遊刊エディスト:松岡正剛、編集工学、イシス編集学校に関するニューメディア https://edist.ne.jp Sun, 11 May 2025 21:11:15 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.1 https://edist.ne.jp/wp-content/uploads/2019/09/cropped-icon-512x512-32x32.png 遊刊エディスト:松岡正剛、編集工学、イシス編集学校に関するニューメディア https://edist.ne.jp 32 32 185116051 【参加者募集】常識破りのお茶×読書×編集体験!5/17(土) 「本楼共茶会」ライチ茶篇を開催します https://edist.ne.jp/just/lycheechakai_250517/ https://edist.ne.jp/just/lycheechakai_250517/#respond Sun, 11 May 2025 21:11:15 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85949 5月17日(土)、松岡正剛プロデュースのブックサロンスペース「本楼」にて、お茶×読書×編集で参加者のみなさまを意外な世界へお連れする「本楼共茶会」(ほんろうともちゃかい)を開催します。5度目となる今回は「ライチ茶」を入口にプログラムもさらに充実させてバージョンアップ!マジカルな読書体験をしていただけるイベントです。イシスの数ある本楼イベントのなかでもちょっと異色の本楼体験を、ぜひ味わいにいらしてください。

 

■常識破りはお好き?

今回の本楼共茶会のキャッチコピーがこちら。

 

女王のお茶・王子の読書

 

果実の女王とよばれるライチ。魅惑的に香るライチ茶がカギとなって、非日常への扉を開きます。「いつもとは違う空間でお茶&読書を味わってみたい方」「実は読書に自信がない方」「常識破りな世界を覗いてみたい方」など、いろいろな方に楽しんでいただけるはず。前提知識は一切不要、読書の得意・不得意も問いません。読書になるのか、毒書になるのか?!

 

■案内人は「赤堤スナックの律子」

イベントの案内人となるのは、イシス編集学校のあらゆる講座プロジェクトを支える「赤堤スナック律子」こと八田英子。心底惚れた男である松岡正剛を追って編集工学研究所というスナックに通い、長年松岡の愛弟子として編集道を歩んできた律子が、松岡から直に受けた言葉や方法、知られざるエピソードなどを惜しみなく分け与えてくれます。本楼共茶会でしか聞けないフロアレディたちの話もどうぞお楽しみに。

 


◎「本楼共茶会」ライチ茶篇◎

■日時:2025年5月17日(土)14:00-16:00

■会場:編集工学研究所「本楼」(世田谷区赤堤2-5-3)

■対象:どなたでも参加いただけます

■費用:おひとり1,000円(税抜)
■内容:松岡正剛の「編集術」「多読術」をベースにした唯一無二の編集体験

■持物:新書もしくは文庫を“一人一冊”お持ちください
■案内:イシス編集学校 律師 八田英子

■申込:以下のリンクからお申し込みください(先着15名) 

 https://shop.eel.co.jp/products/es_tour_250517

□お問い合せ:front_es@eel.co.jp


 

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源内さんとハン・ガンが人気【54破】第1回アリスとテレス賞エントリー https://edist.ne.jp/just/54ha_atchibun/ https://edist.ne.jp/just/54ha_atchibun/#respond Sun, 11 May 2025 14:54:20 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85926  「5W1H」という基本の基本ではじまった[破]の稽古。1か月後にはアワードに向けて文章を何度も推敲し、磨き上げるまでに熱を帯びる。本日5月11日、54[破]第1回アリスとテレス賞のエントリーが締め切られた。セイゴオ知文術というお題で競い合う。読書は交際である、という松岡校長の言葉にならい、一冊の本とじっくり付き合い、800字で彼を紹介する文章を書く。


 10教室・学衆71名中、エントリーしたのは63名。なんと5教室が全員エントリーを果たした。はばたけ御伽衆教室、カオスの縁子さん教室、讃岐兄弟社教室、うごめきDD教室、風土粋粋教室、おめでとう!! 選評委員([破]の師範、番匠、評匠、学匠)は、全員が全エントリー創文を読んで選評する。結果発表は月末。エントリー作品すべてに講評が贈られる。


 課題本は前期と同じく、以下のラインナップだ。ISIS co-missionメンバーが選んだ本、[破]ボードが選んだ本と松岡校長の著作、あわせて12冊のなかから学衆は1冊を選び、読み、創文した。


 54[破]の学衆にはどの本が人気だったか?

 

<セイゴオ知文術・課題本一覧>
左は、選んでくださったISIS co-missionメンバーのお名前。
右端に取り組んだ学衆の人数。( )内は前回53[破]で取り組んだ学衆の人数


津田一郎さん:『精神指導の規則』ルネ・デカルト 1名(3)
宇川直宏さん:『音楽が未来を連れてくる』榎本幹朗 3名(5)
鈴木健さん :『知恵の樹』H・マトゥラーナ、F・バレーラ 4名(6)
今福龍太さん:『続審問』J.L.ボルヘス 4名(1)
田中優子学長:『苦海浄土』石牟礼道子 6名(8)
井上麻矢さん:『表裏源内蛙合戦』井上ひさし 5名(0)
武邑光裕さん:『仕事としての学問 仕事としての政治』マックス・ウェーバー 3名(1)
大澤真幸さん:『自我の起原』真木悠介 5名(7)
鈴木康代さん:『エストニア紀行』梨木香歩 11名(13)
松岡校長本 :『ルナティックス』 2名(3)
破ボード選定:『ビリジアン』柴崎友香 8名(5)
破ボード選定:『すべての、白いものたちの』ハン・ガン 11名(7)

 

 ノーベル文学賞を受賞したハン・ガンの『すべての、白いものたちの』、そして大河ドラマで注目された平賀源内を扱った『表裏源内蛙合戦』の伸びが目立つ。世の中で話題になっているものには、いろんなイメージがくっついている。その既知をとっかかりに読み始めた本で、既知をひっくりかえす驚きがあったか? あるといいなあ、と願いつつ、選評会議に臨む。

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『知の編集工学』にいざなわれて――沖野和雄のISIS wave #51 https://edist.ne.jp/cast/isis-wave51_okinokazuo/ https://edist.ne.jp/cast/isis-wave51_okinokazuo/#respond Sat, 10 May 2025 22:54:56 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85752

毎日の仕事は、「見方」と「アプローチ」次第で、いかようにも変わる。そこに内在する方法に気づいたのが、沖野和雄さんだ。イシス編集学校での学びが、沖野さんを大きく変えたのだ。

イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。51回目の今回は、沖野さんのお仕事エッセイ。沖野さんが仕事のなかで見つけた「型」とは?

