【このエディションフェアがすごい!27】丸善 仙台アエル店

2021/07/21(水)14:00
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 「このエディションフェアがすごい!」シリーズ、第27弾は丸善仙台アエル店。フォトレポートを届けてくれるのはイシス編集学校師範代の葛西淳子さんです。フェア開催期間は7月31日まで。

 

◇◇◇

ようこそ杜の都仙台へ…

 

仙台駅

みちのくの夏といえば「仙台七夕まつり」。例年8月6〜8日の3日間開催されます。今年は、コロナ禍の影響もあり規模を縮小して行われますが、そもそも現在のような豪華さを誇る観光七夕となったのは、昭和に入ってからのこと。本来伝統的な仙台の七夕は「七夕さん」と呼ばれ、一家総出で愉しむ年中行事のひとつだったようです。仙台独自の七つ飾りや5色の短冊に願いを込めた素朴な星祭りが原風景なのです。

 

仙台七夕飾りは5本1セット

 

ちょっと寄り道…  

今回フェアの会場となる丸善仙台。以前は、仙台駅から青葉通りを西に進んだ、サンモール一番町商店街に店舗を構えていました。仙台市民はもちろん、近隣の東北大学片平キャンパスに通う学生たちもよく利用していたようです。2階には、万年筆などの文具販売、丸善バーバリーショップがあってちょっと高級感が漂う店内でした。現在店舗跡地は、広い駐車場になっていますが、昭和につながる記憶のひとつです。

 

緑深まる青葉通り

 

丸善仙台アエル店へ…

仙台駅からペデストリアンデッキでつながるAER(アエル)1階に、丸善仙台アエル店があります。2002年(平成14年)仙台一番町から仙台駅前に移転開業しました。今年6月12日には、売場をリニューアルオープンしたばかりです。

 

丸善仙台アエル店入口

東北最大級の大型総合書店として、1階ワンフロア―丸ごと店舗になっており、売り場の広さも在庫数も充実。駅前という好立地条件から日中はシニア層がゆっくり本を選ぶ姿がみられ、夕方から閉店までは学校や会社帰りに立ち寄る方々が多いそうです。

 

シーズンに合わせた推しの書籍が並ぶ

入り口すぐに絵本、児童書。店内へ進むとベストセラーの平台、雑誌、新刊・話題書とさまざまなジャンルの書棚が並びます。洋書や専門書が充実しているのも魅力の一つです。今回、千夜千冊エディション20冊突破記念フェアは、文庫コーナーで開催されています。

 

松岡校長のポスター

 

いよいよ「知祭り」…

7月1日。本フェア担当の冨谷美希さんからエディションなどの書籍が納品されたと知らせを受けて、菅野祥子師範代が店に駆けつけました。予定していたより広いスペースが使えることになったと言われ、初っ端からうれしいスタートとなりました。

 

一番目立つ上段に、『本から本へ』と『編集力』をメインに据え、千夜千冊エディション20冊突破記念冊子『松岡正剛千夜千冊エディション』でつなぐ展開。

20巻のエディションを発行順に仮置きして全体のバランスに気を配りつつ、脇にキーブックや関連本を並べていくと、棚はだんだん形になっていきます。ポスターやPOPを準備してくれる冨谷さんの細やかな気配りに助けられて1日目はひとまず終了。

 

 

7月5日。作業は、再び集まった東北支所未知奥連の手にゆだねられました。書棚の前に立ち、静かに棚づくりのストーリーを考える菅野祥子師範代。理系本の隣に文系本と自然な流れで多様なテーマが目に入るような配置に。「本との偶然の出会いが生まれるとよい」というが菅野師範代のねらいです。

菅野師範代

 

菅野師範代の横に付いて、本を横にしたり、縦にしたり、平置きにしたり、重ねたり、背を立ててみたり…と、本の表情に気を配るのは、原田遥夏さん(41[守],41[破]受講)。仙台市内にキャンパスがある宮城学院女子大学学芸学部の学生です。手に取りやすくなるよう、お客様目線で微調整をかけます。

原田遥夏さん(左)

 

「松岡正剛ってどんな人?」と仙台人に知らしめたいというのは、仙台市内で書写教室を開いている平形智子さん(38[守],38[破]受講)。「エディションは、全巻手元に揃っています」というほどの松岡校長の大ファンです。

知の巨人。つまり“一人インターネット”ような人。

 

肩書は「編集者」。しかし、その編集の射程範囲は恐ろしく広い。かのチームラボ代表・猪子寿之が「一人インターネット」「Googleよりはるかに面白い」と称した知の巨人。平形さんの手によって、さくさくとPOPが作成され、随所にひとこと言葉が添えられると、棚の温かみが深まっていきました。

 

20巻目は『仏教の源流』

 

平形さんの手書きPOPを探せ

 

文庫コーナーに作られた松岡正剛の世界

 

フェア担当の冨谷美希(ふかやみき)さんのおすすめの本はエディションから『サブカルズ』。「やわらかな編集に惹かれました。松岡正剛さんというと一見硬い印象がありますが、ここへんから攻め入ってみるのもおもしろいと思います」とエディションの多様性に注目したセレクトでした。そしてもう一冊は、関連本から『おたくの精神史』。「おたくとまではいえませんが、学生時代はミステリ―本にハマっていましたね」とにっこり。

 

文芸書・文庫・新書担当の冨谷美希さん

 

学生時代のアルバイトから、そのまま書店員になったという冨谷さんは、アエル店では文芸書・文庫・新書を担当しています。以前、松岡校長が佐藤優さんと来店された時のことを思い出し「松岡さん自らお買い上げいただいた本を、公開してくれたんですよ」と何ともレアなエピソードを教えてくれました。

 

「出版社が企画するフェアはよく実施します。でも一人の著者、作家のフェアは珍しいですね。そのうえ棚も一緒に作ってもらえて、本の魅せ方などとてもいい経験になりました」棚の出来上がりが新鮮に映ったようです。

 

未知奥連のおすすめ本は…

 

菅野祥子師範代『文明の奥と底』

「未知奥連と「奥」つながりでもあります。「奥底」ではなく「奥と底」。深度をもった眼差しでものごとを見ていきたいです」

 

原田遥夏さん『物語の函』

「歴史を学んでいるものとして、ぜひ読んで欲しいと思い選びました」

 

平形智子さん『芸と道』『ことば漬』

「五十で脱サラして書道の世界へと足を踏み入れました。心豊かに生きていくには、やっぱり言葉が大切だと思っています」

 

葛西淳子師範代『理科の教室』

「科学の知がいろいろなところとつながって課題解決の糸口になれば、世の中、もっと楽しくおもしろくなっていきそうです」

 

冨谷美希さんと未知奥連のメンバー

 

3.11東日本大震災から10年が経過し、新型コロナウイルスが猛威を振るうなか「東北において、ますます編集は必要になってくるはず」という未知奥連のメッセージも込められています。

 

後日…

今回のフェアに参加するにあたり「仙台の本屋さんを盛り上げていきたい」という思いが強い菅野師範代は、どうしてもエディションの売れ行きが気になるらしく、仕事帰りに、そっと棚ウォッチング。「何冊か売れているみたいです!」とSNSのグループラインで報告すれば「知祭り効果ですね」と当日仕事で参加できなかった森由佳弦主が、うれしそうに応えます。

 

みちのく仙台に、梅雨明けとともに熱い松岡旋風がやってくるのか?しばらくは丸善仙台から目が離せません。

文・写真:葛西淳子

 

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  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。