第75回感門之盟 100shot #3 松岡正剛、共読の秘儀

2021/04/25(日)21:23
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▼少数なれど熟したり

共読は本来楽しいもの。ただ共読は楽しいばかりではない」ズレやミス、分かり合えなさを許しながら、共読してアイダを繋ぐことは諦めないで欲しいと46[破]突破生に餞の言葉を贈る原田淳子学匠。少数なれど熟したり。稽古の充実は「ハイパープランINFORM」プランニング編集術アワード予選、そして当日の決勝戦として存分にリプレゼンテーションされた。

 

東方パエーリャ教室 西由江師範代

雑品屋クロス教室 牛山惠子師範代

[破]師範代には二冊の先達文庫が贈られる。

ガンダム蓮結教室 齋藤幸三師範代

神島鳴神教室 下平真史師範代

おまたせ・おまかせ教室 古野伸治師範代

▼そしてバンビは麒麟になった。

[破]の襷は新たな師範代へと渡されていく。46[破]師範代として登板する出世魚教室名発表。バンビを神獣化させ「ほろよい麒麟教室」に出世魚した尾島可奈子師範代。

▼プランは一人のものならず

各チームのプレゼンテーションを見れば、そのプランはもはや一人の学衆のものではないことがわかる。[破]ハイパープランINFORM(通称P1グランプリ)の決勝は、学衆、師範代、師範総出でのチーム戦だ。そこにはアクリル板もあれば、模型もあり、落書きパフォーマンスもあれば、実況中継も、多重多声朗読もある。あらゆる方法を尽くし、プランを実現に導くためのINFORMが立ち現れる。

 

【P1グランプリ関連記事】

45[破]P1グランプリ結果発表!優勝はあのミュージアム【75感門】

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真剣に落書きをする井田昌彦師範(奥)&天野陽子師範代(手前)

本楼をミュージアムに見立てて実況中継をする牛山惠子師範代(左)と宮坂由香学衆(右)

美声をもって朗読サポーターに任命された師範たち。

物語女王 三國紹恵師範代の語りに会場は静かに耳を傾ける。

▼モノが好きか、カタリが好きか

「私は物語と一緒に生まれてきた」という小濱有紀子創師も「今綴は場で起こる物語や、人と人、人とモノ・コトの間に生まれる物語が面白かった」と目を細めて稽古模様を振り返る。物語講座績了式のハイライトは5つの物語アワードと冠綴賞の発表である。師範たちが各賞のプレゼンターとなり、評価と贈呈本が贈られた。

受賞者と贈呈本はこちらの記事を読まれたい。

物語は続くよ、どこまでも~賞選本は稽古とひとつなぎ【感門75】

編集的おもてなしに溢れる裏谷恵子師範代

若草四姉妹の叢衆を績了に導いた猿子修司師範代

言葉に色気が出てきたと評される阪本裕一師範代

[窯変・落語賞] 森井一徳師範

[窯変・ミステリ賞] 福澤美穂子師範

[窯変・幼な心賞] 小路千広師範

[トリガー賞] 小濱有紀子創師

[編伝賞] 赤羽卓美綴師

[冠綴賞] 木村久美子月匠

▼果報は師範になって待て

一期目の師範には松岡校長から書が贈呈される。師範はもれなく鏡のように何度も見つめ直すことになるかけがえのない書。

 

左から中村麻人師範「煥(かん)」、三津田恵子師範「幟(はたばん)」、武田英裕師範「支度天」

石井梨香[守]番匠には「援番(えんばん)」

小濱有紀子創師へ拓本のような「創師」の書。

初めての[破]師範には「破」の書が贈られる。

「ここに君がいるんです」書になった井田昌彦師範の姿。

[花]錬成師範に贈られるのは花伝扇。同じ「花伝」の文字でも1つとして同じものはなし。

オンライン越しの網口渓太錬成師範へ。

新教室名発表の進行でも魅せた山田細香錬成師範。

▼ISISは絶対安全危険地帯

「編集学校はどこよりも優しく厳しい場所」オブザぶとん教室を拝命したばかりの稲垣景子師範代が放伝生を代表し、47[守]への決意を表明する。一つ、教室の意伝子(meme)を刻むこと。二つ、とことんの相互編集に挑むこと。三つ、今だから、ここだから、交わし合えることを惜しみなく届けること。ひっくり返せば主客を入れ替えることができる座布団を抱えて、学衆との相互編集はまもなく始まる。