 

■■[守]の「型」で会社と仕事の見方が変わった

 

《注意のカーソル》。イシス編集学校の基本コース[守]の初期に学ぶ型だ。これは、誰の頭の中にも備わっているブラウザーのことで、普段は無意識に動かしている。編集学校では、注意のカーソルを意図的に動かすことを覚える。いや、動かさないと、お題が解けない。乏しい知識のストックでは、言葉のインスピレーションが続かない。外に出て周りを見渡し、注意のカーソルを動かし続けることが大事だった。イシス編集学校に出会ったのも、注意のカーソルが偶然にも、それを示したからだ。


その出会いは、しかし、悲しいお知らせからだった。松岡正剛氏の訃報に触れたことで、『知の編集工学 増補版』(松岡正剛・朝日文庫)を知り、この本の中で、自分中で長年求めていたものに出会った気がしたからだ。


私は、自動車会社で商品企画、マーケティング、ブランディングの仕事に携わってきた。今は、交通に新しい価値を付加するMaaS(Mobility as a Service)という分野でアプリの運営に携わっている。専門領域でいえば、企画、マーケティングとなるかもしれないが、大企業で様々な部署を経験しただけともいえる。専門性を問われれば、「資料を作っていました」という感じだ。情報を集め、ストーリーを考え、資料をつくり、説明し、合意形成して、プロジェクトを前に進める。それが私がやってきたことだ。
会社生活も最終盤に入り、自分の専門性について、自問していた。そんな時に出会ったのが、『知の編集工学 増補版』で、私は一読して、「これだ!」と思った。ここには、バラバラのものをつなぎ合わせ、面白くする方法が書かれていた。自分が会社生活で培っていた専門性と重なるのでは? と何かを発見した気分だった。

▲沖野さんが愛読する『知の編集工学 増補版』。付箋の数が読み込み度を物語る。


私の現在の仕事はいわゆる新規事業だ。誰も正解がわからない新しい分野だ。だから、様々なステークホルダーとの共通言語はない。ソフトウェアエンジニアとの間でも、共通言語を探すのに苦労する。そんな時に役だったのが、[守]で学んだ「型」だった。情報を「地」(ground)と「図」(figure)で捉え直す《地と図》、ルール・ロール・ツールを編集する《ルル三条》だ。これらが、相手の立場や、想いを理解するのに大いに役立った。以前の自動車での仕事は、先人たちが培った編集技法により共通言語が行き渡っていたことにも気付かされた。堅苦しいと思っていた社内会議のお作法は、《ルル三条》が洗練されたものだったらしいこと。《要素》《機能》《属性》を用いた情報の整理は、商品のアピールを考える際の基本となるものだった。


一方で、「ありえない言葉」をつくるお題《やわらかいダイヤモンド》では、自分の中の語彙を広げるインスピレーションの乏しさにも気がつかされた。実は、これこそ、人のこころを動かす企画を作る際には大事なことだと思う。会社生活では気づかなかったことだ。そうしてみると、日常の見え方も変わってきた。会社から見える美しい木々が連なる公園の風景は、どの様に言葉で表現できるだろうかと考えるようになった。


会社員としてのキャリアの再整理のために、挑んだ編集学校であったが、自分の新しい面を発見できた。応用コースの[破]で、小学生以来の物語を作るのが、今から楽しみだ。

組織に「専門性」が蔓延ると、事業も制度も人も固定化されやすくなります。一方、「編集がわたしの専門」と気づいた沖野さんには、社内の「型」に気づき、あらゆるものが編集された状態だと見えてきているのでしょう。今後の沖野さんの編集対象は、人々の移動体験。街・人・車といった見える《三位一体》から、雰囲気・音・感触といった見えない《三位一体》まで、《注意のカーソル》を縦横無尽に動かし、新たな物語へと編集していってくれることでしょう。

写真・文/沖野和雄(54[守]たまむしメガネ連教室、54[破]風土粋粋教室)

編集/チーム渦(柳瀬浩之、角山祥道)

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<速報>43[花]入伝式:問答条々「イメージの編集工学」 https://edist.ne.jp/just/43hana_nyuden_image_editorial_engineering/ https://edist.ne.jp/just/43hana_nyuden_image_editorial_engineering/#respond Sat, 10 May 2025 14:41:27 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85896  「言葉の学校であるが、イメージについて語りたい」

 4月末からのゴールデンウイークが終わり、初夏に向けて最高気温も上昇中です。フィクションでの枢機卿たちの思惑を描く『教皇選挙』が上映されて架空の教皇が選出されていました。リアルの世界でも新教皇のレオ14世が誕生が就任し、ローマ・カトリック教会による世界編集に目を離すことができません。同じ時期の5月10日、イシス編集学校の師範代を養成する花伝所で、受講生の思考を震わすイベント・入伝式が豪徳寺駅近くの編集工学研究所で開催されていました。

 

 第1部の「花伝師範メッセージ&入伝生自己紹介」の後、第2部として方源(デザイナー)の穂積晴明による「イメージの編集工学」の講義がありました。穂積は卒業式にあたる感門之盟でタイトルに肖ったタブロイド紙を制作したり、校長の松岡正剛が執筆した『知の編集工学』新装版の表紙や、人類の誕生から現在まで壮大な歴史を「人類はどのように情報を編集してきたか」という視点で独自に構成した年表『情報の歴史21』の表紙を担当しています。学生時代は言語学を専攻していましたが、編集工学研究所に入ってからデザイン力を深めていました。

 今回、松岡からデザインに関するディレクションを直接受けていた穂積による講義をダイジェストでレポートいたします。

 

