【このエディションフェアがすごい!38】MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店

2021/08/26(木)12:21
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 「このエディションフェアがすごい!」シリーズ、第38弾は北海道のMARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店フォトレポートを届けてくれるのはイシス編集学校師範の岩野範昭さんと神尾美由紀さんです。フェア開催は8月31日まで。

 

◇◇◇

 

その日は、東京2020オリンピックの最終日。東京よりも冷涼な空気を期待されて競歩とマラソン会場になった札幌ではなんと97年ぶりの連続真夏日最長記録を更新していた。

 

 中心部のあちこちにTOKYO2020のロゴが入った看板が。暑さのせいか世界的イベントが終わった街を歩く人はさほど多くない。観光名所の札幌時計台には観光客もおらず、大通公園では祭りの後片付けに追われる作業員や警備員が目に付く。

 

札幌のシンボル・時計台。この日は観光客ゼロ。

 

大通公園の交差点では五輪競技の後片付け中。

 

進入禁止の柵だらけの大通公園をすり抜け、南に一条ほど下るとMARUZEN&ジュンク堂書店札幌店が出迎えてくれる。地下二階から地上四階までの約千六百坪を本で埋め尽くす巨大書店だ。地下鉄駅と地下で直結しているから、猛暑にも猛吹雪にも影響されることなく市民は知に触れることができる。

 

MARUZEN&ジュンク堂の外観。

 

エスカレータで三階の文芸書・文庫フロアまで上がってみると…。

三階エスカレータに到着直後の視点。

売り場の奥から鋭い視線を感じる…。

 

三階フェアコーナーへ近づいた視点。

あれはもしや…。

 

フェア棚正面。

千夜千冊エディションが出版順に丁寧に並べられている。

 

各エディションのポップと共に小冊子や学校案内も並ぶ。

千夜千冊エディション特別冊子と共に講座案内チラシもさりげなく配架。

 

向かって右側の棚は主にエディション関連本を配架。

これぞという関連本も紹介。

 

 

文芸書・文庫担当の伊藤さん。

 

札幌店では7月から8月末まで2か月の「知祭り」を開催中。「せっかくやるならしっかり時間をかけましょう」という店長の菊地さんの計らいから、短い準備期間にも関わらず関連本も含めた棚を電光石火でご用意いただけた。

 

この日、取材に応じてくださったのは文芸書・文庫担当の伊藤樹里さん。「今は最新刊の『資本主義問題』が一番よく出ています」という伊藤さんは東京にいらっしゃった際には松丸本舗に足を運んでいたとのこと。これは隠れ松岡フリーク発見?

 

「個人的にも『資本主義問題』は気になる内容。世界中が注目している内容ですよね」とコメントをしながら、素早く手前に置かれている表紙が開きかけた本と奥の本と入れ替えていく。

 

「この時期は本にとって厳しい季節なんです。クーラーで空気が乾燥してしまうからすぐに表紙が反ってきてしまって…」と本への労りの言葉が自然とこぼれる。

 

フェアコーナー以外の人文エリアの松岡正剛棚。

同じ三階の人文コーナーにも松岡正剛エリアは健在。「札幌店では空海の関連本が人気なんですよ(菊地店長)」

 

ビジネスマンから家族連れまで幅広い層から支持される札幌店では、猛暑に負けることなく本と知を愛する書店員さんがフェアを支えてくれている。どこよりもアツい札幌の「知祭り」は8月末まで開催中だ。

 

取材:神尾美由紀・岩野範昭

 

 

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  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。