【このエディションフェアがすごい! 番外編】エディションを「ち・ま・つ・り」で分ける MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 分類篇

2021/09/11(土)18:00
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 「このエディションフェアがすごい!」シリーズ、番外編第3弾をお届けします。今回の舞台は、先日の感門之盟でも生中継を行ったMARUZEN & ジュンク堂書店梅田店。レポートは、松丸本舗で伝説のブックショップエディターとして名を馳せた、冊匠・大音美弥子さんです。

 

◇◇◇

 

5分間の感門中継やピラニア篇で伝えきれなかったのは、MARUZEN & ジュンク堂書店梅田店ならではのぶっちぎりなエディション分類「ち・ま・つ・り」である。

 

今回のミッションにあたり、チーム梅田が<目的の拡張>として挙げたのは、新しい読者層の獲得。梅田店の立地する茶屋町は若者の街ゆえ当然「若い読者にアピールする」が<概念の構築>に織り込まれていく。とはいえ素材は千夜千冊エディション。知のエッジが効いた松岡校長のビッグバンする編集的世界観を伝えなければどうにもならない。ハイパー当然、別格上等を目指すのみなのである。

***

役者を分ける豆腐の角は鋭角たれ

 

揺れるチーム会議@zoomで一瞬の隙を突いて託宣を告げたのは、さざなみの巫女の異名を持つタケシマ。「ち・ま・つ・りで分けたら、ええんちゃう?」編集的自由を謳歌する<設営の構造>大喜利は、ここから始まった。何をどう組み合わせれば「ち・ま・つ・り」がエディションを分ける軸になりえるのか。そう、「豆腐で役者を分ける」には、豆腐の角が尖っていなければ無理なのである。

選ばれたのはミラクルノジマ案。Max18文字のなかに「私を入り口にしがちな若い層が、そこで閉じずにすむ『千夜千冊という体験』」というメッセージが込められている。

■知をたどるー世界とつながる私の行方ー

『文明の奥と底』・『神と理性』・『観念と革命』
『大アジア』・『感ビジネス』・『資本主義問題』
=世界の知層を訪ね、社会の矛盾を暴き、未来の機会を創る6冊。

■まとめるーことばとかたちに編まれた私ー

『本から本へ』・『ことば漬』・『面影日本』
『デザイン知』・『編集力』
=ことばとかたちと日本と。イメージのマネージ力を伝える5冊。


 

■つみつくりー私を超える愛と罪の想像力ー

『少年の憂鬱』・『サブカルズ』・『物語の函』
『方法文学』・『芸と道』
=世界文学も芸道も実験。フラジャイルな幼な心に訴える5冊。

■りかいするー物質と生命と私のミナモトー

『情報生命』・『理科の教室』・『宇宙と素粒子』
『心とトラウマ』・『仏教の源流』
=物質、生命、宇宙を循環する気流に失望も葛藤も混ぜる5冊。


***

 

本からことばを、ことばから人を

 

イベント・ゾーンはエスカレーター裏、知っている人でなければ見過ごしがちな場所である(<与件の整理>)。その境界となる壁面パネルをアイキャッチにして、下の階から上がってくるお客様を誘導したい。また、このゾーンに来てくれたお客様には、これがどういう異界なのかをわかってもらいたい。表裏に力を持たせるための字紋+ことばのパネル。千夜千冊エディションを説明するのではなく、暗示する「ことば」は、それぞれのエディションから、7人がかりで抽出していった。


(ち組)
<哲>タケシマ
●神と理性
理性で武装したか、武装が理性宗教化したか。
0620夜『ピューリタン』大木英夫 P171
<弗>シキタ
●『感ビジネス』
すべては「たまたま」か「まぐれ」だったのだ。

1331夜『ブラック・スワン』ナシーム・ニコラス・タレブ p156

 

(ま組)
<本>アソ
●『本から本へ』
読書こそはこの社会に対する最大の抵抗なのである。
1632夜『それでも、読書をやめない理由』デヴィッド・L・ユーリン P351
<図>ヤマダ
●『デザイン知』
「姿の勢い」がないなんて、お呼びじゃない。

0924夜『デザイナーは喧嘩師であれ』p346

 

(つ組)
<幼>ノジマ
●『少年の憂鬱』
悲しいのだけれど、その悲しさをじっとこらえるのが好きだった。
1169夜『幼なごころ』ヴァレリー・ラルボー p93
<芸>カゲヤマ
●『芸と道』
日本人の音感はきっと「うつろい」にあるのだろう。

1691夜『三味線語り』本條秀太郎 p178

 

(り組)
<現>アミグチ
●『情報生命』
学習やファッションや組織経営にTPOがあるように、カオスにもTPOがある。
1066夜『複雑性とパラドックス』ジョン・L・キャスティ P255
<光>カゲヤマ
●『宇宙と素粒子』
われわれはもう少し、月に面食らうべきなのである。
1732夜『月はすごい』佐伯和人 p69


***

 

風呂敷は何に使える?


[守・破・離]の稽古を一巡すると、お題001番「コップは何に使える?」に戻る、とはよく聞く話だ。しかし今回は「風呂敷ありき」ではなく、会場の世界観を旗幟鮮明にしたいというサッショーのムチャぶりから、風呂敷旗のアイディアが広がっていった。小耳に挟んだ局長タナカからの現物提供があったものの、何を旗竿に使い、どう固定するか、オブジェ化のための試行錯誤は黒衣ヤマダの早業だった。


風呂敷テイストに寄せた卓上のぼりのデザインもやはりミラクルノジマ、オブジェ化したのは黒衣ヤマダ。二人の快進撃は止まらず、次から次へと連想的なディテイルが産み出されていった(写真左上:字紋サイコロ、左下:レンガ型ブックエンド、右上:風呂敷ミニPOP)。アフロ・ニシムラ作成のミニブックは1Fへ移動する時期まで保留となったが、くさることなくその場で手書きのPOPも仕上げてくれた(写真右下)

 

一層の別様可能性に向けて、MARUZEN & ジュンク堂書店梅田店5Fブックフェア・コーナーは、まだまだ進化していく。

 


「ち」と「ま」・「つ」と「り」ゾーン写真:山田和男さん(山田細香父)提供
その他の写真:木藤良沢

 

 

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    編集的先達:パティ・スミス 「千夜千冊エディション」の校正から書店での棚づくり、読書会やワークショップまで、本シリーズの川上から川下までを一挙にになう千夜千冊エディション研究家。かつては伝説の書店「松丸本舗」の名物ブックショップエディター。読書の匠として松岡正剛から「冊匠」と呼ばれ、イシス編集学校の読書講座「多読ジム」を牽引する。遊刊エディストでは、ほぼ日刊のブックガイド「読めば、MIYAKO」、お悩み事に本で答える「千悩千冊」など連載中。

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