方源の穂積晴明がデザインした書物の表紙たち

 

◎たくさんの枕の見方たち

 

 プレゼンテーションの始まりとともに入伝生に対してお題が手渡されました。

 

 枕から「顔」に見えるところを見つけて描き出してください。

 

 [守]基本コースでは「地と図」についての学びがあります。枕の絵という「図」の情報と、それを見る人の背景となる「地」模様によって、枕の見え方が変わりますね。

 編集工学研究所のスタッフの見方が一部紹介されます。虫の目のようなカメラを使って寝ている顔の絵、マンガ『クレヨンしんちゃん』のお父さん役である野原ひろしの顔もありました。さらに鳥の目のようなカメラを使って枕全体で「ぞうさん」を描くスタッフもいたようです。入伝生のUさんは三日月、猫、尖った鼻の3つの顔を取り出していました。枕の中の窪みなどの変化に対して視点を動かし、カメラのズームイン/アウトを行っていたようですね。

 我々の想像力は単一で動くのではなく、複合的に動きます。穂積は「イメージの違いはエディティングモデルの違いである」と説きました。入伝生は枕の絵を共読することでエディティングモデルの交換を起こしていたのです。

 

入伝生のUさんの選んだ3つの顔

 

◎対話で揺らすエディティングモデルの見方づけ

 

 エディティング・モデルとは経験や文化的背景と言い替えることができます。形作られていても自分自身では普段は意識できていない、と対話相手の師範・村井宏志が語りました。「エディティングモデルによって私たちは生きている」と穂積が返します。文化的な遺伝子(意伝子)を受け継ぐ私たちが「情報の動物」であり、「情報生命」であることを強調しているようでした。

 村井はデザインにおいてエディティングモデルの交換をどのように捉えているのか、と穂積に聞きました。仕事中、自身が書いた図像が他者にとって理解できないという困難があったようです。そのとき、松岡から「デザインを創ったら直ぐに持ってくるように」とのディレクションを受け、赤ペンによる指南を受けるたびに作品のクオリティを高めていったのです。他者との関わりの中でしか築けないモノがある、と村井は断言していました。穂積はエディティングモデルを交換によって松岡の見方を吸収し、デザインを再構成できていました。

 編集学校の守・破・離・物語などの講座では、学衆(学び手)からの回答に対して、師範代(編集コーチ)からの見方が提示され、新たな気づきと発見を享受できますね。回答回数に制限はなく何度もチャレンジできる。とてもお得な稽古の仕組みになっています。

 

方源・穂積晴明と師範・村井宏志の対話

 

◎イメージのアーキタイプをたどる

 

 私たちのアタマはステレオタイプな絵を一度観てしまうと、イメージが固定化されやすいですね。そこから脱却するために、アーキタイプを辿ることを穂積は強調しました。イメージの語源が「imagines」であり、ローマ時代において崇拝されていた先祖のデスマスクであることが示されています。古今東西の文化を紐解くと、イメージに関する言葉は死者や喪われたモノと関係づけられていたようです。その後、「ないもの」を見つけるための3つのカテゴリーを提示しました。

 

 まだないもの(未来)

 もうないもの(幽霊)

 わからないもの(怪物)

 

 アタマの中で将来を予測したり、過去に栄えた歴史の跡を追い求めたり、未知だらけの怪物を想像すればよいのです。

 「ないもの」の見方をサイエンスへ向けながらイメージを創った事例として、穂積は魚豊さんのマンガ『チ。』を紹介していました。このマンガでは天動説が支配的な中世ヨーロッパというワールドモデルで、異端指定による排除を覚悟しながらも天体観測の結果に基づくイメージから地動説を追い続けるキャラクターが活躍しています。天動説も地動説も主な要素は「地球」と「太陽」なのですが、中心に置く要素によって全く異なるモデルになりますね。どちらのイメージを支持するかで命がけの闘争になる、と穂積が語っていました。

 

 最後に[破]応用コースを取りまとめる学匠・原田淳子からのメッセージがありました。昔、若桑みどりによる図像の解釈学の講義を受け、西洋絵画の背景にあるキリスト教というエディティングモデルの影響力に気づくことができたようです。

 花伝所では道場という器の中で師範と入伝生が演習を重ねることにより、松岡が築いた編集工学の方法を身体化できます。方法日本のモデルをインストールすることで、放伝(卒業認定)する頃には世界へ向かって編集できるようになりそうです。

 

方源・穂積晴明による感門之盟のデザインたち

 

 

 

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松岡正剛は9ヶ月後に復活する。5/12千夜千冊 絶筆篇開始! https://edist.ne.jp/just/zeppitu_kokuti/ https://edist.ne.jp/just/zeppitu_kokuti/#respond Fri, 09 May 2025 23:10:03 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85800  1850で止まったカウンターが動き始める。
松岡正剛のライフワークであり、壮大なブックナビゲーションである千夜千冊が、新たなスタートを始める。

 

 昨年、急逝した松岡正剛による千夜千冊は、2000年から休むことなく書き続けられてきたが、昨年1850夜にて断絶した。

 1000夜までは毎日更新のペースでアップ。読書界の千日回峰と言われた。求龍堂からは福原義春プロデュースによる千夜千冊全集(全7巻+記譜:総額10万円)が発刊され、千部を完売し出版界の事件となった。500夜達成1000夜達成1500夜達成記念ではそれぞれゲストを招きながらパーティを催し、コロナ禍の2020年には丸善創業150周年記念連続講演会 最終回「松岡正剛 千夜千冊の秘密」がリモート開催された。角川ソフィア文庫からは千夜千冊エディションとして、「本から本へ」「デザイン知」に始まり、「編集力」「情報生命」「面影日本」「全然アート」「仏教の源流」など、「数学的」に至るまで30冊に至った

 松岡正剛本人は、千夜千冊エディションの31冊目以降も構想をしていたし、千夜千冊展の企画も進めていた。もちろん、千夜千冊も2000夜達成を目指していただろう。最後になった千夜千冊1850夜『中国人のトポス』の末尾にはこのように記されている。

 