 

 

新教室名のモードを読み、新教室名分のコードで奏でるこの日のためだけの即興デュオ"THE ISIS"。

 

新教室名に思わず涙を浮かべる師範代もいれば、

思わずガッツポーズの師範代も。

▼とりどり・まちまちの共読劇場

「区は区画という意味でもあるが、実はあることを"とりどり"にするという意味もある。区区と書いて"まちまち"と読む。読書は"まちまち"なものと出会っていくこと」"区区の共読"と題した校長校話で感門之盟が締め括られる。松岡校長が語ったいくつかのヒントを5つに絞って見てみたい。

 

① 著者がどのような道を辿ろうとして、どんな痕跡や航跡を残そうとしたかを読む。

② その言葉や概念はいつどこで誰が作り、歴史的にはどこら辺に始発点があったのかを知る。

③ 本には元々読む前に、誰かが書くという行為があった。著者がどういう風に書いたのかを読む。

④ 著者が書いた動機やスタイル、そのスタイルの中に潜んでいる伏せられたものが開いていくところに出会うことが大事。

⑤ 学衆の回答を師範代が読み、師範代の指南を師範が読み、それを番匠・学匠が読む。このローリング状態が大事。

 

①〜④はまさに千夜千冊や様々な著書で松岡校長が書いていることと知る。たくさんの本を読むときのみならず、千夜千冊を読むときにもその足元を照らしてくれる道標にもなってくれることだろう。そして、感門之盟とは⑤のローリング状態を教室や講座を超えて共に読みあう時間であることを思う。

『術語集』『問題群』(中村雄二郎/岩波新書)

『文字逍遥』(白川静/平凡社)

1時間ほどの校話の中で出てきた人物は40人を超える。これまで世界が読んできたこと、更にそれを本から本へ世界読書してきた校長の読みが共読であったことが惜しみなく手渡されていく。聞く者の集中は静かに高まる。会場が、オンラインが、同時発生共読区となっていく。

校長校話で登場した人物たち

夏目漱石(583夜)、フランツ・カフカ(64夜)、別役実、ロード・ダンセイニ(2夜)、ジャレド・ダイアモンド(1361夜)、中村雄二郎(792夜)、白川静(987夜)、エリク・H・エリクソン、ブレーズ・パスカル(762夜)、ミシェル・ド・モンテーニュ(886夜)、グレン・グールド(980夜)、ルイス・トマス(326夜)、米山拓矢、米澤敬、小池純代、木村久美子、大音美弥子、ウンベルト・エーコ(241夜)、ジュリアス・シーザー(365夜)、マルクス・トゥッリウス・キケロ、孔子、トマス・アクィナス、オノレ・ド・バルザック(1568夜)、ジェイムズ・ジョイス(1744夜)、アルフレッド・ジャリ(34夜)、北園克衛、アンリ・ベルクソン(1212夜)、荒俣宏(982夜)、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(995夜)、中村昇(1267夜)、ミシェル・フーコー(545夜)、アルバート・アインシュタイン(570夜)、朝倉文夫、津田一郎(107夜)、大澤真幸(1084夜)、マルクス・ガブリエル、ユヴァル・ノア・ハラリ、ウィリアム・シェイクスピア(600夜)、ジェフレイ・チョーサー(232夜)、ジョヴァンニ・ボッカチオ(1189夜)、ダニエル・デフォー(1173夜)他

6台のカメラと2台のスチールが四方に構える。松岡校長の動きを読み、それに合わせた互いの動きを読み、空間に合わせてフォーメーションしていく。いわば《Inform 共撮区》状態である。

 

 

  1. 「共に書く《共筆》、本をおくりあう《共送》や《共贈》、みんなでマップを描いてみる《共描》などがあってもいい。それらとともに《共読》が出現してくるともっといい」

 

門をくぐり終えたと思ったら、その先には新たな門がいくつもあることを知るのが感門之盟でもある。"区区の共読"を栞にして、春の門が開かれる。

 

第75回感門之盟100shot #01 文字に声、紅を差し、感じる門。

第75回感門之盟100shot #02 咲き誇れエディスターよ

第75回感門之盟100shot #03 松岡正剛、共読の秘儀

 

 

校長校話の中で紹介された本についてはこちらもあわせてどうぞ。

「区々の共読」三冊譜【75感門】

 


  • 後藤由加里

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