【このエディションフェアがすごい!18】ジュンク堂書店 三宮店(神戸市)

2021/07/05(月)09:32
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 「このエディションフェアがすごい!」シリーズ、第18弾は兵庫県神戸市のジュンク堂書店三宮店。ライターはイシス編集学校師範であり、イシス子ども支局メンバーの吉野陽子さんです。フェアは8月31日まで。

 

◇◇◇

 

 

■知祭り、ジュンク堂発祥の地へ

神戸三宮の中心地、三宮センター街。ここからジュンク堂書店がスタートした。写真右奥には今年4月に開業した神戸三宮阪急ビルが見える。阪神淡路大震災で被災し、26年ぶりに再建された。

 

アーケードの入り口から歩いて数分。センター街の中間地点にジュンク堂三宮店はある。兵庫県下最大の大型店で、2~5階までの売り場総面積は1,364坪。学生アルバイトから60代のベテラン社員まで約70名のスタッフが勤める。「本」一文字の看板が書店の矜持を伝えている。

 

細いエスカレーターで入り口の2階へ。昇っている間に書店モードに切り替わっていく。

 

2階に着くとエディションフェアのアイコン、“睨みセイゴオ”が出迎える。5階へ急げ!

 

■知祭り屋台がゆく

フェア会場に着くと、睨みセイゴオの連打。知祭りのはじまりだ。

幅3メートルのエディション棚に20冊のエディションとキーブック、関連本が賑々しく並ぶ。

 

POPも踊る。遊刊エディストの「マンガのスコア」でおなじみ、堀江純一さんの手書きだ。コピーは編集学校の神戸メンバーが編集した。

 

ジュンク堂三宮店では20冊を5つのカテゴリーで分類している。

・本当は誰もが「科学のこころ」をもっている

・鳥の目と虫の目でみる日本とアジア

・見方を変える編集世界のナビゲーター

・「わたし」をとりまく文明・文化

・物語とともにぼくらは目覚めた

 

〈鳥の目と虫の目でみる日本とアジア〉カテゴリー。POPのイラストは火の鳥と仮面ライダー。そこに山崎努の目が絡む。

 

〈「わたし」をとりまく文明・文化〉カテゴリーと〈物語とともにぼくらは目覚めた〉カテゴリー。上段から下段へ緩やかにつながる。エディション各巻とキーブックが綯い交ぜになっていく。

 

各カテゴリーを取り囲む “これでもかPOP”。棚からあふれるPOPを読むだけでも三宮店に足を運ぶ価値ありだ。

 

エディション棚の左はセイゴオ本コーナー。田中優子さんとの共著で話題となった『江戸問答』から、松岡正剛に師事した編集ディレクター、櫛田理さんが手がけた『編集手本』まで、近著が揃った。

 

フェアスペース奥はイシス編集学校エリア。エディション20冊突破を記念して作られた、多読ジム冊匠・大音美弥子さんによる「千悩千冊」コーナーも設置。お悩みと解決本をセットで一覧できる。

 

■三宮店、知祭りの立役者

これほど大規模にかつ自由な棚作りができたのは、店長の堀内理さんと本フェア担当の小寺啓史さんの存在がある。

 

松丸本舗のファンだった堀内店長は、エディションフェアで松丸本舗の空気感を出せれば…という夢を掲げる。整然としていなくて何かに出会えそうなワクワク感、横の本との関連で同じ本が別のものに見えてくる不思議、手にとらざるを得ない仕掛け。松丸本舗を語りだしたら止まらない。

 

本フェアの話がきたときから大規模展開を考えていたとのこと。イシスの棚作りの提案を面白がってくださり、材料をそろえて、好きなように調理してください、とお任せいただいた。

 

小寺さんは、エディションフェアの話を聞きつけ、「千夜千冊好きです」と店長に猛アピールしたそうだ。「じゃあ、やってみろ」と託された。キーブックリストから選本するなかで、ふだん書店ではあまり選ばれない本や、かつて定番だった本が選ばれていることに気づく。フェアでは、お客様が買おうと思っていたけど忘れていた本を思い出して選んでいただけたらいいと話す。

三宮店のエディションフェアを牽引するお二人だ。

 

ジュンク堂三宮店 堀内理 店長

堀内店長はアメリカ文学好きで、学生時代のアルバイトからジュンク堂一筋。おすすめの本は『方法文学』と『愛の傾向と対策』。1980年発行のタモリと松岡正剛の対談本は堀内店長の私物だ。面白い人、コトに注目する松岡正剛のアンテナの張り方に学びたいと話す。