 ところで、この千夜千冊は築地のがんセンター中央病院の病室で書いた。6月12日、定期検診を受診した折、主治医の後藤悌先生から「ここのままでは肺炎が危い、すぐに入院しなさい」と言われて、そのまま入院した。幸いに肺炎には至らず、肺癌の進捗も少し抑えられているようだが、これでぼくの今後の日々が決まってしまった。
 千夜千冊にしても、他の執筆原稿にしても、思索や表現に挑むにしても、これからしばらくはそこでの日々になる。縮冊篇『中国人のトポス』はその先触れの第1弾となった。
 最もフラジャイルな「肺」という器官を冒されて数十年、わが愛すべき肺胞瓢箪は最後の悲鳴をあげながら、ゆっくりと「虚」と「実」をひっくり返しつつある、そのことが今後のぼくの心身の「ゆらぎ」と周辺への「粗相」に何をもたらしていくのかは見当もつかないが、せっかくだからこの不埒な「極み」の感覚を観照してみようとも思う。期待せず、見守っていただきたい。
 なお、今後の縮冊篇は「極み」を綴るために選書するものではない。これまで採り上げたいと思っていながらスキップしてきた数多くの千夜候補から、せめて少しでもエントリーさせておきたいので縮冊篇を構えたにすぎない。センセン隊の力を借りることになるだろう。

 

 縮冊篇の宣言とその先の未来が見れなかったことが残念でならないが、その松岡正剛の無念を引き取りながら、新たな千夜千冊を復活させようと買って出たのが、松岡正剛事務所の寺平賢司が率いる千駆千嘨隊である。松岡自身が力を借りることになるだろうと言っていたセンセン隊だ。松岡は常に同時に千夜千冊を書いているのだということを公言していた。千夜千冊は20冊以上並行で執筆が進められて、そのときどきの気分や状況に合わせて推敲を重ねながらアップしていたわけだ。センセン隊が確認したところ、松岡が愛用していたワープロには書き溜められて途中までになっている千夜千冊が100夜以上はあるのだという。それを「千夜千冊 絶筆篇」として公開していくというのだ。賛否両論あるだろうが、千夜千冊のナンバーは敢えて1851夜と加算してカウントされていく。公開は5月12日に決まった。奇しくも、千夜千冊と共に歩み続けてきたイシス編集学校 55[守]の開講日になる。

 さらに公開の翌日には、おっかけ千夜千冊ファンクラブ(通称 オツ千)のLIVE配信も決まった。絶筆に終わった千夜千冊は、その後どのように書かれる予定だったのか、1851夜から何を読み取れるのか。編集工学研究所の千夜坊主・吉村堅樹と千冊小僧・穂積晴明が大胆に仮説する。
  2025年5月13日 20:00- LIVE配信 アクセスはこちら

 2024年8月12日に松岡正剛が逝去してから、9ヶ月目の5月12日 千夜千冊絶筆篇。復活の日、事件の一夜が、一体何なのか。千夜千冊トップページにアクセスし、更新ボタンを連打しながらお待ちいただきたい。

 

写真:後藤由加里(協力 松岡正剛事務所)

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べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十七 https://edist.ne.jp/nest/%e3%81%b9%e3%82%89%e3%81%bc%e3%81%86%e7%b5%a2%e8%8f%af%e5%b8%b3%e3%80%80%ef%bd%9e%e6%b1%9f%e6%88%b8%e3%82%92%e7%b7%a8%e3%82%80%e8%94%a6%e9%87%8d%e3%81%ae%e5%a4%a2%ef%bd%9e%e3%80%80%e3%81%9d%e3%81%ae/ https://edist.ne.jp/nest/%e3%81%b9%e3%82%89%e3%81%bc%e3%81%86%e7%b5%a2%e8%8f%af%e5%b8%b3%e3%80%80%ef%bd%9e%e6%b1%9f%e6%88%b8%e3%82%92%e7%b7%a8%e3%82%80%e8%94%a6%e9%87%8d%e3%81%ae%e5%a4%a2%ef%bd%9e%e3%80%80%e3%81%9d%e3%81%ae/#respond Fri, 09 May 2025 13:00:36 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85850  あの人が帰ってきた! そう、神隠しにあっていた新之助さんが。それも、蔦重にもうけ話を持って。そういえば、妻の名はうつせみ改め、おふく。蔦重にとっても福の神の到来となったようです。
 大河ドラマを遊び尽くし、歴史が生んだドラマからさらに新しい物語を生み出そう。そんな心意気の多読アレゴリアのクラブ「大河ばっか!」を率いるナビゲーターの筆司(ひつじ、と読みます)の宮前鉄也と相部礼子が、めぇめぇと今週のみどころをお届けします。

 


 

第17回「乱れ咲き往来の桜」

 この4月、米Googleに対する独占禁止法違反の排除命令を出したことで公正取引委員会の動きに注目が集まりました。AI時代を迎え、組織の人員も増強して公正な競争環境の整備に臨む公取委が、今回の江戸の地本問屋の動きをみたら、さて、どうしたことでしょう。


鄙に道あり

 青本10冊を一挙に刊行し、町娘たちからの嬌声も浴びるようになった蔦重ですが、相変わらず市中では本を売ることができない。それどころか、彫師の四五六から、地本問屋の圧力で今後、蔦重の仕事を請け負うことができない、と言われてしまいます。彫師がいなければ、本はできない。地本問屋に頭を下げるしかないのか。
 そこに登場した新之助が、新たな道を指し示してくれました。江戸を出た後、村で百姓仕事のかたわら、子どもたちに学問を教えている新之助が必要としていたのが、往来物と呼ばれる手習い本です。
 ドラマの中では「往来物とは子どもが読み書きを覚えるための本です。…商売や農業といった仕事の知識も学べるものでした」と紹介されていました。なんと! 大人が遊ぶ場所、悪場所とも言われる吉原の本屋が、子ども向けの教科書を出すとは。洒落がきいているともいえそう。
 しかし、流行に左右されず手堅い、村で売るなら地本問屋の力の及ぶ外、と考えるとマーケティングの教科書で事例になりそうな市場開拓と言えましょう。
 また実際に商売をよく知る信濃の豪商、農業をよく知る越後の庄屋といった人たちに、丁寧にヒアリングを重ねることで実環境に即した往来物を作る。このあたりの手間を惜しまぬ努力は蔦重ならでは、です。
 こうして彫師の四五六さんに今後、毎年、確実に注文を出すことを約し、市中の地本問屋との縁をきっぱり切らせます。単に金にものを言わせただけではないのが蔦重のよいところ。四五六さんが、自分の彫った版木を娘のように思うのであれば、ヒアリングに応えた地方の大物たちが本の親、自分たちの意見が反映された本なら買わないわけはない。販路としても確実です。
 蔦重の出す往来物で学んだ子どもたちが全国に広がるのなら、源内先生が言っていた「書を持ってこの日の本をもっと豊かにする」ことがもっと早く実現するかもしれません。
「耕書堂」の「耕す」が見事に活きた回となりました。

