連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。

毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、見逃せない ”イチオシSelection” をお届けします。遊刊エディストをさらに楽しむ「エディスト・セレクション」、どうぞ。
◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範代、松原朋子 師範代
─ キャラ立ちスコアでPick!
⦿【このエディションフェアがすごい!36】MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(大阪市)
ブラタモリ好きは、この記事にハマること間違いありません。
エディションフェアの記事は、全国のエディスト記者がプチ観光案内をしてくださっていますが、なかでもこれは「専門家といっしょに街歩きしたい!」という夢が叶います。一級建築士の山田細香師範が、安藤忠雄建築の《らしさ》をどう読むのか、気になりませんか。
「総合設計制度を採用した公開空地」「低層部は台形に近い五角形平面」などテクニカルターム満載の表現は声に出して読みたいほど。この記事に見る書き手のキャラ立ちっぷりを見ると、《語り手の突出》というのは、自分語りをすることではなく、自らの見方を臆せず打ち出すことだとわかります。
じつは細香師範の趣味は、戦後住宅の模型を作ることなんだとか。
▲1945年から65年ころに建てられた日本の小住宅の模型(山田細香作・提供)
なぜ戦後住宅なのか?その技量は棚づくりにどう活かされたか? それは10月4日まで開催されていたMJ梅田店のフェア記事で謎解きください。
通常1店舗1記事のフェアですが、このMJ梅田店は5本の記事が上がりました。過剰な熱こそ、大阪です。竹島陽子師範による「これは祭りではない。もはや一揆である」という記事では、7chaの法則でプランニングを分節化。
大音美弥子冊匠もフェア開始直後、21冊のエディションの分類軸に注目した「エディションをち・ま・つ・りで分ける」を即アップ。また大阪の設営チームの指という断然点に注目した「ピラニアたちの指」など手フェチには必見の記事も生まれました。やっぱり大阪ダンゼンです。──梅澤 奈央
およそ半年ぶりの「OTASIS」です。待ってました。展示構成がオノマトペ尽しの「ざわつく日本美術」展にもものすごく興味を惹かれるけれど、《松岡正剛がつねづね説いている編集の極意「伏せて開ける」の効能を、目にもの見せてわからせてくれるような展示であった》と松岡校長の方法、編集工学の視点から解説する太田香保総匠ならでは文のカマエとハコビが面白い。ミュージアムの企画にも、それをエッセイする香保総匠の構成にも「型」が息づいている。──金 宗代
⦿イシス人インタビュー☆イシスのイシツ 【魔法使いな植田フサ子】Vol.10
羽根田さんの連載が10回でひとまずの区切りを迎えました。
植田師範は紛う方無き「キャラ立ち師範」の一人ですが、丁寧な聞き取りから、ご本人の可愛らしさと凄みを彫琢されていて、さすがのお手際だと感じました。
よく言われる「アツい」という評価を、表面的に振り回すでもなく、ムキになって拒絶するでもなく、そのラベリングとご本人の距離感を示すとともに、校長の書とともに「やっぱりアツい」と着地させていくのって、かなり繊細な舵切りで書いていらっしゃるんじゃないでしょうか。
感門記事でもご活躍くださいましたが、またどこかでぜひ、羽根田さんの丁寧な取材記事を読みたいなと思います。──川野 貴志
マツコ’s Plus One
羽根田月香さんによる「イシス人インタビュー☆イシスのイシツ」シリーズ
4 後藤’s イチオシ!
多読ジム三冊筋プレスSeason06「旅する3冊」も金代将のつげ義春をもって連載完走。それぞれの読書旅も多種多彩で、一気に海外へ飛んでしまう人、地に足をつけて日本を歩く人など旅のスタイルが異なるところが面白い。
中でも相部さんの《旅》には一際ワクワクしました。
冒頭から黄金時代のパリへひとっ飛び。そこには芸術家が集まるカフェがある。ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』を見ているような気分でいたら、そこから一気に昭和東京のカフェーへ。パリのカフェを模した日本のそれはエロも売る場所でもある。「カフェ」と言う「図」は「地」によって大変貌を遂げていることの意味を考えているうちに今度は十八世紀ヴェネチアの風景。相部さんとレニエが見た景色を須賀敦子も見ただろうか、など読者の妄想旅もどこまでも広がっていく。
パリ・東京・ヴェネチアと時空間を鮮やかに繋いでいく夏休みの大旅行のような三冊筋プレス。《旅》という非日常が恋しい貴方へ、オススメです。── 後藤 由加里
マツコ’s Plus One🐶!
⦿ 輪読座】柳田、「口承文芸」なる方法をブルターニュより取り入れる(「柳田国男を読む」第四輪)
バジラ高橋による輪読座「柳田国男を読む」第4回のレポートです。
輪読座では、この春から宮原由紀さんが運営スタッフに加わり、当日のZoomサポートやエディストへのレポート記事を担当してくださっています。
今回の宮原さんの記事は、柳田の民俗学のモデルとなったとされるフランス人の民俗学者ポール・ゼビヨが登場。柳田をして「一国の民間伝承を採集保存し、比較し整理する方法をセビヨからもらった」と言わしめたセビヨの方法とはどのようなものだったのか? バジラ高橋の貴重な図象資料も必見モノですよ。
ちなみに、気になる10月からの輪読座は道元なのだそうです!
宮原さんのこれまでのレポートはこちら↓
今まで知らなかった柳田を発見できるはずです!
【輪読座】21世紀にもつながる柳田國男の方法とは?(「柳田國男を読む」第一輪)
【輪読座】農業政策から民俗学へと辿る柳田の思いとは(「柳田國男を読む」第二輪)
【輪読座】柳田の方言周圏論はどう生まれたのか(「柳田国男を読む」第三輪)
── 上杉 公志
⦿花伝所出ると優しくなれる? 写真でわかる「イシス式指南術入門」開催 【36[花]受付開始】
イシスには2つの奥義がある。離が世界読書奥義伝だとすれば、花伝所は方法の奥義を手に入れる場所である。方法の奥義として、リバース・エンジニアリング、エディティング・モデルの交換、イメージメント&マネージメントを体得する。いや、それだけではない、花伝所を出ると「優しくなれる」のだと言い切ったのがこの記事だ。破バンキシャのウメ子が花伝所錬成師範として腕を振るったエディスト。花伝所申し込みは今からでも間に合う!こちらからGO!── 吉村 堅樹
マツコ’s Plus One🐶🐶🐶!
花伝所よいとこ、いちどはおいで♪
編集のライトセーバーを取れ イシスのジェダイが飛び立つ35花敢談儀
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2021年8月の記事から、編集部イチオシ記事を厳選してお届けしました。
また次回もどうぞお楽しみに~
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 梅雨があけた地域も出てきました、いよいよ日本列島に夏到来ですね!イシス編集学校でも熱い夏が始まります。7月のス […]
編集部が選ぶ2025年5月に公開した注目のイチオシ記事9選+α
公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選した、注目の”推しキジ” をお届けしています。見逃した方はぜひこちらの記事でキャッチアップを。 今回は、2025年5月に公開さ […]
田中優子の酒上夕書斎|第二夕『S/Z バルザック『サラジーヌ』の構造分析』ロラン・バルト(2025年6月24日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語 […]
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田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
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2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。