私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

12月13日、EditCafeにそらみつ境がオープンした。
38[花]「指南編集トレーニングキャンプ」のセンターラウンジ、つまりはキャンプ場だ。7週間の式目演習を終えた入伝生は、週末キャンパーに着替える。
そもそも「キャンプ(CAMP)」の語源はラテン語の「キャンパス(campus)」平らなところという意味で、南北戦争の時代にアメリカで始まり、学生に兵士の行動を体験させる活動のことだった。やがて、野外で一時的な生活をすることで自然環境から人類の発展の基盤を学ぶムーブメントとなり、それぞれの時代、社会を写す鏡として展開され広まっていった。今ではレクリエーション的な意味合いのキャンプをイメージすることが多く盛んになっている。一方で、なんらかの目的を達成するための手段としてのキャンプを体験した人は少ないかもしれない。
38[花]のキャンプが映し出すのはいったいどのような世界なのだろうか。ドキドキの奥から、好奇心がムクムクと顔をだし待ち受ける世界への挑戦というのはIだ。
週末に向けていまからドキドキしております。どんな世界が待っているのか、どんな世界が見れるのか、どんな世界を聞けるのか!未知への挑戦です。
Yは冒険にでかけるためのツールを準備している。
1.虫眼鏡・双眼鏡
2.顕微鏡・望遠鏡
3.磁針と地図
「近いようで遠く、遠いようで近いもの」はなにかと『枕草子』にも語られているが、見えそうで見えない、どこにでもあるようでどこにもない。キャンプはそんな夢のような時間なのかもしれない。
ホテル並みのサービスを楽しむグランピングや、一人で楽しむソロキャンプではなく、下見もできない、地図もない、ナビもいない場へと飛び込んでいく。肩を寄せ合い語りあうグループもあれば、一人で星空を見上げることもあるだろう。編集をキャンプする二日間にどれだけの言葉が交わされるだろうか。会話の密度は、対話の濃度と比例するとは限らない。もっと奥へ、もっと深くへむかう対話は、愉しく、苦く、淡く、儚く、ときに切なくもなるだろう。38[花]の盛りにむかえる二日間は、キャンパーが花を交換、交感、交歓する宴だ。それが、キャンプの醍醐味だ。
さあ、式目を手にウィンターキャンプへ出かけよう!
文 吉井優子
アイキャッチ 阿久津健
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2025-07-03
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2025-07-02
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