 

手紙が教科書!?


 往来物というのは元は手紙、書簡文例集のようなものです。これが教科書というのがなんとも不思議で、手にとってみたのが八鍬友広著『読み書きの日本史』(岩波新書)です。

 

 文字のもたらす機能は多岐にわたり、もちろん文化や学問の世界とも接続するが、文字使用の初期段階や、あるいは日常的な用途としては、記録や通信が基本的であっただろう。したがって、手紙が文字習得の教材として使用されていくこと自体は、自然なことかもしれない。

 

 とありました。なるほど。コミュニケーションの基本として、お互いにやりとりをするための手紙は、実用的な学びの方法だったのでしょう。英文法を参考書で学ぶのではなく、英会話教室で学ぶようなものかもしれないですね。
 しかし面白いのは、やがて教科書的なものをすべて往来物として呼ぶようになったことです。
 この本の中で「近世往来物史上においても最大のヒット作であった」と紹介される『商売往来』は、商売で取り扱う道具や貨幣の種類、商人としての心得などを集めたもので、もはや手紙の形式さえとっていないのだとか。
 どれほどのヒットだったかは、この川柳で知ることができます。

 

 名がしらと江戸方角と村の名と商売往来これでたく山

 

 苗字を集めたもの、江戸の地名、近隣の村の名前、そして『商売往来』。これだけ学べばそれで十分。
 これでたくさん、といえども、近隣の村の名前はバリエーションがそれぞれでしょうから、往来物が7,000種出回ったというのも、またむべなるかな、です。

 さて今回の冒頭、蔦重に「いい加減戻ってきてくんねえかなぁって思ってんですけど」と言わしめた唐丸、いよいよ彼も帰ってくるのでしょうか。


 

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十六

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十五

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十四
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十三

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十二(番外編)

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十二

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十一
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その十
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その九

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その八(番外編)
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その八

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その七

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その六
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その五
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その四
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その三
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その二
べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ その一

 

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『NEXUS 情報の人類史 下』×3× REVIEWS https://edist.ne.jp/nest/nexus02_3reviews/ https://edist.ne.jp/nest/nexus02_3reviews/#respond Thu, 08 May 2025 22:58:22 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85682  松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を3分割し、3人それぞれで読み解く「3× REVIEWS」
 歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの最新刊『NEXUS 情報の人類史』(河出書房新社)を読み解く2回目。今回はAI革命をテーマにした「下巻」に挑みます。ハラリは、AIに依存する現代社会の未来をどう予測しているのか。3人の読みを重ねます。


 

『NEXUS 情報の人類史 下――AI革命』×3× REVIEWS

 

1 AI監視社会ではない、別様の社会を想像する
第6章 新しいメンバー──コンピューターは印刷機とどう違うのか
第7章 執拗さ──常時オンのネットワーク

 

上巻の最後は「AIによるルール・ロール・ツールの変化」が語られた。では、AIの進化が、どのような社会を生み出すのか。

 スタバで友人との他愛もない会話。1人でゆっくり読書。そうした時間も24時間監視されていたら。言動だけでなく心という情報まで盗られていたら。リラックスできる時間のない、”常時オン”が求められる社会。これは映画の話ではなく、AI官僚の登場により、刻一刻と近づいている現実である。
 コンピューターに善悪はない。諸刃の剣をどう使うかが今我々に問われているのだ。コンピューターは人間の拡張であるが、同時に人間を変える。chatGPTを学ぶことに必死になる前に、次の社会を想像しなければならない。今こそ新たな物語が必要なのだ。(多読アレゴリア【OUTLYING CLUB】柳瀬浩之)


2 アルゴリズムが自由を阻害する
第8章 可謬──コンピューターネットワークは間違うことが多い
第9章 民主社会──私たちは依然として話し合いを行なえるのか?

 

AIの脅威は、様々な既存システムを壊していくが、その力は、民主主義というシステムにさえおよぶ。

 コンピューターは無垢ではない。独自の根深い偏見を持っている。それは、データベースの中にある人間の差別意識の投影にほかならない。SNSのアルゴリズムの偏りがロヒンギャの虐殺を導いたように、アルゴリズムやAI依存により、自由な討論さえ統制され、民主的な情報ネットワークの崩壊が始まっている。
 皮肉にも、高度な情報テクノロジーでは民主主義の根幹である大多数の合意が難しい。人類は今、生物以外が歴史に関与するという新しいフェーズの中で、あらゆる既存のシステムの破壊が起きている。さらなる破壊か再生となるかは、人の物語の書き直しが必要だ。(55[守]師範・北條玲子)


3 「離見の見」で世界と自分を更新する
第10章 全体主義──あらゆる権力はアルゴリズムへ?
第11章 シリコンのカーテン──グローバルな帝国か、それともグローバルな分断か?
エピローグ

 