各地の店長を経て、コロナ禍の1年前に三宮店店長に就任。ジュンク堂の創業店の三宮店には、古くからのお客様とジュンク堂への期待を持って来られるお客様がいらっしゃる。プレッシャーはあるが、そうした本好きな方に気に入ってもらえるような深いところまで揃えられる書店を目指す。

「2カ月あるのでしっかり売りたい。どのエディションが売れるのか、お客様に受け入れられるのか楽しみ」。

 

エディションフェア担当の小寺啓史さん

エディションフェア担当の小寺啓史さん

少しずつでも長く売れる本をふだんの棚作りの目安にしているという小寺さん。千夜千冊歴は800夜台まで遡る。一夜のなかで芋づる式に本がつながっていくサイトの作りに興奮し、夜な夜なiモード(!)で読んでいたと懐かしむ。エディションのお気に入りは『方法文学』と『物語の函』。海外文学が好きになったのは、「正剛さんの影響はすごくあります」。

フェアではお客様がどんな本を手にとるかを見て棚作りの勉強をしたい、と今後を見据える。神戸チームがレイアウトした棚には、デコボコしていて正剛さんの感じが出ていると合格印を押してくれた。

 

■面影書店

三宮店ははじめ地下にあったという。だんだん上に上がっていき、現在は2~5階を占める。最上階はかつて映画館だった。今もその名残りをとどめる。

 

専門書エリアとなっている5階は元映画館だったことがうなずける天井の高さ。比例して背の高い書棚が並ぶ。本が取れるように各棚にひとつずつ踏み台が置かれている。書棚の上に見える窓は元映写室の名残り。現在は三宮店の会議室として使われている。

 

フェアスペース横の階段の先が映画館だった。取材に訪れる人もいるという。

 

■神戸チームはこんな人たち

フェアスタート4日前の6月27日。小路千広さん、堀江純一さん、辻井貴之さん、吉野陽子の4名が集まった。堀内店長、小寺さんとの打ち合わせの後、三宮店の隠れた名物である元映写室の会議室をお借りしてPOPなどのツール作りを行った。

 

堀江さん(左)と辻井さん(右)。
会議室の窓からは5階の書棚を見下ろせる。

 

左手前はカテゴリーのPOPを作る堀江さん。火の鳥を描いているところ。多くの方に三宮店に来てもらい、この生POPを見てほしい。コピーは辻井さんの案が多く採用された。堀江さん以外は案内用のツール作り。睨みセイゴオポスターの横に添える「5Fで開催中」の吹き出しとなる。

 

フェアスタートの7月1日、朝10時半。小路さんと吉野、奈良からかけつけた松井路代さんの3人が集合した。

 

書籍を配置していく。あらかじめ書店の方がカテゴリーごとの本の山を並べてくださっていたので大変助かる。

 

エディションとキーブックの関係が頭に入っている松井さんが“エディション知“を発揮して、本の並びを形にしていく。POPを棚の外にはみ出させるといったアイデアも飛び出る。

 

吉野は5つに分けたエディションとポスターの配置を決めて貼りつけていく。三宮店ではA3がポスターの最大サイズで小さいのが難だった。しかし、枚数は多かったので何枚も並べて貼ることでお祭り効果を出せた。不足はプラスの種だ。

 

棚に出ている本とキーブックPOPを照合する小路さん。三宮店側との取次一切を担った。

 

「千悩千冊」のコーナーを作る松井さん。

 

イシスTシャツで装った三人。(小寺さん撮影)

 

作業の合間に堀内店長と小寺さんへのインタビューをし、すべて終了したのは午後3時。お茶を一口飲んだだけのノンストップ設営だったが、ひとまず形にできたという達成感で疲れ知らずのメンバーだった。

 

神戸チーム全員が棚作り初体験。その影には冊匠・大音さんがいた。6月10日の三宮店訪問&作戦会議からメンバー集め、棚づくりの案だし、フェア設営当日の遠隔アドバイスと全面的にサポートしてくださった。多くの支えのうえで、メンバー各々が得意なことを持ち寄り、わいわいとツールや展示案をつくっていけた。編集と遊びがぴたりとはまったメイキングとなった。

 

(左)遊刊エディストでおなじみ、「編集かあさん」こと松井さんのお気に入りは『理科の教室』
(右)三宮店をレポートした吉野のお気に入りは『編集力』と『デザイン知』

 

ジュンク堂三宮店のエディションフェアは8月末まで。2カ月のなかで棚の中身が変化する可能性大。夏休みにジュンク堂三宮店とイシス編集学校のコラボレーションを目撃しよう。

 

 

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