

 

「多くのお客様の目にとまるように」とエスカレーター手前に棚を設置、関連本を入れ替えるという方針を立てた店長代理の道免信男さん。もともと理工書担当だったそうで、選んだエディションは『宇宙と素粒子』。

 

「炭酸水のようなシュワシュワしたフェア棚、夏にふわさしい佇まいで新鮮です」と九天玄氣組の組長もお気に入り。フェア開催書店限定の記念冊子も取り扱っています。

 

 

 森鴎外や松本清張、火野葦平など多くの作家を輩出してきた北九州。俳句や文芸サークルも多く存在し、かつては職場雑誌や作品集も多彩に刊行、現在も脈々と受け継がれています。そこにどんな土壌があるのか、そんな問いを抱きつつ、ブックセンタークエスト小倉本店を訪問しました。

 

 大胆なことにフェアの提案は“飛び込み”でした。旦過市場の風情を楽しんだその足で、引き寄せられるように店内に入ったのは4月下旬、2階で本の整理をしていた女性の書店員さんに声をかけると、「松岡正剛さんの角川ソフィア文庫ですか」「イシス編集学校って東京にあるんですか。へえ、ネットの学校なの。九州を拠点にどんな活動を?」などと興味を示した上で、店長代理の道免信男さんに繋いでくださったのです。急に尋ねたにも関わらず正面からしっかり向き合う姿勢に、きっとこの書店さんならフェアに追い風を吹かせてくれるはず、と手応えを感じたことをよく覚えています。

 

 棚の仕立ても同様です。「棚はこちらで仕立てるので大丈夫ですよ」との道免さんのお言葉に甘えて100%おまかせ。事前に千夜千冊エディションの膨大な書籍リストを送りましたが(タイトル数の多さ、絶版本の多さに面食らってもいらっしゃいましたが)、スペースの関係もあり、すべてを配架することは不可能。そこで随時関連本を入れ替える、という方針を立てられたわけです。これは紛れもなく書籍リストとがっつり向き合ってくださった証拠。なるほど、その手があったか!と膝を打ちました。

 個と真摯に向き合う。北九州に文芸活動が根づく理由の一つなのかもしれません。

 

 フェアは8月末まで。この間、千夜千冊エディションの側でどんな関連本が出入りするのか。それは来店時のお楽しみ!

 

ブックセンタークエスト 小倉本店

https://sekibunkan.co.jp/storelist/kokura_honten/

 

 

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  • 中野由紀昌

    編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。