AIの登場が、歴史に転換点をもたらす。この先がどのような世界になるかは我々の選択次第だ。何が鍵を握るのか。

 各国のAI開発競争は何をもたらすのか。ハラリは、アルゴリズムによって世界が全体主義に席巻されるデストピアを予言する。世界を滅ぼすのは原爆やウイルスではない。AIが、他者を信じられない社会を生み出すのだ。例えばプーチンのロシアのような独裁主義の国は、容易に権力者がAIに取ってかわられる。ビジネスでも寡占化が進む。今や米国最大の衣料品小売業者はAmazonだ。
 スマホやPCを使っている限り、アルゴリズムから自由になることはできない。ではどうしたらいいか。ハラリの見方に「日本という方法」を重ねるならば、おそらく必要なのは、世阿弥のいう「離見の見」だ。自分の見方や手にした情報をいったん捨て、離れたところから世界をもう一度、見る。自分と情報ネットワークとを常に修正・更新するのだ。私たちはAIの隷属者ではないのだから。(多読アレゴリア【勝手にアカデミア】み勝手・角山祥道)

『NEXUS 情報の人類史 下――AI革命』
ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳/河出書房新社/上下各2200円(税込み)

◆下巻目次

 

第Ⅱ部 非有機的ネットワーク

第6章 新しいメンバー──コンピューターは印刷機とどう違うのか
連鎖の環/人間文明のオペレーティングシステムをハッキングする/これから何が起こるのか?/誰が責任を取るのか?/右も左も/技術決定論は無用

第7章 執拗さ──常時オンのネットワーク
眠らない諜報員/皮下監視/プライバシーの終わり/監視は国家がするものとはかぎらない/社会信用システム/常時オン

第8章 可謬──コンピューターネットワークは間違うことが多い
「いいね!」の独裁/企業は人のせいにする/アラインメント問題/ペーパークリップ・ナポレオン/コルシカ・コネクション/カント主義者のナチ党員/苦痛の計算方法/コンピューターの神話/新しい魔女狩り/コンピューターの偏見/新しい神々?

第Ⅲ部 コンピューター政治

第9章 民主社会──私たちは依然として話し合いを行なえるのか?
民主主義の基本原則/民主主義のペース/保守派の自滅/人知を超えたもの/説明を受ける権利/急落の物語/デジタルアナーキー/人間の偽造を禁止する/民主制の未来

第10章 全体主義──あらゆる権力はアルゴリズムへ?
ボットを投獄することはできない/アルゴリズムによる権力奪取/独裁者のジレンマ

第11章 シリコンのカーテン──グローバルな帝国か、それともグローバルな分断か?
デジタル帝国の台頭/データ植民地主義/ウェブからコクーンへ/グローバルな心身の分断/コード戦争から「熱戦」へ/グローバルな絆/人間の選択

エピローグ
最も賢い者の絶滅

 

■著者Profile

ユヴァル・ノア・ハラリ( Yuval Noah Harar)
1976年生まれ。イスラエルの歴史学者。ヘブライ大学歴史学部教授。石器時代から21世紀までの人類の歴史を概観する著書『サピエンス全史』(2011年)は、2014年に英訳、2016年に日本語訳されるなど、あわせて50か国以上で出版されベストセラーとなった。フェイスブックの創始者ザッカーバーグは、同書を「人類文明の壮大な歴史物語と評した。オバマやビル・ゲイツも同書の愛読者と言われる。巨大AIに関しては一貫して警鐘を鳴らし続けている。

 

出版社情報

 

3× REVIEWS(三分割書評)を終えて

 複雑な社会に生きていると、正解がわからず、つい何かにすがりたくなる時がある。法律、科学、尊敬する人の言葉など……今後はそれがAIなのかもしれない。だが私たちは、これからも何かひとつに正解を委ねてはいけないのだろう。安易な答えに走ってはならないのだ。「わたし」も社会も、自分たちの手で修正・更新し続ける決意と覚悟が必要とされている。(チーム渦・柳瀬浩之)

 

『NEXUS 情報の人類史(上巻)』×3× REVIEWS こちら

 

これまでの× REVIEWS

安藤昭子『問いの編集力』×3× REVIEWS

ブレディみかこ『他者の靴を履く』×3× REVIEWS

福原義春『文化資本の経営』×3×REVIEWS

鷲田清一『つかふ 使用論ノート』×3×REVIEWS(43[花])

前川清治『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS勝手にアカデミア
四方田犬彦編『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS勝手にアカデミア

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カラダ、使えてる?あれこれデバイス頼りのデジタル時代、「身体」とどう付き合ったらいいんだろう? https://edist.ne.jp/list/honnoren_karada_1/ https://edist.ne.jp/list/honnoren_karada_1/#respond Wed, 07 May 2025 23:00:20 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85818 ほんのれんラジオの最新エピソードが公開されました!

イシス編集学校で世界読書奥義伝[離]まで了えた4名(ニレヨーコ、おじー、はるにゃ、ウメコ)がお送りするほんのれんラジオ。

 

今回から新シリーズ!ほんのれんvol.26は、”カラダ使えてる?デジタル時代の身体論”です。

 

カラダ、使えてる?あれこれデバイス頼りのデジタル時代、「身体」とどう付き合ったらいいんだろう?

 

▼お品書き

 

虎ノ門ヒルズmagmabooks ほんのれんコーナー爆誕しました/ほんのれん公開勉強会第二回開催!!/新シリーズ開始です/私たち、カラダ使えてないよね/リスナーさんからのお便り「失明した後、視覚情報を失いましたが、それまでなかった感覚を知りました」/時代、年齢、場所によって「環世界」は変わる/犬は匂いから過去も未来もある程度読み取ることができる/どこまでがカラダ??/センサーとしてのカラダ/電車に乗る時は雨音のbgmを聞くウメコ/文化的な身体/「失われ

ゆく私たちの地図」/カラダの概念は不明確である/親子 Bluetooth接続!?/カラダは古語辞典にはない/時代ごとのカラダの概念/カラダは空 (カラ)??/身体の規律化/地図によって自然を認識する訓練を受ける/カラダをめぐる5冊の旬感本紹介

 

▼今月の旬感本

(1)『目の見えない人は世界をどう見ているの

か』伊藤亜紗(著) 光文社2015

(2)『動物には何が見え、聞こえ、感じられるのか一人間には感知できない驚異の環世界』エド・ヨン(著)久保尚子(訳)柏書房

2025

(3)『からだの錯覚一脳と感覚が作り出す不思議な世界』小鷹研理(著)講談社 2023

(4)『デジタルネイチャー一生態系を為す汎神化した計算機によると寂』落合陽一(著)PLANETS/第二次惑星開発委員会 2018

(5)『新訳号と禅一付・「武士道的な弓道」講演録」オイゲン・ヘリゲル(著)魚住孝至(訳・解説)

KADOKAWA 2015

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【EDO風狂連】編集別世にいざ参らん~夏の候の船出は間近(残席僅か) https://edist.ne.jp/just/allegoria_edo_summer/ https://edist.ne.jp/just/allegoria_edo_summer/#respond Wed, 07 May 2025 03:18:33 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85700  守師範代としてのロールも担い、八面六臂の大活躍、イシス編集学校の田中優子学長を宗風に迎え、監修いただくは【EDO風狂連】。一人前の江戸人を目指して歩む道中も、3シーズンめの夏の候を迎えます。
 
 「連」と言えば江戸の文芸・技芸・文化の源。稽古だけでなく創作文化を担う場でもありました。複数の号を持ち、本業や俗世を離れて遊んだ江戸時代の連に肖って、エディティングキャラクターの乗りかえを起こし、「編集別世」を愉しむのが【EDO風狂連】でございます。
 冬の候で号を作り、さまざまなアバターを手にした連中のみなさんは、春の候では連句号に読書号、稽古号へと忙しい日常から号に着替えて颯爽としたお稽古ぶり。読んで書いて遊んで巻いてと、江戸人にあやかり、たくさんの私で歩みを進めていらっしゃいます。

 

 さて、これまでのISIS FESTA「江戸・蔦重の編集力」、伝習座講義「江戸のあやかり編集力」で、江戸の編集に興味を持ちながらも、連の外から見ていたみなさまに朗報です。

 
 夏シーズンから、定員が30名に増えます!
 
 おかげさまで、多読アレゴリアの開始時から満員御礼、新規募集もありませんでしたが、裏木戸はないのか、もうちっと詰めてはもらえないのか…なんて声があったかなかったか。天岩戸がぎぎぃっと、てな具合にすこーし開きましたので、様子を窺っていた方は、千載一遇のチャンスと捉え、早足、駆け足、急ぎ足で飛び込んでくださいませ。
 
 そんな【EDO風狂連】のお稽古三本柱をご紹介。

◎読相練磨(どくそうれんま)
 優子宗風や松岡校長の著書を手すりに、多読共読を行います。方法日本をひもときながら、『見立て日本』擬き、狂歌、エッセイなどさまざまな形で、自分数寄を披露していきます。夏の候では、江戸時代の推しメンを見つけて相互編集をしながら、新たな物語や構造図を作ります。
 
◎書屋俳諧(しょおくはいかい)
 江戸で大流行した「連句」を巻いていく場です。句を「詠む」ことと、句の世界を「読む」ことの両方を鍛えます。式目の縛りもなんのその。五七五/七七という世界最小の詩形で森羅万象を詠み込む―風狂このうえない遊びに、歌雀・詩雀がお誘いします。
 
◎遊山表象(ゆさんひょうしょう)
 優子宗風とともに江戸を味わうリアルイベントを開催し、「尽くし」「やつし」など江戸の重要なコンセプトに触れながら、新たなメディエーションに挑みます。夏には、優子宗風とも親交の深い、邦楽家・西松流家元の西松布咏さんをゲストに迎え、「江戸の音」を楽しみます。

 

 どれも魅力いっぱい、みなさんに味わい尽くしていただきたいお稽古ばかり。優子宗風とリアルに江戸を楽しみたい、イシス編集学校で人気の遊・風韻講座に入りそびれたが連句をぜひ巻いてみたい、江戸の編集を知りたい等々、動機はなんでも構いません。

 

 方法日本を探求していくAIDAがこの冬始まりますが、【EDO風狂連】は方法日本の実践の場、方法日本に遊ぶ場です。引き続きの連中のみなさんはもちろんのこと、夏から新たに参加されるみなさんも、共に新しい連なりを築いて参りましょう。

冬の遊山表象の様子。ISIS FESTAと共催の講義後、連中のみの参加特典・歌合が開催された。

 

【EDO風狂連】
 宗風(監修):田中優子学長
 風師    :米田奈穂/中村麻人/吉居奈々
 歌雀・詩雀 :大武美和子/福澤美穂子
 後見    :木村久美子月匠/田中晶子花伝所長

 


多読アレゴリア2025夏 EDO風狂連

【定員】30名

【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025summer
【開講期間】2025年2025年6月2日(月)~8月24日(日)
【申込締切】2025年5月26日(月)

【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
 ※ クレジット払いのみ
 ※ 初月度分のみ購入時決済
 以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
 例)2025夏申し込みの場合
 購入時に2025年6月分を決済
 2025年6月26日に2025年7月分、以後継続


 

2025夏 多読アレゴリアWEEK

募集開始★多読アレゴリア 2025・夏スタート!!!!!!!

 

▼倶楽部撮家

写真仲間求む!編集術でカメラと戯れる【倶楽部撮家】が多読アレゴリアにやってきた

 

▼カオス的編Rec

津田一郎監修クラブ【カオス的編Rec】誕生!科学的読書法に学び、「Qの地図」を描く

 

▼勝手にアカデミア

『鈴木清順エッセイコレクション』x3xREVIEWS

 

▼軽井沢別想フロンティア

軽井沢のトポスを編む旅へ。

 

▼大河ばっか!

べらぼう絢華帳 ~江戸を編む蔦重の夢~ 筆文屋一左のお誘い

 

▼EDO風狂連

編集別世にいざ参らん~夏の候の船出は間近(残席僅か)

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『NEXUS 情報の人類史 上』×3× REVIEWS https://edist.ne.jp/nest/nexus01_3review/ https://edist.ne.jp/nest/nexus01_3review/#respond Tue, 06 May 2025 22:55:36 +0000 https://edist.ne.jp/?p=85667  松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を3分割し、3人それぞれで読み解く「3× REVIEWS」。
 今回は、ビジネスパーソンにも人気の、歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの最新刊『NEXUS 情報の人類史』(河出書房新社)を取り上げます。推薦者は、チーム渦のメンバー・柳瀬浩之さん。「虚構を作り出した人間は、人間至上主義からデータ至上主義へ向かっていると喝破したハラリ氏。氏の今回の相手は、編集学校にとっての本丸、“情報”です」。
 他講座からのゲストも迎え、まずは上巻からヨミトキます。


 

『NEXUS 情報の人類史 上――人間のネットワーク』×3× REVIEWS

 

1 人の歴史は情報をめぐる物語だった

プロローグ
第1章 情報とは何か?

 

上下合わせて600ページ超になる本作。第Ⅰ部第1章は「情報とは何か?」という問いで始まる。答えるためには、人類が情報をどう扱ってきたかを知らねばならない。

 「ビッグデータ」という言葉が輝いた時代がある。情報が多いほど真実に近づける。しかし著者はこれを「情報の素朴な見方」と切って捨てる。周囲を見よ。大量の情報が容易に集まる時代なのに、人類は「自滅に近づいている」。ましてやAIだ。情報を意思決定の手段として活用した人間に取ってかわろうとしている。
 では情報とは何か。人類は、情報を「物事を結びつけるもの」として活用し、人とのネットワークを巨大にすることで生き延びてきた。最たるものが「物語」だ。同じ物語を信じることでつながってきた人類。…例えば聖書。しかし真実だけでは不足だ。真実と秩序が揃って人を動かす「力」となる、その源泉が情報だ。(多読アレゴリア【大河ばっか!】筆司・相部礼子)

 

2 誤りを認めて修正できるか否か
第3章 文書──紙というトラの一嚙み
第4章 誤り──不可謬という幻想

 

情報は人を動かす大きな力となりえるが、諸刃の刃ともなる。悪しき物語に対抗したのは、「誤り」に関わる科学の仕組みだ。

 昔、魔女狩りがあった。悪魔と通じ、空を飛んだという罪で多くの無辜の命が奪われた。魔女の物語は、真実が一つも含まれていないにも関わらず、強力な秩序を生んだ。
 人間は間違う生き物だ。著者はここに活路を示す。自己修正メカニズムだ。自己を疑い、誤りがあったときに認め、修正する仕組みが、人間の欠陥を乗り越える。じっさい科学の分野は、自己修正メカニズムを発揮して進歩してきた。
 今日の肉体も日々の自己修正の賜物だが、本書では自己修正メカニズムの主体を「機関」としているのが印象的だ。たとえ一個人の誤りであっても機関が訂正を引き受ける。「あなたの誤りは我らの誤り」が、これからの情報編集の鍵なのかもしれない。(多読アレゴリア【EDO風狂連】風師・吉居奈々)


3 AIがルールの変革を迫る
第5章 決定──民主主義と全体主義の概史

 

物語も自己修正メカニズムも万能ではない。加速する情報化社会の中で人類は溺れかけている。いま、ルールのどこを動かすべきか。

 情報革命が政治の世界をゲームチェンジしつつある。情報の奔流の中、ポピュリズムは分かりやすい対立軸を示すことで仮想敵の隙につけこむ。その先に待つのは無謬を旗印とする全体主義の世界かもしれない。対する民主主義は高速で虚実が入り乱れる情報に振り回され、多様性を包摂しきれていない。自己修正システムも情報の急流に追いつかず、機能不全に陥る始末だ。そして、ツールを超えた人間ではない知性としてのAIの登場はルール・ロール・ツールを決定的に変化させた。これからの政治は人間と人間以外の分断にどう橋渡しをし、ルールメイキングしていくかが問われる。人間の境界が揺らぐ時代の到来だ。(55[守]同朋衆・佐藤健太郎)

『NEXUS 情報の人類史 上――人間のネットワーク』
ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳/河出書房新社/上下各2200円(税込み)

    

◆上巻目次

 

プロローグ
情報の素朴な見方/グーグルvs.ゲーテ/情報を武器化する/今後の道筋

第I部 人間のネットワーク

第1章 情報とは何か?
真実とは何か?/情報が果たす役割/人間の歴史における情報

第2章 物語──無限のつながり
共同主観的現実/物語の力/高貴な嘘/永続的なジレンマ

第3章 文書──紙というトラの一嚙み
貸付契約を殺す/文書検索と官僚制/官僚制と真実の探求/地下世界/生物学のドラマ/法律家どもを皆殺しにしよう/聖なる文書

第4章 誤り──不可謬という幻想
人間の介在を排除する/不可謬のテクノロジー/ヘブライ語聖書の編纂/制度の逆襲/分裂した聖書/エコーチェンバー/印刷と科学と魔女/魔女狩り産業/無知の発見/自己修正メカニズム/DSMと聖書/出版か死か/自己修正の限界

第5章 決定──民主主義と全体主義の概史
多数派による独裁制?/多数派vs.真実/ポピュリズムによる攻撃/社会の民主度を測る/石器時代の民主社会/カエサルを大統領に!/マスメディアがマスデモクラシーを可能にする/二〇世紀──大衆民主主義のみならず大衆全体主義も/全体主義の概史/スパルタと秦/全体主義の三つ組/完全なる統制/クラーク狩り/ソ連という一つの幸せな大家族/党と教会/情報はどのように流れるか/完璧な人はいない/テクノロジーの振り子

 

■著者Profile
ユヴァル・ノア・ハラリ( Yuval Noah Harar)
1976年生まれ。イスラエルの歴史学者。ヘブライ大学歴史学部教授。石器時代から21世紀までの人類の歴史を概観する著書『サピエンス全史』(2011年)は、2014年に英訳、2016年に日本語訳されるなど、あわせて50か国以上で出版されベストセラーとなった。フェイスブックの創始者ザッカーバーグは、同書を「人類文明の壮大な歴史物語」と評した。オバマやビル・ゲイツも同書の愛読者と言われる。巨大AIに関しては一貫して警鐘を鳴らし続けている。

出版社情報

ハラリの捉える「情報」の姿が見えてきたところで、怒濤の「下巻」へと続きます。

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